コニャック滞在記2019年 冬

コニャック滞在記⑫:ジャンリュックパスケのオーガニックコニャック達

2020年1月4日

滞在4日目その3
2019年12月6日(金)午後

Jarnacからタクシーで移動すること約15分。

ポールジローのあるブートビル村を超え、やってきたのはオーガニックコニャックで有名(?)なコニャック生産者「Jean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ) 」です!最も楽しみにしていた訪問の一つです。

場所はコチラ↓

タクシーから降りるとちょうどJean Luc Pasquetの現責任者Jean氏が家から出てきてくれていてNice to meet you!

Jean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ) は先代のJean Luc(ジャン・リュック)氏から、現在は息子さんのJean氏、そして奥さんのAmyさんに経営が引き継がれ、現在はこのご夫婦2人がメインで完全オーガニックのブドウの栽培から蒸留、熟成、瓶詰めまで行っている家族経営コニャック生産者です。ちなみにAmyさんはアメリカ生まれのアメリカ育ちです。

めちゃめちゃ素晴らしくいい人達。一家の笑顔に癒されます。

Jean Luc Pasquet HP

オーガニックを始めて20年

現在のJean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ) のワイン畑の歴史は1730年に遡りますが、その時はSerillet家というファミリーが現在のJean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ) のブドウ畑を所有していました。その後数世代にわたって大手メーカー向けのワイン作りを続け今のパスケ家に畑が引き継がれ、1977年にJean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ) ブランドが誕生します。Jeanさんのお父さんが立ち上げました。

左がJeanさん。右がお父さんのJean Lucさん(引退)。親子代々コニャック一家。

その後約20年間は他のコニャック生産者と同じようにブドウの栽培やコニャック作りを行っていましたが、転機が訪れたのは1994年。オーガニック製法の魅力に魅了された彼らは翌1995年から自分達の畑をオーガニック製法に転換。1998年にオーガニック生産者の証明を得ました。

オーガニックコニャックは3種類

現在Jean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ) のオーガニックコニャックは次の3ラインナップです。

L'organic 04 Grande Champagne Cognac
L'organic 07 Grande Champagne Cognac
L'Organic 10 Grande Champagne Cognac

L'Organic 10はかなり良かったので1本現地で買いました。

それぞれ数字の通り、4年熟成、7年熟成、10年熟成です。

完全オーガニック栽培。ノンシュガー、ノンキャラメルです。詳細はまた後程。

ちなみに15年熟成とかも出すのか?と聞いたところ、今のところその予定はないそう。

日本に流通しているのはオーガニックではない

2020年1月現在、日本国内にもJean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ) のコニャックはいくつか流通しています。

Jean Luc Pasquet Tradition familiale
Jean Luc Pasquet Napole'on
Jean Luc Pasquet XO
Jean Luc Pasquet Tles Vieille Reserve

この4つはいずれ現在のパスケ夫妻のお父さんジャン・リュック氏世代のコニャック達で、彼らがオーガニックを始める以前の葡萄が使われています。ジャンリュックパスケブランドのコニャックではありますが「オーガニックコニャック」ではありません。また細かい事をいうと、10年くらい前の「Tradition familiale」はグランドシャンパーニュではなく、プティットシャンパーニュも混じっています。(=フィーヌシャンパーニュ)

この辺はAmyさんに直接確認したので間違いないです。

そして上から3つくらいはもう商品としては新規リリースしておらず、今流通している分のみ。

ということで、これら現在日本に流通しているJean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ) のコニャックは「オーガニック」コニャックではないので混同しないよう注意が必要です。

注意といっても悪い意味ではありません。この4つとも文句の出しようのない高品位なコニャック達です。

特にJean Luc Pasquet Tles Vieille Reserveはマジでめちゃめちゃ素晴らしい。ブレンドされている最も若い原酒が1974年。あとは年数不明の古酒がブレンドされていて、香り立ちと余韻の長さ、ランシオが半端ない。まぁ個別のボトルの感想に関してはまた別記事にて書く機会を設けられればと思います。

オーガニックかどうか付加価値の一つなのですが、それ以外のコニャックもほんと素晴らしいです。

Jean Luc Pasquetの畑

Jean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ)は現在全部で14ヘクタールの畑を持っています。8ヘクタールがグランドシャンパーニュ。6ヘクタールがプティットシャンパーニュです。

実はここはグランドシャンパーニュとプティットシャンパーニュのちょうど境目の付近にあり、パスケさん家はグランドシャンパーニュですが数200メートルくらい先の電柱を超えるとプティットシャンパーニュのエリアになります。両方の土壌が近くで楽しめる(?)珍しい場所です。

オーガニック製法を行っているのは8ヘクタールのグランドシャンパーニュのみ。プティットシャンパーニュの方はまだオーガニック製法を取っておらず、コニャック以外のお酒(ピノーデシャラントやその他の食前酒)に使用しており、これから数年後にオーガニック製法に徐々に転換していく予定だそうです。

貴重なフォルブランシュ畑

ブドウ品種の内訳としては

ユニブラン:11ヘクタール
(→グランドシャンパーニュとプティットシャンパーニュにそれぞれある。)

フォルブランシュ:1ヘクタール
(グランドシャンパーニュ)

