ウイスキーと比べると色んな人の論文を見つけようとしてもなかなか難しいのがブランデー。
今回はブランデーの中でもコニャックに絞って考えてみましょう。
世界のシェアを考えると当然かもしれませんが、コニャックに関する化学的な論文は数が少なく、「なぜこう言えるのか?」を語るにあたりその根拠となるものを探すのに一苦労します。
特に日本語でのコニャックに関する論文なんて皆無に等しいですよね。なのでどうしても英語あるいはフランス語となってしまうのですが、そんな中でも特に私が影響を受けたコニャックに関する面白い論文と研究を紹介します。
だいぶマニアックな内容ですが、ディープなコニャックファンには是非一度は読んで頂きたいものですので興味のある方はご参考になれば幸いです。
論文は全て英語ですが、そのまま読める方はそのままで、英語苦手だよというかたは論文のPDFを自動翻訳にかけて頂ければある程度は読み解くことができますので是非試してみて下さい。
コニャックにおけるランシオの発生要因
コニャックの香味を評価する指標として「ランシオ」という言葉があります。ランシオに関してはコチラの記事にも書きましたが気になる方は読んでみて下さい。
私の記事よりも更に細かく書かれた論文を紹介します。
コニャックのランシオが発生する科学的な要因の一つにワイン中の高級脂肪酸が変化したメチルケトンと蒸留時のエステルが重要な役割を果たす。それを科学的な論文としてJournal of the Science of Food and Agricultureで発表されたのが2003年。
全文はここから読めます(有料)
Analysis of microvolatiles in brandy: relationship between methylketone concentration and Cognac age
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jsfa.1516
コニャックの面白い研究は他にも色々あるのでマニアックだけど興味ある方は読んでみると良いかもしれません。
以下は無料です。
蒸留後のコニャックに含まれる臭気物質測定
Determination of Key Odorant Compounds in Freshly Distilled Cognac Using GC-O, GC-MS, and Sensory Evaluation
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jf049512d
電界処理を使用したブランデーの熟成プロセスの促進
Aldehydes, Acids and Esters Analysis of Brandy Aged in Oak Barrels Treated by Electric Field
https://www.sciencepublishinggroup.com/article/10035602
樽の焼き具合による特性の違い
Sensory characterisation of Cognac eaux-de-vie aged in barrels subjected to different toasting processes
https://oeno-one.eu/article/view/4853
酒とは化学
醸造、蒸留、熟成・・・それらは全て化学変化の賜物です。
私は科学者でもなければ生産者でもありませんので全てを理解できるかというとそうではありませんが、やはりこのような「へぇ~」となる事を知るのは楽しいですし、よりお酒の深さを再認識できます。
たまにはこのような固い内容をじっくり読んでみるのも一興ではないでしょうか^^