コニャックの作り手は大きく分けて「プロプリエテール」と「ネゴシアン」に分別されます。・・・ということは知っている方が多いかもしれません。
プロプリエテール(Propriétaire)とは、コチラの記事にも書いたように、栽培、発酵、蒸溜、熟成、瓶詰の全ての工程を自家地で行っている生産者の意味です。ブランデーの場合は全ての工程を自家生産します。一家代々続いている家族経営のコニャックメーカーです。
それに対し、「ネゴシアン」は簡単に言うと原料を別の農家(メーカー)から購入し、それらを自社で熟成・ブレンドする製法を取り入れているメーカーを指します。
ただ、実はこのネゴシアンも、もう少し細かく区分けができるのです。
コニャックの作り手を「プロプリエテール」と「ネゴシアン」だけではなく、もう少し細分化して見てみましょう。そしてそれらに該当する作り手達とは?
※なお当記事は、(今は活動してない)日本コニャック協会が2007年冬に発刊した「コニャック新聞 No.1」の内容を参考に、2018年向けに書いています。あくまでも実状(主にどの商品で生計を立てているか)に沿った独自の区分けであり、フランスコニャック協会(BNIC)に登録されている区分けとは異なる場合があります。
4つのメーカー区分け
コニャックメーカーは製法別に次の4つに大別できます。
- ネゴシアン・エルヴール(Négociant Eleveur)
- ネゴシアン・プロプリエテール(Négociant Propriétaire)
- ネゴシアン(Négociant)
- プロプリエテール(Propriétaire)
それぞれ少し解説し、該当のメーカーを見てみましょう。
1. ネゴシアン・エルヴール(Négociant Eleveur)
ネゴシアン・エルヴールは、少数の契約農家からのみ原料を購入し、ブレンドして熟成を行うメーカー達。自社で蒸溜はしない。いわゆる「熟成家」。
ノー・カラメル、ノー・シュガーで、こだわりは強い。
ネゴシアン・エルヴールの代表的なコニャック
・デラマン
・レオポルドグルメル
など
2. ネゴシアン・プロプリエテール(Négociant Propriétaire)
ネゴシアン・プロプリエテールは、自社畑も所有しているが基本的には他の農家から原料を買い、ブレンド、熟成を行った商品をメインとしています。大量生産が可能。
大きな会社が多い。
その気になれば自社畑オンリーのプロプリエテ・コニャックも作ることはできますが、コスパが悪く、あまりそのような商品は作らない。
ウイスキー的に言えば、蒸留所を所有しているブレンドスコッチ:シーバスリーガルやジョニーウォーカーなどが近い。
ネゴシアン・プロプリエテールの代表コニャック
・ヘネシー
・カミュ
・マーテル
・A.E.ドール
・バロン・オタール
・ビスキー
・ゴーティエ
など
3. ネゴシアン(Négociant)
いわゆる普通のネゴシアン。自社畑を保有していない会社。複数の農家から原料(またはスピリッツ)を購入して作る。
ネゴシアンの代表コニャック
などなど
4. プロプリエテール(Propriétaire)
みんな大好きプロプリエテール。
ブドウの栽培から蒸留・熟成・瓶詰めまで全ての工程を自社で行う自家生産メーカー。ほぼ完全にそのコニャックのみで生計を立てている人たち。
プロプリエテールの代表コニャック
・ポールジロー
・ジャンフィユー
・フラパン
・ダニエル ブージュ
・レイモン ラニョー
・ピエール・ドゥ・スゴンザック
・レロー
などなど
生産体制を知って飲む
日本では知られていないものを含め、コニャックの銘柄はまだまだ800ブランド以上存在するので、本当なら全て区分けしてみたいところですね。
各メーカーがどのような生産体制でコニャックを作っているのか、その背景を考えながらコニャックを飲んだり、どのボトルを買うか選んだりすると、また違った楽しみ方が見えてくるかもしれません。