コニャック滞在記2025年 秋

コニャック滞在記2025秋②ABK6コニャックのブドウ畑から美味しいブドウを頂きます

2025年11月1日

滞在2日目
2025年9月22日(月)

前の記事
コニャック滞在記2025秋①恐怖の為替とパリの物価

今回最初のコニャック生産者訪問先は、ABK6コニャックを展開してるDOMAINES FRANCIS ABECASSIS(ドメーヌ・フランシス・アベカシス)です。2019年、2023年に続き今回で3回目の訪問となります。

DOMAINES FRANCIS ABECASSIS(ドメーヌ・フランシス・アベカシス) は現在コニャック3つ、その他スピリッツ、ワインのブランドを展開しています。

LAYRAT(レイラ)
ABK6(アベカシス)
REVISEUR(レヴィゾール)
GRANDS DOMAINES (グランドメーヌ)
ABK6ワイン

現在日本に正規輸入されているのはABK6コニャックのみです。コニャックに関して言えばこの「ABK6」、「LAYRAT」そして「REVISEUR」という3つが全て自社内で生産を行っているコニャック。そしてジンなどのスピリッツを取り扱う「GRANDS DOMAINES」。2024年からブランド展開を始めたABK6ワインです(ボルドーワイン)。

ここでは便宜上ABK6と呼びます。

途中ポワティエ駅で乗り換えが必要だったのですが、電車の待ち時間に室内の休憩所でTeddyと話してたら、気づけば乗らないといけない列車に乗り遅れ、約1時間遅れるというトラブルがありましたが、無事アングレームに到着。そこからは車でファンボア地区のABK6の本社まで向かいます。

過去のABK6コニャック訪問記や基本情報はコチラから
ABK6の全てを語ろう(1) 最大級のシングルエステートコニャック
3年ぶりのABK6とベテラン蒸留責任者ダニエル氏と再会!そして今年の蒸留液は・・・

広大なABK6のブドウ畑

ここからの景色はいつも美しいものです。眼前に広がるABK6のブドウ畑。

ABK6はブドウ畑をファンボア、プティットシャンパーニュ、グランドシャンパーニュの3エリアを保有しています。私が初めて伺った2019年の時は併せて370ヘクタール。2022年にはファンボアエリアに新たに20ヘクタールの畑を開墾し390ヘクタールに。そして2025年に更に畑を買取り今や計420ヘクタールを超えるブドウ畑の規模になっています。

規定上、エリアに対して畑として使用できる面積が限られているので、新たに畑を開墾するにはかなり制限がかかりますので基本的には既存の畑の買取が一般的なのですが、数十ヘクタールは新たに畑を開墾したとのことでした。凄い投資力と勢いですね。

収穫タイミング

コニャックのブドウの収穫は例年9月中旬~下旬頃に行われます。

しかしながら、今年は夏場にかなり気温が上がったせいもあり、ABK6コニャックに限らずコニャック地方では全体的に例年より収穫が2週間程早く始まっておりました。暑くなるとブドウの糖度が上がってしまい、蒸留い適した酸度が保てなくなるためです。本当は収穫真っ最中のタイミングで訪問できればベストだったのですが、多くの生産者では8割以上収穫が進んでいる状態で、ほとんど終盤の時期での訪問となりました。

このファンボアエリアエリアのブドウ畑はまだ収穫されておらず、ブドウの実がまだ連なっている状態でした。早速コニャックの原料となるユニブランの実をダイレクト実食。

収穫直前のユニブランはこんな感じです。だいぶ粒が大きくなっています。

ブドウの実の密度は高く、ぷにぷにの粒感がたまりません。

皮は薄いので、手で皮を剥こうとすると実まで潰れてしまうくらい柔らかなブドウです。

さてお味は・・・

ここのファンボアエリアのブドウの収穫は終盤ということもあり、かなり糖度があがっているようで、予想していたよりも酸味は強くなくほどよい甘さも感じるほどでした。通常はもう少し酸味が強いのが特徴的なはずなのですが、収穫時期が違うとここまで酸度と糖度に差がでるものなのですね。

