滞在5日目②
2025年9月25日(木)
この日訪問する予定の生産者は2件。まずは午前中にHardy(ハーディ)、そして午後にフランソワヴォワイエです。
今回、初訪問となるコニャック ハーディ。朝9時にマーテルの駐車場に集合し、ハーディのブランドマネージャーを務めるJulieさんと待ち合わせ。

コニャックの市街地から少し離れたハーディの熟成庫と研究施設がある場所まで車で送って頂きました。ちなみにGoogleでHardyを検索するとシャラント川近くの場所が出てきますが、熟成庫はそこにはありません。
Unicoopというコニャック生産者組合
ハーディはハーディ単体としての会社・ブランドもありますが、同時にUnicoop(Union Coopérative des Viticulteurs Charentais)という生産者協同組合に所属しています。
この生産者協同組合はCooperativeと呼ばれており、様々なブランドが所属し、お互いにコニャックの原酒を提供し合ったり、蒸留委託を行ったりしている組織です。CooperativeはUnicoop以外にもいくつか存在し、例えばA.E. Dorが所属するOcéaliaなどがあります。
そのため、この施設にはハーディ以外の原酒が貯蔵されていたり、様々なブランドのための研究施設があったりします。
Cooperativeに関してはやや複雑なのでコニャックの産業形態として別記事にまとめたいと思います。
研究施設に潜入
セラーマスター到着までまだ時間があったので、それまで内部の施設を見学させてもらうことに。
ここはコニャックの成分分析などを行う研究施設です。

ここでは所有ブランドの品質の向上や、ワイン生産者や蒸留家へのフィードバック、輸出用の成分分析表の作成などのために日々様々な分析と研究が行われています。
専用の分析器を使い、小さな生産者単位では解析できない細かいな研究を行っているのですね。
巨大熟成庫に潜入
そしていよいよハーディの熟成庫に潜入します。今回は私以外にもちょうど訪問日が一緒になっていたスロバキアからの訪問者の方々と一緒に熟成庫を回ることになりました。
ハーディの熟成庫は超巨大。建物自体も大きいのですが、そこに積み上げられた樽の数に圧倒されます。

ちなみに樽は全てリムーザンオークを使用しています。
スモールウォーターを飲んでみる
今回、ハーディを訪問した目的の一つはこのハーディだけが持つ特殊な液体を実際に見て味わうためです。
この液体は「スモールウォーター」と呼ばれており、コニャックと蒸留水を混ぜ度数を下げた状態で熟成されたものです。

このスモールウォーターはコニャックの加水に使用されます。
・・・そうです。デラマンで言うところの「フェーブル」なのです。
参考記事
→デラマン訪問:神業的加水の秘密はフェーブルに
スモールウォーターのアルコール度数は20~26度くらいです。味わいは種類によって異なりますが、基本的には薄めたコニャックです。
ハーディでは8種類の加水用「スモールウォーター」を使い分けています。それぞれ熟成年数、度数や風味が異なります。それらをコニャックの熟成に合わせ加水し、度数と風味を調整していきます。
ちなみにこのスモールウォーター、最長で70年熟成以上のものも存在します。驚きです。(それはちょっと度数高め)
なかにはとても特徴的なスタイルのスモールウォーターもありました。それがこちら。

真っ黒な液体です。ここまで黒い加水用の液体は初めてみました。もちろんカラメルによるカラーリングはなしで、全て樽由来の色です。
この長熟のスモールウォーターを飲ませて頂いたのですが、プルーン+エスプレッソです。本当にプルーンを食べながらコーヒーを飲んだような味がします。エスプレッソマティーニが作れそうです。コニャックの味わいとはかけ離れていますが、これはこれで面白いです。
ハーディの加水スタイルは最初に加水
ハーディの加水スタイルはとても特徴的です。
一般的なコニャック生産者は、ある程度熟成を経たコニャックに対してゆっくりと複数回に分けて加水を行い度数を調整します。
しかしながらハーディの加水スタイルは逆。このスモールウォーターを使うタイミングは2回。
まずは蒸留直後にこのスモールウォーターを使って70度近いオードヴィーのアルコール度数を一気に60~55度近くまで落とします。その後はコニャックの様子を見ながら必要に応じて適切なスモールウォーターを追加し度数調整を行います。
最初に一気に度数を落としたコニャックを長期熟成させるのがハーディの熟成スタイルです。
通常は最初に一気に55度まで加水するとコニャックの風味は壊れてしまうのですが、それを壊さずにコニャックに馴染み味わいを豊かにする加水を許しているのがこのスモールウォーターなのです。
セラーマスター曰く、スモールウォーターは手間もかかるが、これこそハーディのコニャックのフレーバーを豊かにし、ハウススタイルを決定付ける最も重要な存在だ、という事を強く言っていました。
今回このスモールウォーターを実際に見て味わい経験できたのが今回の大きな収穫でした。

途中で離脱し次の目的地へ
この日はこの後フランソワヴォワイエとのアポイントがあったのでここで離脱しました。
他の一行はこの後ハーディのパラディセラーへ。私も行きたかったのですが、時間の都合上断念。
残念ですがまた次回ハーディに再訪した際に是非案内して頂けることを楽しみにしています。
そんなこんなでJulieさんに再びコニャック市街地まで送って頂き、フランソワヴォワイエに向かうため長年お世話になっているモルガンさんと待ち合わせ。
ヴォワイエの施設に向かう前に、車でジャルナックに向かいモルガンさんとヴォワイエのオーナー・・いや、南国ランシオの神であるピエールヴォードンさんとランチをご一緒させて頂きました。
次の記事
→やはり神コニャック。ヴォワイエの南国ランシオはどうやって作られるのか?(仮)