コニャックレビュー

コニャック グロペラン トレヴュー グランドシャンパーニュのレビュー感想

今回のレビューは12月に信濃屋から発売されたコニャック グロペラン トレヴュー グランドシャンパーニュ pour BAR DORAS & SHINANOYAです。

SNS上での話題を呼んだこのコニャックですが、とある方よりサンプルを50ml程頂きましたのでレビューして参ります。

グロペラン トレヴュー グランドシャンパーニュの基本情報

グロペラン トレヴュー グランドシャンパーニュ
Jean Grosperrin Tres Vieux Grande Champagne pour BAR DORAS & SHINANOYA

※画像出典:ボトル画像はDorasさんブログ( https://doras.exblog.jp/30813224/ )よりお借りしました。

アルコール度数:46.7%
生産域:グランドシャンパーニュ100%
蒸留:--
熟成年数:--
その他:加水なし・カラメルなし・加糖なし・ノンチルフィルタード
容量:700ml
信濃屋販売価格:65,780円(税込)

このグロペランは信濃屋とBar Doras中森さんとの連名で発売されたボトルです。

中身自体は2022年に信濃屋が選定したプライベートカスク。その後Doras中森さんとのジョイントが決まったボトルです。

中森さんが選定したという訳ではないですが、テイスティングの結果即決で連盟OKとの判断だったとのことでしたので相当の魅力を秘めたボトルであったことが推測できます。

通常グロペランではLot○○といった形でヴィンテージが分かる仕様になっているのですが、このボトルはやや特殊でして、グロペラン側の意向で熟成年数の明記や原酒の提供元生産者を明かさないというボトルになっています。

実は私はとあるきっかけでこのボトルの原酒提供元や熟成年数を知ってしまったのですが、ここは販売元の意向に沿いシークレットとしておきます。

少なくとも熟成年数は70年程で、パスケやフランソワヴォワイエ、ラニョーサボラン、ダニエルブージュといった2025年時点でも有名なグランドシャンパーニュ生産者ではないという事だけ言っておきます。

それでは早速テイスティングを行って参ります。

香り

立ち上がりはナッツの香りが主体で、クルミを思わせる乾いたニュアンスに、シナモンやクローブといったスパイス、キャラメルの甘やかさが重なります。

次第に土や枯れ葉、マッシュルームを連想させる湿度のある熟成香が現れ、ドライイチジクの凝縮感のある果実香が奥行きを与えます。ほのかなスモーキーさも感じられます。

グラスに注いでから約10分ほど経つと、紅茶のような穏やかで落ち着いた香りが立ち上がります。この要素はグラスに鼻を近づけすぎず、縁から3〜5cmほど離した位置で最も明確に感じられます。

30分ほど経過するとウッディな要素が強まり、シガーボックスを思わせる乾いた木の香りが前面に出てきます。さらに50分前後では、チョコレートやリンゴのコンポートのような、甘みと円みを伴う香りが加わります。

1時間を超えた頃には、パン粉のような穀物的なニュアンスとプルーンを思わせる熟した黒果実の香りが現れます。これは液量が減り、空気を多く含むことで進む穏やかな酸化によって引き出される要素であり、本銘柄の大きな魅力のひとつです。

味わい

口に含むと、香りの重厚さからは意外なほど明るく、ライチやパッションフルーツ、イチゴといった瑞々しい果実味が広がります。

果実の甘酸っぱさの中にウッディな骨格があり、全体を引き締めています。

アロマで感じられた熟成感とのコントラストは非常に大きく、香りと味わいの乖離そのものが、このコニャックの個性として強く印象に残ります。

余韻

余韻は長熟コニャックに相応しい長さ。長い、が、期待以上にとてつもなく長いかというと、そこまででもないというのも正直なところ。

ライチやパッションフルーツ、イチジクといった果実の要素が再び現れます。その後、マッシュルーム、タバコの葉、シガーボックス、シナモン、落葉や湿った土を思わせる熟成由来の香りが、幾層にも重なりながら鼻腔に残ります。

時間を置くことでさらに複雑さを増し、30分後には南国果実系のランシオと、枯れ葉や腐葉土を思わせるランシオが混ざり合います。最初の余韻では南国果実の華やかさが一気に広がり、最後の戻り香や鼻抜けの余韻では、枯れ葉やウッディな要素が強く支配します。

一口飲んだ後は5〜10分ほど間を空けることで、その都度異なる余韻の表情を、何度でも楽しむことができます。

グロペラン トレヴュー グランドシャンパーニュまとめ

ここまで枯れ葉系ランシオと南国系ランシオの両要素を持ち合わせ、それらを段階的に楽しめるコニャックもなかなか珍しいものです。

このコニャックを最大限に楽しむためには、一般的なシングル(約30ml)ではなく、40ml以上を注ぎ、大振りのグラスで最低1時間から1時間半ほどかけて味わうことをおすすめします。私も普段はチューリップ型のグラスをテイスティングで使用するのですが、今回は流石にバルーン型の方が良いだろうと判断しバルーングラスでのテイスティングを行いました。実際にチューリップグラスに移し替えたりもしましたが圧倒的にバルーングラスの方が香りの広がりが良いですね。

このグロペラントレヴィユーは2025年12月6日、7日に開催されたウイスキーフェスティバルでも試飲提供されていましたが、その時はプラカップで数mlの提供でした。正直その量と時間でこのコニャックの魅力を感じとる事は不可能であり、むしろ香味が完全に開く前のナッツやウッディ要素だけを拾ってしまい、コニャックに慣れていない方からすると「渋いコニャック」で終わってしまう危険性があるように思えます。そういった意味ではクイックテイスティングや、持ち寄り会などには向かいないコニャックです。

グラスに注いでからの時間経過による香味の変化こそが、本作の最大の魅力であり、短時間のテイスティングでは真価を十分に感じ取ることはできません。

コニャックに理解のあるBarであればこの1杯に1時間半かけて居座る事も許してくれると信じています。むしろバーテンダーの方からそれを推奨して欲しいくらい。

自宅で飲む場合は静かに、時間を贅沢に使って、おつまみなどは挟まずにこのコニャックだけを堪能するスタイルが最も適している一本だと感じます。個人的には疲れた夜よりも感覚が冴えている午前中に楽しむのが良いと感じました。そういった意味ではかなりオタク向けの1本ですね笑

非常に複雑でレベルの高いコニャック故、量を注いで時間をかけて楽しむ。それに尽きるコニャックです。

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