参考:なぜコニャック造りのブドウに酸度が重要なのかはコチラのページをご参照ください。
コニャックのブドウは酸度が高く酸っぱい

ここのブドウは食用としても十分に美味しいです。

昨日雨だったのでぬかるみがすごい・・・

昼食とABK6ワインを楽しむ

この日は少し遅れてしまったこともあり、畑を一通り見た後ABK6の本社でスタッフの皆さんと挨拶を交わしたあと、ブティックでTeddyと昼食を取りました。来る途中に買ったサンドイッチとエクレアです。これがまたかなりのボリューム・・・

そして昼食のお供として楽しむのは昨年からAKB6がボルドー地区で取り組んでいるワインとスパークリングワインです。

色々な事に挑戦しますねー。ABK6が手掛けるワインは樽熟成させないフレッシュなワイン。カジュアル層がねらい目です。畑はボルドー地方に保有しており、そこでワインの生産を行っています。コニャックとは別ですが、ブランド名はABK6で出しているそうです。

そしてこちらはスパークリングワイン。シャンパーニュではありませんが、シャンパーニュと同じクレマン方式(瓶内発行)させて作るタイプのスパークリングワインです。

乾杯はもちろんスパークリングワインから。

このフレッシュで爽快なのど越しがたまりません。思わずおかわり3回w

このABK6のワインとスパークリングワインも絶賛日本への輸出先を探し中とのことです。まぁワインは競合が多すぎるのでなかなか難しい商材ですよね。今後のABK6ワインがどうなるか私は傍観することにします。

プライベートボトル用の比較テイスティング

さて、この日のメインイベントといいいますか、コニャックのテイスティングタイムです。

今回は、スコッチモルト販売から出ているABK6のプライベートボトル「The Taster ABK6 グランドシャンパーニュ Lot.90」に続く次の日本向けプライベートボトルの原酒選考も兼ねています。

私がプライベートボトルを出すわけではないのですが、色々なご縁を頂き原酒選考の一部を担う運びとなりました。
(ラフな格好ですみません)

TeddyとABK6のセラーマスターであるFrédéric David氏が選んでくれた十数本の原酒からさらに絞り込み、最終的に5~6本程に絞り込みをかけていきます。

グランドシャンパーニュ100%やファンボア100%、3エリアのブレンドなど構成も違えば熟成年数も違う様々な原酒の個性を捕え、それらが一番光っているものを絞り込んでいきます。

じっくりと時間をかけてテイスティングさせて頂き、かなりの集中力を要しましたが、大変すばらしい時間となりました。

今回私が選んだコニャック達がどのような形で世に出てくるかは今後の展開を楽しみにして頂ければと思います。

グランドシャンパーニュエリアへ移動

原酒選考が終わったあとはABK6のグランドシャンパーニュエリアへ向かいます。スゴンザックとポールジロー氏のいるブートビル村の中間に位置する Segeville (Lauriere) in St Preuil という場所にABK6の持つグランドシャンパーニュの畑と蒸留所があります。

このグランドシャンパーニュエリアの畑は2017年あたりに新たに買い取った畑です。広さは約125ヘクタールあります。

ABK6のグランドシャンパーニュの畑は日当たりの良い丘に面しており、立地的にもかなり良い場所にあります。先述しましたが、ABK6はファンボア、プティットシャンパーニュ、グランドシャンパーニュに畑を所有しており、その3エリアそれぞれに醸造・蒸留施設をもっています。畑のすぐ近くに醸造・蒸留施設を設けることでブドウやワインの鮮度を最高に保ちつつ蒸留に移行できるようにするためです。

グランドシャンパーニュエリアでも最終の収穫が行われているタイミングでした。

ちょうどブドウの搾汁機械を見ていると畑からブドウをいっぱに載せたトラクターが帰ってきました。これからちょうどブドウを圧搾してフレッシュなブドウ果汁を取り出します。

