メーカー別仮ヴァドス特集。 今回はカルヴァドスの王道「シャトー・ド・ブルイユ(Chateau du Breuil)」の特徴とおすすめラインナップです。
ペイドージュ地区に根付く伝統
シャトー・ド・ブルイユはフランス ノルマンディー地方のカルヴァドス産地でも最も良いとされるペイドージュ地区で作られるカルヴァドスです。
※カルヴァドスの産地の違いはコチラの記事を参照
シャトー・ド・ブルイユのシャトー(城)は16世紀初頭に作られたとても伝統的な建物。当時はノルマンディーの貴族達が生活していた建物です。現在は歴史的建造物にも指定されているこの城の中で3代にわたりシャトー・ド・ブルイユの生産が行われています。
↑写真右側の離れ(17世紀建造)の地下が熟成庫として使用されているそうです。
シャトードブルイユは1954年発
この建物でシャトードブルイユが蒸留され始めたのは1954年からだそうです。比較的新しいですね。
先祖代々カルバドス造りに従事していた家系のフィリップ・ビゾアール氏が、このシャトーを買い取り、蒸留所として稼動を始めました。
シャトー・ド・ブルイユの所有するリンゴの木は約22,000本。果樹園の面積は42ヘクタールだそうです。東京ドーム約9個分。
発酵→蒸留→熟成→ブレンド
シャトー・ド・ブルイユの発酵からブレンドに至るステップはコニャックの製造ステップとほぼ同じです。
発酵
シャトードブルイユの発酵は100%自然発酵にコダワリがあります。プレス機でリンゴの果肉と果汁を別けたあと、果汁は6週間かけて100%自然発酵されます。発酵を促すための化学物質や添加物は不使用です。これによりアルコール度数4.5%のサイダー(リンゴ発泡酒)が出来上がります。
蒸留
蒸留に関してはシャトードブルイユに限らず、ペイドージュのカルヴァドスは単式蒸留での2回蒸留が定められているので、カルヴァドスペイドージュであれば大体どこも同じです。
シャトードブルイユの場合もコニャックとどうようにシャラント式の蒸留器が用いられているようです。
※コニャックの単式蒸留の仕組みはコチラの記事を参照
熟成
シャトードブルイユの熟成は先ほど紹介した17世紀に建てられた離れの中で行われています。使用している樽はトロンセ産かリムーザン産のオークが使用されています。
熟成所の湿度はやや高めのようです。
↓シャトードブルイユの熟成所
ブレンド
樽の中で熟成を経たシャトードブルイユは、マスターブレンダーの手によってブレンドされます。これにより「シャトー・ド・ブルイユらしい」カルヴァドスが出来上がります。
↓にシャトードブルイユの収穫から瓶詰までの分かり安い映像があったので紹介しておきます。
シャトー・ド・ブルイユのオフィシャルHPが興味深い
これは私がもともとweb系のエンジニアだからかもしれませんが、シャトー・ド・ブルイユのオフィシャルHPが非常に興味深いです。
特に国別の言語対応。
コニャックやその他ブランデーのメーカーHPは、たいていフランス語が英語での表記のみがほとんどなのですが、シャトー・ド・ブルイユはかなり多言語化しています。
何と日本語対応です。しかも翻訳機で翻訳された日本語ではなく、明らかに日本人が書いたっぽい綺麗な日本語(笑)
その他、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ハンガリー語、スペイン語、オランダ語、ロシア語、中国語の何と10か国語化。
それぞれの言語担当者がそれぞれのページを担当しているのでしょうか。
もっと正規輸入してくれ
さらに面白いのが、各言語別のページは単純に翻訳しているだけではなく、言語毎に掲載内容がかなり異なる事です。
特に商品紹介ページ部分。
例えば日本向けのページには次の4つしか掲載がありません。
しかし、英語やフランス語対応のページでは何と上記以外に併せて18種類近くもの商品が紹介されています。
- Calvados Château du Breuil V.S.O.P
- Réserve du Château 8 ans d'âge
- Calvados Château du Breuil 12 ans d'âge
- Réserve des Seigneurs 20 Ans d'Âge - XO
- Calvados N°14
- Calvados "4 Siècles de Légende"
- Calvados "Fût N°44"
- Réserve de la Châtelaine
- Calvados Chocolate Blend
- 14 Ans d'Age Double maturation
- Calvados Château du Breuil Millésime 1998
- Liqueur au Calvados Coeur du Breuil
- Aperitif Calvados "Coeur du Breuil"
- Vieille Prune "Coeur du Breuil"
このうち、下線が引いているものは平行輸入でAmazon経由で入手可能。(在庫は変動します)
英語のページはコチラ
フランス語のページはコチラ
ドイツ語のページはコチラ
イタリア語のページはコチラ
中国語のページはコチラ
ハンガリー語はコチラ
スペイン語はコチラ
オランダ語はコチラ
ロシア語はコチラ
この掲載商品の差は各国毎の輸入事情に起因しています。
日本語化されたページ掲載されている商品はシャトードブルイユ日本正規代理店であるジャパンインポートシステムが輸入しており、定番商品としてほぼ常に日本国内在庫がある商品のみです。
しかし、その他の言語のページは各国が正規輸入しているであろう多くの商品が掲載されています。国によってあるものと無いものがあり、多少差がありますが、日本よりはるかに多い種類です。
HPのデザインは2000年代前半を思わせるやや古いダサいデザインですが、小規模農家のオフィシャルサイトでここまで国毎に掲載内容を別けているブランデーメーカーって少ないです。その点、グローバルに展開してく姿勢が見えてとても感心します。
↑なかなか手に入りにくいCalvados 4 Siècles de Légende
と、いう事で、並行輸入を除き、日本に正規流通しているシャトー・ド・ブルイユの商品ラインナップはかなり少ないです。
てかこの日本語化以外のオフィシャルサイト見ないと、こんなにラインナップがあるなんて気づかなかったなぁ。。。
ジャパンインポートシステムさん、できれば全部輸入して下さい。(笑)
シャトー・ド・ブルイユのおすすめは?
日本に流通している商品以外にも多くのラインナップがあることが分かりましたが、一番のおすすめはどれでしょうか。
Calvados N°14なんて言ってみたいところですが、入手経路が困難であまり現実的ではありません。
ここは王道で行きましょう。
流通量と価格帯からして、もっともお手頃なのはやはりシャトー・ド・ブルイユ 15年 あたりがおすすめでしょう。というか無難でしょう。Amazonでも楽天でも気軽に手に入ります。
梅酒好きには・・・
カルヴァドス飲んでみたいけど、強すぎて飲めない・・・
という方にはこちらのシャトー・ド・ブルイユ ポモードノルマンディーもおすすめです。
こちらはカルヴァドスにリンゴジュースを加えて熟成させたお酒です。「ヴァン・ド・リキュール」とも呼ばれます。
ブレンド割合としては、リンゴ果汁65%、カルヴァドス35%くらいだそう。
アルコールも17度と低く、より果汁感を感じることができるので、梅酒などが好きな方にもおすすめできるシャトー・ド・ブルイユの一つです。
リンゴのお酒ですが、意外と桃っぽい風味を感じるかもしれません。
こちらに関してはストレートよりも大きな氷を入れてオンザロックで飲む方がおすすめ。その他にも炭酸で割ったり、食前酒にしたり、ちょっと珍しいお酒としてパーティーなんかに出すと注目を浴びるかもしれません。