ブランデーグラス 楽しみ方

ブランデーグラスの正しい持ち方:グラスは手で温めない

2015年7月1日

ブランデーの飲み方で疑問に思うのが、ブランデーグラスの持ち方です。

ストレートで飲む場合は、ものにもよりますが、ブランデーグラスの選び方ページで紹介したようなチューリップ型の細いグラスの方が香りが立ちます。

では、昔からよく見る、人差し指と中指で脚を挟み、グラスのボウル部分を手のひらで温めながら飲む持ち方は間違いなのでしょうか?

(画像:Wekipediaより)

厳密に言うと、別に間違いではありませんが、あまりスマートな飲み方ではありません。
昔からのイメージで、ブランデーは手のひらで温めながらコロコロとグラスを転がすイメージがありますが、個人的にはおすすめできません。理由は次の通りです。

手で温めるのは昔の質の低いブランデーだった

なぜこのような持ち方がはやったのか、経緯を紐解いてみましょう。

昔のブランデー、特にあまり質の高くないブランデーにはこの持ち方が用いられていました。
熟成技術が未熟だったころ、高級ブランデー以外の質の低いブランデーは、グラスに注いだだけではあまり良い香りが立たなかったのです。
そこで、手の平に乗せ、体温でブランデーを温めることでアルコールの揮発性を高め、香りを強制的に出そうとしていたのが始まりです。

今のブランデーは温めなくてよい?

しかし、現在は熟成や工場の技術も高くなり、5,000円以下の安いブランデーでも十分に香りがたつほど品質が高くなっています。

そのため、現在は手で温める必要はありません。

というか温めないほうがよいです。
手のひらで温めてアルコールの揮発性を高くしてしまうと、アルコールの余計な刺激臭が強くなってしまい、ブランデー本来の香りを邪魔してしまいます。

ブランデーに馴染みが薄い日本では、たまにストレートでも手のひらで温める飲み方をされている方もいらっしゃいますが、現在その飲み方はヨーロッパ地方ではあまり良い飲み方とされていませんので、要注意です。

またこのバルーン型のグラスはそもそもブランデーが空気に触れる表面積が大きくなるため、香りが強烈になりすぎ、心地の良いアロマを消してしまう傾向があります。グラスメーカー大手のリーデル社もバルーン型のグラス(ブランデースニフタ)というグラスを出してはいますが、香り立ちが強烈になりすぎる事からリーデル社自身があまりこのグラスをブランデー用のグラスとしておすすめしていないという面白い実態があります。
→参考資料:リーデル社11代目当主マキシミリアン・リーデル氏の【スピリッツ】グラステイスティング・レポート(記事を見る)

更に、ブランデーではありませんが、ウイスキーグラスの検証会にてこのバルーン型のグラスは「アルコールが攻撃的になり、優しいローランドのアロマを台無しにしてしまう。」として酷評されていたり・・・(その検証元記事はコチラ)

と、いうことで「温めることでアルコールの揮発性を高くして刺激が強くなりすぎる」「ブランデーが空気に触れる表面積が広すぎて香りが強烈になりずぎる」という理由から昔ながらのコロコロ手の平で転がすバルーン型のグラスはおすすめできません。

ブランデーに最適な温度は?

ではブランデーの適温は何度くらいでしょうか?これはもちろんブランデーの種類や好み等で様々かと思われます。よく言われるのは「室温」ですが、室温というのは非常に曖昧な表現ですね。ではブランデーに最適な温度とは何度か?
ブランデーを代表する「コニャック」の場合は18~20℃くらいか最適な温度と言われています。これは理論的な根拠があるわけではありません。18℃~20℃というのは私の経験測とコニャックエデュケーターの鯉沼康泰氏が推奨する適温であることから導き出した温度です。

温度が高いとアルコール臭がキツくなるので、他のブランデーもストレートで飲む場合はコニャックと同じく18℃前後が最も香り高くなる温度でしょう。逆に何かで割ったり、アルコール度数が低いブランデーに関してはもう少し暖かくても香り立ちが良くなる場合があります。

参考:ブランデーの適温は何度か?

おすすめのブランデーグラスは?

おすすめのブランデーグラスは冒頭にも書いたように、リーデルのコニャックVSOPポリ社製グラッパグラス などの細身のくびれたグラスです。

なぜ細身のくびれグラスがブランデーに向いているのかの理由はコチラの記事にどのサイトよりも詳しく書いていると思いますのでご参照ください。

推奨されるグラスの持ち方?

ブランデーストレートの場合は、グラスの脚(ステム)を持つようにして飲む方法が推奨されます。
ボウル部分を持ってブランデーの液体そのものを温めてしまわないよう注意しましょう。

ちなみに、ワインの場合は諸説ありますが、逆だったります。日本人の場合、ワイングラスの脚(ステム)を持つ飲み方が正しいとされる事が多いのですが、これは実はソムリエがテイスティングをする際の飲み方です。(ワインを横から見るため)
ワインの場合、国際的には、晩さん会やパーティーの場合、ボウル部分を指で持つような持ち方がマナーとなっている場合もあるようです。
※立食のみの晩さん会だったり、ステムが短いワイングラスの場合だったりと諸説あります。

ブランデーとは逆。ややこしいですね。。。

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