【中級編】プロプリエテール、シングルコニャックの意味とおすすめは？

ブランデー、コニャックに興味を持ち、色々なブランデーを巡っていると必ずと言っていいほど耳にする言葉「プロプリエテール(Propriétaire)」または「シングルコニャック」。その意味と重要性は果たしていかに？

プロプリエテールの意味と基準

プロプリエテール(Propriétaire)という舌を噛みそうなフランス語。それは、栽培、発酵、蒸溜、熟成、瓶詰の全ての工程を自家地で行っている生産者の意味です。ブランデーの場合は全ての工程を自家生産します。一家代々続いている家族経営のブランデーメーカーです。

シングルコニャックとはプロプリエテールが作ったコニャックのことです。しかしこれは俗称で、フランスでは「プロプリエテコニャック(cognac a la propriete)」などと呼ばれています。

ちなみに、シングルコニャックはもちろんコニャック地方で作られるブランデーであるコニャックを指しますが、プロプリエテールは単純に全工程を自家で行っているメーカーを表す言葉なので、コニャックでもアルマニャックでもカルヴァドスでも使用されます。
(ワインにおいても同様にプロプリエテテールという表現を使用します)

プロプリエテールを名乗るには、原料から自家畑産のブドウ畑を使用しなければなりません。他の畑からのブドウを使用すると、その時点でプロプリエテールを名乗れなくなります。なので、大手のメーカーでは実現不可能なのです。
全て自家製。全て自家での生産となるので、規模はどうしても小さくなります。しかしながら、全ての工程に生産者の手が行き渡ったとても貴重なコニャックなのです。その分、生産者の特徴や、ブドウが作られた土壌の特徴などがもろに製品に表れます。それぞれのプロプリエテールを飲み比べてみるのも大変面白いでしょう！

画像出典：http://www.cognac-jeanfillioux.com/

このような生産者は、フランスでも年々少なくなり、ヘネシーやレミーマルタンなどの大手メーカーに押されているのが現状のようです。しかしながら、入念なテイスティングと確かな蒸留・熟成・ブレンド技術を持っているプロプリエテールは現在も高品位なコニャックを世に排出しています。
ヘネシーやレミーマルタンなどの超大手では再現できないプロプリエテールならではの芸術的な風味が堪能できることでしょう。

プロプリエテールのコニャックメーカーは？

フランスにも多くのプロプリエテールが存在しますが、その中でも特に優れたシングルコニャック(プロプリエテコニャック)を製造できるプロプリエテールは10社ほどしかないとのことです。

日本でも有名なプロプリエテールといえば次のコニャックメーカーですね。

ポールジロー (→特集ページ)
ジャンフィユー (→特集ページ)
フラパン (→特集ページ)
レイモン・ラニョー (→特集ページ)
ラニョー・サボラン(サブラン)
ダニエル・ブージュ
ギイピナー
レロー

どれも評価の高いコニャックを排出している自家生産メーカーです。
特に日本ではポールジロー、ジャンフィユー辺りは一般大衆に人気。ラニョー・サボランやレイモン・ラニョーはコアなコニャック好きに定評があるように伺えます。

シングルモルトよりシングルコニャックの方が難しい？

シングルコニャックと聞いて、よく思い浮かぶのが「シングルモルト」などで有名なウイスキー分野です。シングルモルトも自家製ウイスキーを指しますが、何が違うのでしょうか。

シングル・モルトは発酵、蒸溜は自社で行いますが、原料の調達は特に制限がありません。つまり、他の土地から麦を仕入れ、使用することが可能なのです。原料の調達が可能ということはシングルモルトは比較的簡単に増産が可能です。現状として多くのシングルモルトメーカーが蒸留器を増設し、熟成は生産地から離れた都市部の倉庫に集中し、瓶詰もボトリング工場で集中となっているようです。

そういった意味では、原料から瓶詰まで全て自家で調達・作業しなければならないシングルコニャック(プロプリエテコニャック)の方がはるかに難易度が高いと言えるでしょう。プロプリエテールは現在のコニャック・アルマニャック・カルヴァドスを代表するブランデー界にとって失っはならない存在でしょう。