滞在3日目②
2025年9月23日(火)

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→ジャン・リュック・パスケの新らしい熟成庫と設備、オーガニックコニャックを作る肥料たち
パスケを後にし、午後からはパスケから車で10分ほどの所にあるコニャック TESSERON(テセロン)へ。
今回一緒に回って頂くのは、テセロンのヨーロッパ担当のアルノー。そう、このアルノーです。

アルノーは2019年~2023年までABK6コニャックのアジア担当として所属し、私も前回、前々回の訪問時にも一緒に回ってもらったり、日本に来た時は一緒にコニャックセミナーを開いたりと大変お世話になりました。
アルノーはその後ABK6からテセロンに転職し、ヨーロッパ全域の担当となり着々とキャリアアップを重ねています。
参考記事
→ABK6の全てを語ろう(1) 最大級のシングルエステートコニャック
→ありがとうコニャック!また次会う日まで
→3年ぶりのABK6とベテラン蒸留責任者ダニエル氏と再会!そして今年の蒸留液は
→ABK6コニャックのアルノーが来日:アテンドとABK6コニャックセミナー
本来であれば日本からの訪問者である私はアルノーの担当外なのですが、ABK6コニャック時代からの付き合いということで快く案内を引き受けて頂けました。普段の勤務地はテセロンのボルドー支部なのですが、この日のためにわざわざコニャックまで来てくれてありがとうございます!
アルノーと一緒に(ボリュームたっぷりな)昼食を済ませた後、まずはテセロンの畑へ。既に今期の収穫は終わった後でしたが、グランドシャンパーニの中心に位置する大変質の良い畑たち。

テセロンの歴史自体は1800年代に遡り、1800年代の原酒を最も多く保有するテセロンですが、TESSERON Cognacの名前で自分達のブランドとしてコニャックをリリースし始めたのは2003年のこと。以外とブランド自体は新しいコニャックなのです。
感動の熟成庫で1865年のコニャックを飲む
一通り畑や蒸留施設を見せて頂いた後は、お待ちかねの熟成庫へ。
まずは若いコニャックやブレンド用の大樽が眠る熟成庫へ。

なお、テセロンのコニャックの熟成は必ず次の3ステップを踏みます。
①新樽で10ヶ月ほど熟成させ、タンニンの量を調整する
②Redバレルと呼ばれる15年~20年使用した古樽で4~15年熟成させる
③更に古い古樽で熟成させる(最長100年とか)
そして奥に移動し、1800年代の原酒が眠る保管庫へ。ここの保管庫はすべてダムジャン(ガラス瓶)用の保管庫となります。ここともう一か所あります(後述)。

テセロンは1800年代の原酒を最も多く保有するコニャック生産者としても有名です。2025年現在、約2,000個のダムジャンが眠っており、そのうち3分の2ほどが1800年代の原酒だとのことです。恐ろしい資産だ。
ただ、年々古い原酒を放出しているため必然的に1800年代の原酒は徐々に徐々に少なくなっているとのこと。
そして今回ここでテイスティングさせて頂いたのが1865年ヴィンテージのコニャックです。


うひぃー感動で言葉を失います。
タイトルの通り、テセロンの熟成庫で味わう1865年の150年超えコニャックからしか得られない栄養があるのです。
更に古いパラディセラーへ
1865年のコニャックをグラスに持ちつつ、更に別の場所にあるパラディセラーへ。
こちらも1800年代のコニャックがわんさかわんさか。全てダムジャンに保管されています。流石にこの景色と数は圧巻ですね。ここの原酒は流石に飲ませて頂けませんでしたが、目に焼き付けておきましょう。




豪華すぎるテイスティングタイム
一通り熟成庫を回り、様々な話をさせて頂いたところで、ゲストルームに移動し過去一(?)豪勢なテイスティングタイムへ。
テセロンのスタンダードラインナップを全て試させて頂きました。

左から
- テセロン Lot No 90
- テセロン Lot No 76
- テセロン Lot No 53
- テセロン Lot No 29
- テセロン EXPERIENCE 01
- テセロン EXTREME(マグナムボトル)
です。豪華すぎるラインナップ・・・。特にLot 29、EXPERIENCE 01、EXTREMEあたりはエグイ。



ご存じの通り、テセロンのロットナンバーは基本的に西暦の下2桁を表し、その数字はブレンドされている最も若い原酒のヴィンテージを表します。
つまりLot No 29は最低でも1929年のヴィンテージ以前の原酒がブレンドされているということです。
EXPERIENCEは初めて飲みました。テセロン EXTREME自体は日本にもありますが、マグナムサイズのボトルは見る事ないので貴重ですね。中身は同じですが。
そんなこんなでじっくりと6種類のテセロンの歴史を感じながらテイスティングタイムを過ごすことができました。本当は3時間くらいテイスティングしたかったけど、1時間くらいしかテイスティング時間とれなかったのだけが悔やまれます。

↑帽子被ったままですみません・・・。
この並びをじっくりゆっくり飲み比べる機会はそうそうないので、大変貴重な体験をすることができました。本当にありがとうアルノー!
アルノーまた会う日まで
帰りはアルノーに宿泊先のコニャック市街地まで車で送ってもらい、18時頃に宿に到着。アルノーはこれからボルドーまで戻るとのことで、本当に忙しいところお世話になりました。
アジア担当ではなくなったので、なかなか日本に来る機会はなさそうですが、また会えることを約束しお別れとなりました。
そんなこんなでこの日はパスケとテセロンの2件を回り、アルノーとの再会も果たし、大変ハートウォーミングな1日となりました。
さて、明日は今回のコニャック旅のメインイベントのひとつでもあるドメーヌ・デュ・シェーヌへの再訪です。今回、ドメーヌ・デュ・シェーヌの輸入も手伝わせて頂いた事もあり、今後の展開が要注目のボンボア地区のコニャック生産者です。
やはりここのフォルブランシュは凄かった・・・
次回
→ドメーヌ・デュ・シェーヌ再訪。洗練された究極のフルブランシュコニャックとピノーデシャラント達(仮)