まずはこの大きなコンベアにブドウが一気に投入されます。

このらせん上の歯によりブドウが皮ごと搾汁機に送り込まれます。

搾汁機内では大きなバルーンがゆっくりと膨らみ、ブドウに圧力をかけ果汁だけを取り出します。

一気に投入されるブドウは迫力がありますねー。

出来立てのブドウ果汁の味わいや、圧搾方法によってどのような違いが出るかは、また後日別の生産者(ドメーヌドゥシェーヌ)に伺った際にじっくりと体験してきましたので、その時のブログをお楽しみにお待ち下さい。

最後に至福のテイスティングタイムを

一通りブドウ収穫の様子を見終わったあとは、ABK6のゲストハウスへ移動。蒸留所と畑のすぐ隣にあるゲストハウスです。

このゲストハウスは元々この蒸留施設の持ち主が保有していたシャトーだったのですが、それをゲスト用に改築したものです。

2023年に伺った際にはまだ工事中でしたが、2024年に完成したそうです。

本当はここに宿泊させてもらいたかったのですが、運悪く他のゲストの予約で満室だったため宿泊することができませんでした。客室の窓から見える夕焼けに沈む畑や、朝日に照らされる畑はさぞ美しいことでしょう。次回こそは是非!!

ということで、宿泊は叶わなかったものの、暫く併設のバーでTeddyと一緒にゆっくりとコニャックのテイスティングを楽しむことに。

最後の締めはもちろんABK6のフラッグシップコニャックである「ABK6エクストラ」、そしてABK6の姉妹ブランドであるLAYRAT(レイラ)のフラッグシップボトル「LAYRAT Glory Extra」です。

どちらも50年~70年熟成ファンボアメインの長熟コニャックです。贅沢になみなみと頂き小一時間楽しませて頂きました。

DOMAINES FRANCIS ABECASSIS(ドメーヌ・フランシス・アベカシス) は現在3つのコニャックブランドを展開しています。

LAYRAT(レイラ)
ABK6(アベカシス)
REVISEUR(レヴィゾール)

これらの3つのブランドのキャラクターは明確に分かれており、最も特徴的な違いは樽由来の重厚さです。レイラが最も軽やか、レヴィゾールは最も重厚、ABK6はその中間に位置します。

今回改めて比較テイスティングを行ったABK6エクストラとLAYRAT Glory Extraもやはりそのキャラクターの差は出ていて面白いですね。

LAYRATは軽やかですが、余韻の伸びや長熟コニャックとしてのポテンシャルはABK6エクストラの方が秀でているような気がします。やはり50年越えのコニャックとなると元となるタンニンが多い方が余韻の伸びに貢献し、重厚さも相まって満足感に繋がるのでしょう。個人的な好みはやはりABK6エクストラです。

と、そんな贅沢なテイスティングしている間にあっという間に1時間が過ぎてしまいました。

朝の列車トラブルがあった時はどうなるかと思いましたが、何だかんだで幸せな1日を過ごすことができました。これからTeddyにコニャック市街地まで送って頂き、これから10日間ほど滞在するコニャックの民泊へと移動します。

前回の滞在時も民泊を利用しましたが、コニャックの民泊は全体的にレベルが高く、内装もリノベーションされてめちゃめちゃ綺麗です。パリの牢獄ホテルとは違い、きっと素敵な宿が待っている・・・はず!

次回
コニャックよ、私は帰ってきた!コニャックの民泊と癒しの猫さん

ABK6 (アベカシス) VSOP 正規品 40度 700ml

ABK6 (アベカシス) VSOP 正規品 40度 700ml

8,660円(11/13 10:46時点)
Amazonの情報を掲載しています

-コニャック滞在記2025年 秋

Copyright© Brandy Daddy -ブランデーダディ- , 2025 All Rights Reserved.