ブランデー知識【入門編】

【入門編】ブランデーのVSOPやXOの種類の違いって何?

2015年7月2日

ブランデー用語で最も聞いたことあるけどよく理解されていないもの、それがブランデーのランクです。

ブランデーを買おうと思った方は「VSOP」や「XO」「ナポレオン」といった種類の表記を見たことはあると思います。そして最初に思う事は・・・「これって何が違うん??」です。

ここでは入門編としてブランデーのランクの種類について分かり安く説明していきます。

熟成年数の違いによるブランデーのランクの種類です

まず、VSOPやXOといったランクはコニャックやアルマニャック、カルヴァドスなどその製法に規定(AOC)があるブランデーに適用される熟成年数による正式なブランデーのランクの種類です。

コニャックは「BNIC:全国コニャック事務局(→公式サイト)」、アルマニャックは「BNAI:全国アルマニャック事務局(→公式サイト)」というフランスの事務局が厳格な基準をもって決めています。

簡単にランクの推移を見てみましょう。下に行くほど高ランクになります。

  • スリースター
  • V.S. [Very Special]
  • V.S.O.P. [Very Superior Old Pale]
  • ナポレオン
  • X.O. [Extra Old]
  • Hors d'âge(オール・ダージュ)、Extra(エクストラ)、Heritage(ヘリテージ)など

なお先述したように、これらのランクはコニャックとアルマニャック、カルヴァドスなどAOCが存在するブランデーのみ熟成年数によって厳格な基準で決められています(後述)。それら以外のブランデー(その他のフルーツブランデーや、別の産地のブランデー、日本の国産ブランデーなど)はこのランク基準は当てはまらない場合があります。

コニャックやアルマニャックでないブランデーに「ナポレオン」や「X.O.」と表記されていた場合、熟成年数等は必ずしも同じ基準ではない場合があるので要注意です。知っておくとよいかもしれません。

※コニャックとアルマニャックの違いについてはコチラのページを参照。

後ほど詳しい基準を解説します。次にブランデーランクを知るにあたり、最低限必要な用語を見ていきましょう。

「コント」という言葉を知っておこう

コント(Compte)、とはブランデーの熟成年数を表す単位です。このコント数によって、VSなのかVSOPなのか等のランクが決定します。

基準はコニャックとアルマニャックなどにブランデーによって若干異なります。

まずは代表的なコニャックの熟成年数の考え方から見てみましょう。コニャックの周期は毎年4/1~翌年3月末日です。毎年10月頃に原料となるブドウの収穫が行われ、発酵→蒸留と進みます。収穫した年の翌年3月末日までに蒸溜を終えなければなりません。
(例えば2015年10月に収穫したブドウは2016年3月末までに蒸留を終えなければならない)

まず、蒸留した年のコントは「コント00」となります。翌4月1日から樽の原酒はコント0と数えられ、それは翌年の3月末日ま で続きます。次の4月1日からはコント1となり、以降4月1日が来るごとにコント数が繰り上がります。コント2以上(つまり2年熟成完了)にならなければコニャックとして売ることはできません。

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注意ポイント

【重要!!2015/12/7 追記】
2018年4月1日からコニャックにおけるXOの熟成年数基準が変更されました。2018年3月以前に出荷されたコニャックXOの最低熟成年数はコント6でOKですが、2018年4月1日以降に出荷されるコニャックXOの最低熟成年数は10年目以降(コント10以上)となります。それにより、コント数はコント10まで基準が設けられます。(フランス全国コニャック事務局発表の原文はコチラ)
2005年に決定したこの新基準は、元々は2016年4月に実施される予定でしたが、各メーカーに新基準適用のバッファを設ける為、2011年の修正案により2年延期され2018年4月1日実施に変更されました。ちなみに「ナポレオン」はそのままコント6以上です。それにより、これまでほぼ同等だったXOとナポレオンですが、XOの方が大幅に熟成年数基準が上回ることになります。
2018年4月以降もコニャックのXOはコント6と解説している他サイトや記事があった場合、それは古い情報ですのでご注意下さい。

 

調合されたブランデーの最も若いコントでランクが決まる

多くのブランデーは、その商品コンセプトに従って、様々な熟成年数のブランデーが調合(ブレンド)されて最終的に瓶詰されます。実は単一の熟成年数のブランデーのみで出荷されるブランデーはほとんどありません。

その調合されたブランデーの中で最も若いブランデーの熟成年齢に従ってVSOPやXOといったランクの呼称が定められています。

コニャックとアルマニャックでちょっと基準が違うので、別々に見ていきましょう。

コニャック

  • スリースター・・・コント2以上
  • V.S.・・・コント2以上
  • V.S.O.P.・・・コント4以上(最低熟成年数4年)
  • ナポレオン・・・コント6以上(最低熟成年数6年)
  • X.O.・・・コント10以上(最低熟成年数10年)
  • Hors d'âgeやExtraなど・・・コント10以上(一般的にXOよりクオリティが高いとされるもの)

