滞在3日目①
2025年9月23日(火)
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→コニャックよ、私は帰ってきた!コニャックの民泊と癒しの猫さん

滞在3日目となるこの日は、昨今日本でも知名度を増してきているジャン・リュック・パスケへ訪問です。2019年と2023年に続き、今回で3回目の訪問となります。現当主のJeanさんとAmyさんには毎度暖かく迎えて頂き、とてもお世話になっています。
2019年と2023年の訪問記はコチラから
→2019年:ジャンリュックパスケのオーガニックコニャック達
→2019年:衝撃!実は○○○○のコニャックの蒸留も請け負っているパスケ家の蒸留とは・・・
→2023年:再訪そして進化するJean Luc Pasquet
この日は朝8時半にパスケのスタッフとして勤めているPaulさんとコニャック市街地で待ち合わせて、一緒に出勤させて頂く事に。ありがとうございます。
車を走らせること約20分、再びパスケの地を訪れることができました。
オーガニックコニャックのブドウ育成に使われるもの
パスケのコニャックには様々なシリーズがありますが、その中でもやはりパスケといえばオーガニックコニャックでしょう。
到着して早速オーガニックで育てているブドウ畑(フォルブランシュ)を見させて頂きました。残念ながら今年の収穫は既に終わった後でしたが、葉っぱはまだまだ青々としています。

オーガニックコニャックでは化学肥料や防虫剤、ドライイーストなどは一切しようしないため、細心の注意を払ってブドウを育てる必要があります。しかしながら、オーガニックといえど何も対策をしないわけではなく、オーガニックコニャックとして認められている素材を使って虫を避けたり、肥料として使ったりしています。その中でも重量な役割を果たすものたちを見せて頂きました。
これらがオーガニックコニャックのブドウ育成に使われているものたち。実物はあまり見た事ない人が多いのではないでしょうか?他にも色々あり、一部ではありますが、ひとつひとつ見ていきましょう。
このような素材を使いながらオーガニックコニャック用のブドウを育てています。
Bordeaux Mixture(ボルドー液)

ボルドー液
成分: 硫酸銅と石灰の混合物。
用途: ベト病を防除する。
ボルドー液はワイン造りにおいて有名な防虫剤ですね。この粉を希釈して散布します。パスケでは、銅は必要なときにのみ、そして土壌のバランスを保つために効果が得られる最低限の量だけを使用しています。
Sulfur(硫黄)

用途:ぶどうの木を粉状のうどんこ病(オイディウム)から守る。
使用方法:粉末またはスプレーとして真菌の発展を抑制するために使用。
Nettle Decoction(イラクサ煎じ液)

イラクサ煎じ液 urtica dioica(セイヨウイラクサ)
用途:ブドウ樹の自然な防御力を高め、成長を促進する。
特性:窒素、ミネラル、天然の植物ホルモンが豊富。
使用方法:葉面散布および土壌刺激剤として使用。
Kaolinite White Clay(カオリナイト(白粘土)

用途: 葉やブドウに物理的なバリアを形成し、害虫を防ぐ。また、日光を反射させて熱ストレスを軽減する。
使用方法: 熱波の際にブドウの葉の上に細かい霧状にスプレーする。
特にフォルブランシュは熱射に弱いのでこのバリアは必須。
Faba Beans and Grains as Cover Crops(ファバ豆と穀物のカバークロップ)

ファバ豆と穀物をカバークロップとして使用。
※カバークロップ:主作物の収穫を目的とせず、土壌侵食防止、有機物の供給、雑草抑制などの目的で栽培される作物のこと。
空気中の窒素を取り込み、土壌を植物に適した状態に整え、土壌の肥沃度を高め、微生物を供給する。
緑肥として提供。穀物は有機物と土壌の構造を築き、浸食を減らし、土壌の圧縮を防ぎ、昆虫をサポートする。
Horsetail Decoction(オオバコの煎じ薬)

用途:真菌性の病気を防ぎ、ブドウの抵抗力を向上させる。
特性:シリカを豊富に含み、植物細胞壁を強化する。
適用方法:特に湿度の高い気候で葉にスプレーする。伝統的には、薬草学と生物動態農法で使用されてきた。
Willow Decoction(ヤナギの煎じ薬)
用途:ブドウの免疫反応を強化する。
特性:サリチル酸を含み、これはアスピリンの天然前駆物質である。
適用方法:スプレーする。病気の圧力を減らすための予防的使用。
パスケの新設備に潜入!
ジャン・リュック・パスケでは2022年頃から熟成庫や醸造施設、民泊部屋など、パスケの設備を刷新するために多大な投資を行っていました。
その刷新もいよいよ終盤。前回訪問した2023年1月には熟成庫が完成したばかりでしたが、今回はそれに加え新たな醸造タンク、熟成庫も完成していました。これでかなりの生産量が確保できそうですね。

