ちょっといいレストランやウェディングなどでは必ず出る「食前酒」。甘いお酒やシャンパンなどで馴染みがありますね。
しかし「食後酒」となると意外と日本では馴染みが薄い存在です。
実はコニャックをはじめとするブランデーは「食後酒」にも最適なお酒でもあります。
食前酒と食後酒との違いとは?そして食後酒としてのブランデーの魅力とは?
食前酒と食後酒との違い
ではまず、食前と食後に用いられるお酒にはどのような違いがあるのでしょうか?
食前酒
日本において、シャンパンや軽いカクテルなどに代表される食前酒の特徴として
- 低アルコール
- 発泡性のもの
- 甘すぎないスッキリ
という特徴が挙げられます。
起源は18世紀の後半にイタリアのトリノから始まったものだそうで、本来の目的は、食事の前に飲むことで胃を軽く刺激し、食欲を増進させたり、出席者の会話を弾ませるきっかけに用いられたようです。
代表格としては割合としてはシャンパン、キール、ミモザ、梅酒、サングリア
等が挙げられます。「食前酒はコレでなければダメ!」という定義がありませんが、やはり目的としては「食欲を増進」「場を盛り上げる」がメインとなるでしょう。
食後酒
食前酒と違い、食後酒には比較的アルコール度数の高い強いお酒が用いられることが多いです。
コニャック、グラッパ、キルシュワッサーなどの蒸留酒。
またはフランス料理では貴腐ワインやアイスワインなど甘口のお酒が好まれることも多いようです。
食後酒の目的としては、やや強めのアルコールを胃に与えることで、食後の消化を促すことにあります。胃で働く消化酵素の一つであるペプシンの分泌を活性化させるため、と一般的には言われています。 ただ、食後酒というワードは日本ではやや馴染みが薄いです。
あまり強いお酒を好む人が少ないという事と、日本酒などの日本のお酒は、食後というよりも食事中に合うお酒が多いことも起因しているでしょう。
食後酒に消化促進効果はない?
さて、当サイトとしてはやはりブランデーにも代表される食後酒に目を向けないわけにはいきません。
「食後酒」というワードで調べると、どこも「消化を促す」や「胃の働きを活性化させる」という結論に至っています。これはもはや定説であり、かなり周知されている内容なのですが、色々調べているうちに、この神話を覆す面白い内容も出てきました。
アルコールは消化を促さない?
特に特徴的なのは、BMJ(ブリティッシュ メディカル ジャーナル)というイギリスの医師会雑誌に掲載されている研究結果です。
この研究結果は2010年のもので、ちょっと古いのですが、読んでみると面白いです。
↓コチラ↓
http://www.bmj.com/content/341/bmj.c6731
全文英語なので、読むのが結構根気が要りますが、結論から言うと
「アルコールは胃弛緩を促進する一方で、消化を遅らせる」という結果となっています。
なんともまぁこれまでの常識を覆す結果となりましたが、正直これがどこまで本当なのか、どちらが正しいのか、正確なところは分かりません。。。
ただ、胃緩和を促進するのであれば、コニャックは実際に食べた物を消化するのを助けるわけではありませんが、胃の中はリラックスできるのではないでしょうか。
ダイエット効果としての食後酒
もしこの結果が本当だとしたら、食事を抑えている人たちには嬉しいニュースかもしれません。
現にこの研究結果が発表された当初、女性のコニャックファンの人たちからこのような声が挙がったそうです。
「消化を遅らせてくれるのだったら、食欲が抑えられて食べ過ぎ防止になる」と。
もし、食後酒に消化を遅らせてしまう効果(?)があるとしたら、人によっては嬉しいかもしれませんね。
食後酒としてのブランデー(コニャック)
先ほどの研究結果とは反対に、コニャックを使った食後の抗酸化作用に関する実験があるようです。
こちはBiomed Central というイギリスの研究チームが2008年に行った検証です。2008年なので若干古い検証データですが、レミーマルタンを食後酒として飲んだ場合の体内の作用を検証した実験がありました。
実験の詳細はちょっと不明でしたが、20代の健康な男性を複数名起用して、食後にレミーマルタンのコニャック(たぶんレミーマルタンXO)を飲のんで体の変化をとらえたところ、レミーマルタンを飲んだグループの血液中の抗酸化物質の増加が確認されたそうです。
使われたのはたまたまレミーマルタンですが、これはマーテルでもジャンフィユーでも恐らく変わらないとは思います。
この実験結果を見たところで「で?」という感じは否めませんが(笑)
色々調べていく中で感じた事は、食前酒や食後酒の科学的な効果云々の前に、ブランデー(コニャック)に特化した検証実験ってやっぱ少ないんですね。。。
何はともあれ食後を楽しむ
食後酒に関して色々調べているうちに「消化促進が~」とか「抗酸化作用が~」というのは確かに大事ですが、それ以上に「食事の余韻を楽しむ」ことが一番大事だなぁと思いました(笑)
ただ、ワインやサングリアなどが健康の観点から注目されるように、コニャックはじめブランデー全般も健康観点からのアプローチというのは非常に興味深い所ですし、新たなターゲット層にもなると思います。
食後といえばお茶やコーヒーになりがちですが、「じゃ締めのコニャックを・・・」という流れがメジャーになる日が来るといいなぁ。