以下はコニャックの様々な基準を制定しているフランスにある協会「BNIC」によって定められている最低熟成年数別のコニャックの名称表記です(2020年4月時点)。実はVS、VSOP、XO以外にも細かい名称基準があります。

  • コント2以上で許可される表記
    「VS(Very Special)」「3 Etoiles」「Sélection」「De Luxe」「Millésime」
  • コント3以上で許可される表記
    「Supérieur」「Cuvée Supérieure」「Qualité Supérieure」
  • コント4以上で許可される表記
    「V.S.O.P.( Very Superior Old Pale)」「Réserve」「Vieux」「Rare」「Royal」
  • コント5以上で許可される表記
    「Vieille Réserve」「Réserve Rare」「Réserve Royale」
  • コント6以上で許可される表記
    「Napoléon」「Très Vieille Réserve」「Très Vieux」 「Héritage」「Très Rare」「Excellence」「Suprême」
  • コント10以上で許可される表記
    「XO(Extra Old)」「Hors d’âge」「Extra」「Ancestral」「Ancêtre」「Or」「Gold」「Impérial」「XXO(Extra Extra Old)※」

※「XXO」は最低熟成14年を経たコニャックのみに適用可能です

アルマニャック

  • V.S.・・・コント1以上(最低熟成年数1年)
  • V.S.O.P.・・・コント4以上(最低熟成年数4年)
  • X.O.・・・コント10以上(最低熟成年数10年)

調合されたブランデーの最も若い熟成年数のランクがラベルのランク表記となります。
例えば、コニャックの場合、コント4(VSOP)とコント10(XO)の2つの異なる熟成年数のコニャックが調合されていた場合、最も若い熟成年数はコント4となります。従ってこの場合のランク表記は「VSOP」となります。

コントのことが理解できると、ブランデーランクも少し細かく見ることができます。でも覚えるのは大変かもしれないので、「何となく知っている」レベルでもいいと思います。(分からなくなったら当サイトに来てください。)

コント10以上は存在しない??

ここで表示されているコントは10までです。ではコント10以上はないのでしょうか?

例えばコニャックで有名なポールジローは「VSOP」「ナポレオン」「XO」に該当するものがありますが、その中でも15年、25年、35年といった違いがあります。一概にナポレオンやXO.であっても、ものによってピンからキリまで存在します。(値段に顕著に表れます)

ポールジローでXOに該当するのはこちらのポールジロー25年や、ポールジロー トレラールあたりではないでしょうか。

ボトル自体にXOと名のつくコニャックで有名どころはレミーマルタンXOヘネシーXOかと思います。これらは5大コニャックに数えられる超大手ブランドの一つですね。

はてな

こんな表記は何?

熟成年数別の呼び方はメーカーにによっても異なりますが、コニャックにおいてコント10以上の熟成の場合、XO以外にも下記のような呼び方が存在します。

« Hors d’âge », « Extra », « Ancestral », « Ancêtre », « Or », « Gold », « Impérial », « Extra Old »

これらは基本的にはXOよりもさらに熟成年数が高いコニャックを指す場合が多いです。(一般的におよそ40年熟成以上の事が多い)

なお、« XXO », « Extra Extra Old »というカテゴリが2018年から追加されました。これはXXOは明確な基準があり、熟成年数が14年を超えている場合に使用してもよい名称です。

→参考:コニャック新カテゴリ?「XXO」とは何か?

同じランクの中での細かな違いを見ていくのも面白いですね!

まとめ:簡単に覚えるブランデーランクの違い

今回のブランデー入門編の内容で重要なポイントは以下の通りです。

ブランデーランク種類は熟成年数により主に以下の通り(下に行くほど熟成年数が高い)

  • スリースター
  • V.S. [Very Superio]
  • V.S.O.P. [Very Superior Old Pale]
  • ナポレオン
  • X.O. [Extra Old]
  • Hors d'âge(オール・ダージュ)、Extraなどの

・熟成年数には「コント」という単位を使用する。

【重要!!2015/12/7 追記】
※コニャックにおいて2018年3月出荷分まではコント6でXOと名乗れたが、2018年4月1日からコニャックにおけるXOの熟成年数基準が変更される。2018年4月1日以降出荷されるXOの最低熟成年数は10年目以降(コント10以上)となる。
2018年4月以降もコニャックのXOはコント6と解説している他サイトや記事があった場合、それは古い情報なのでご注意。
----追記ここまで--------

・ブランデーは基本的に様々な熟成年数のブランデーが調合(ブレンド)される。

・調合(ブレンド)された中で最も熟成年数(コント)が若いランクがラベルに表記される。

・これらのランクはコニャックとアルマニャック、カルヴァドスなどにのみ適用される。

・同じランクでも細かな年数やコント10以上のブランデーはメーカー独自の等級表記が用いられる場合が多くある。

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