メルロー:1ヘクタール

モンティール(Montils):1ヘクタール

となっており、コニャックに使用しているのは主にグランドシャンパーニュにあるユニブランとフォルブランシュのみ。また近年のコニャックとしては珍しく、ごく一部だけ若いオーガニックコニャックにMontilsも使用しています。(コニャックAOC的には全体の10%までMontilsは使用可能)

メルローは主にピノーデシャラントを作る際のジュース用。

こちらがパスケさん家のすぐ横の畑は彼らが所持する貴重なフォルブランシュの畑。

※フォルブランシュは病気に弱く、1800年代後半のフィロキセラ(ブドウを枯死させるアブラムシの一種)により一度壊滅状態となっています。そのため病気に強い品種であるユニブランが主流の現在ではフォルブランシュを育てている農家自体少なく、葡萄の品種として貴重な存在。

フォルブランシュを植え始めたのはオーガニック製法を始めた頃と同時期の90年代後半から2000年初頭。2010年以前の原酒をブレンドしているオーガニックコニャックシリーズにはフォルブランシュのオードヴィーもブレンドされています。その後、 2010年に初めてフォルブランシュのみので蒸留したオードヴィーを作り、それ以降はフォルブランシュのみ別々の樽にストックしているんだそう。なので最近のオーガニックコニャックはほぼ全てユニブランとのこと。

畑の草は刈り入れせずに、基本的にそのままにしておくとのこと。あくまでも自然を尊重。

ちなみに、 Jean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ)が所有するグランドシャンパーニュの畑ではほとんど肥料を使わない。使う必要がないくらい土が肥沃だそう。

仮に肥料を使うとしてもオーガニック製法なので化学肥料は使えません。使うとしても完全有機肥料のみ。

ミクロクリマ

ポールジロー氏でも有名なこのブートビル村付近のグランドシャンパーニュエリアは「ミクロクリマ」(英語ではマイクロ・クライメット=microclimate=日本語では「微気候」) と呼ばれており、 小高い丘のアップダウンが激しいため同じグランドシャンパーニュの土地でも少しのエリアの差や高低差によって降雨量が全く異なるという特殊な気候になっています。

丘の向こうはポールジロー氏がいるブートビル村

パスケ家のグランドシャンパーニュ畑も例外ではなく、ミクロクリマの影響を大変受けやすく、このエリアは比較的雨が少ない場所だそう。特に今年の夏は降雨量が例年よりも少なく、ブドウから十分な果汁が得られず、搾汁できるジュースの量も少なくなってしまったとか。でもそれも含めて自然の産物なのでうまく付き合わなければなりません。サバイバル。

2012年から機械での収穫を開始

Jean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ) が葡萄の収穫に機械を使い始めたのは2012年のこと。それ以前は全てまさに一つ一つ手掴みでブドウを取っていたそう。

でも年々手伝ってくれる人達が引退したり、歳をとったりで人手が足りなくなり、機械での収穫に徐々に移行していったそうです。やはりここにも高齢化問題が・・・。

収穫マシーンは1台買うと何千万円もします。しかし収穫機に何千万も投資する程の広さでもないし、数日で完了するので、買うのではなく近所の農家で複数台をシェアしているとのことでした。共有で十分とのこと。

これは別の生産者(ABK6)に訪問した際に撮った収穫機

機械に移行して分かったこと、それは・・・機械って楽で正確だ!(笑)だそう。

発酵時どうやってイースト菌を生み出すのか?

その時々にもよりますが、蒸留用のワインを発酵させる際にコニャックでは(確か)8種類のイースト菌を加えて発酵を促進することが許されています。有名どころではzymasilやFC9といったイースト菌です。

しかしオーガニック製法の場合は人工的なイースト菌は添加せずに、あくまでも自然界に存在する天然のイースト菌(Native Yeast)に頼ります。

Native Yeastを得る方法としては、機械による収穫の前に少し手掴みによる収穫を行い、その後奈良漬けを作るときのように葡萄を足でつぶしてジュースにするという絵画とか昔のワイン作りに出てきそうな方法でブドウ果汁を作ったり、発酵タンクに少しだけ地面に落ちたブドウの枝などを加えることで自然のイースト菌を活用して発酵を始めることができるそう。

そこにオーガニックのコダワリがある。

めちゃめちゃ大変だけど、全てそのやり方で統一して慣れてしまえば発酵以降のプロセスは特に問題ないそう。

逆に普通のコニャックを作っている所が一部オーガニックにしたりすると、葡萄の製法から発酵まで完全に分けないといけないので、両方やってるところの生産者のほうが大変でみんなオーガニックをやめてしまうそう。そりゃポールジローも「もうオーガニック大変すぎるからやりたくない」と言うわけだ(笑)

実は他生産者の蒸留も行うパスケ家

続いてはパスケ家の蒸留と熟成庫、そしてテイスティングです。

実はパスケ家はプロプリエテールとして有名な某コニャックブランドの蒸留も請け負っているのです。そうなるとそこはプロプリエテールとは呼べなくなってしまう気もするのですが・・・

またまた長くなってしまったので、続きは次の記事にて!

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衝撃!実は○○○○のコニャックの蒸留も請け負っているパスケ家の蒸留とは・・・

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