発酵に使うイースト菌は?
オーガニックコニャックを作る場合、ワインの発酵過程においても人工のイースト菌は使わずに、ナチュラルイーストのみを使用します。
栽培時に自然につくイースト菌と他にどうやっているかというと・・・・
1バッチくらいのブドウを素足で踏みつぶしています。イベント用にやってるのではなく、ちゃんと使います。これをブドウ果汁に投入することで、(足から)取れたイーストが繁殖してこの1バッチがイーストのスタータとなります。
パスケのインスタより。足踏みの様子はコチラから。

それから24~36時間ほど放置しておくと発酵がスタートしてワインになっていくわけです。一時期はやった素手で作る発酵シロップの要領ですね。
そういったアナログな方法でパスケのオーガニックコニャック用のワインは作られていきます。
新しい熟成庫へ
前回伺った際は樽が数個しか並んでいなかったこの新しい熟成庫も、今ではコニャックの樽で満たされています。前回はこの熟成庫ができたばかりで、ドライな熟成庫になるか湿度が高い熟成庫になるか分からないとのことでしたが、現状は湿度は低く、ドライ寄りの熟成庫として落ち着いているそうです。この新たな熟成庫でこれから数年、数十年かかけて育つコニャック達が楽しみですね。

樽から直にテイスティングさせて頂きながら楽しいひと時を。
蒸留所はまだ改装工事中。もちろん20ヘクトリットルの蒸留器はそのまま使いますが、周りの壁や内装はよりゲストを招きやすいよう綺麗に工事中です。今年の蒸留時期までに間に合わせたいとのことですが、残り1ヶ月半ほど・・・ほとんど工事が進んでないそうですが果たして間に合うのでしょうか。Amyさんも「みんなLazyだからめっちゃ不安」って言ってました笑
パスケで最も古い原酒を頂く
熟成庫を巡る中で、パスケのディミジョン(コニャックを保管するガラス瓶)に保管されている現存するパスケの原酒で最も古いものをテイスティングさせて頂きました。
ヴィンテージとしては1949年、1962年、1973年のブレンドで、2022年にディミジョンに移されたプティットシャンパーニュ コニャックとなります。
管が通らなかったため、ディミジョンを持ちあげて直接注いで頂きました笑


大変貴重な機会をありがとうございました。
じっくりとテイスティングタイム
一通りパスケの新施設を説明して頂いた後は、ゲストルームでAmyさんとマンツーマンでゆっくりテイスティングタイム。1時間半ほどじっくりとテイスティンし、日本Barの事やこれからのパスケの展開などについて楽しくトークさせて頂きました。

何種類ものコニャックとピノーデシャラントを飲ませて頂きましたが、中でも印象深かったのはこちら。
パスケ トレヴィエイユ フィーヌシャンパーニュ 53年熟成。アルコール度数は46.7%。生産量は284リットルで限定568本(500ml)です。

ブレンドとしては下記の通り。(カッコ内はブレンド比率)
1970年プティットシャンパーニュ(19%)
1970年グランドシャンパーニュ(33%)
1971年グランドシャンパーニュ(48%)
の3つのヴィンテージのブレンドとなっています。
こちらのボトルは9月にブレンドを終えたばかりの商品で、これからリリースされるパスケの長期熟成コニャックです。アジア人でこのコニャックを飲むのは初ということで光栄に授かりました。
文句のない南国系ランシオが余韻として長く長く残る珠玉のブレンド。今後日本にも入ってくることを祈ります。
また次回の訪問も約束
そんなこんなで楽しいテイスティングタイムがあっという間に過ぎてしまいました。
パスケのAmyさんにはいつも暖かく迎えて頂き、本当に感謝しています。

今後、パスケのコニャックは輸入代理店も増えたりプライベートボトルも増えたり、正規輸入品も増えたり、日本でも更なる発展を遂げることでしょう。私は直接コニャックを輸入することはできませんが、このBrandy Daddyを通じて少しでも貢献できればと思います。
さて、そんなこんなで午後からはパスケからも程近いコニャック テセロンに向かいます。そこで体験した驚くべき古酒の数々とは・・・
次回
→テセロンの熟成庫で味わう1865年の150年超えコニャックからしか得られない栄養がある(仮)