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「フルーティーなコニャック」とは一体何なのか?フルーティーな香味表現の定義

コニャックのテイスティングを行い香味を表現する時は「どういう言葉が正しいのだろう?」と迷います。楽しくもあり悩ましいタイミングでもありますね。

テイスティングの表現は自分の中で納得するために落とし込む場合と、他人に香味のイメージを共有する場合でも選ぶ言葉が異なるかもしれません。特に後者は他人と共通の認識を持つことが重要なので、万人が理解できる言葉である必要があります。

参考記事
なぜソムリエは味を表現するのか?:消費者目線の納得感と最適解

ことコニャックの香味表現のカテゴリは大きく「フルーティー」「フローラル」「スパイシー」「ウッディ」の4つに分類されます。これは私が独自に決めているものではなくフランスのコニャック協会(BNIC)がコニャックのアロマホイールとして公式に発表しているものです。

参考記事
コニャックのアロマホイールとアロマキットを見てみよう

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もちろん、本来テイスティングの表現や言葉は自由であるべきというのが大前提ですが、「どういった表現をしたらいいのか分からない」という場合に一つの物差しとしてBNICが提供するアロマホイールの定義を活用することは大いに役立ちます。

今回はそんな4つのカテゴリの中で最も皆が求める要素でもある「フルーティー(Frutiy)」について少し掘り下げてみましょう。果実全般や夏っぽい香味を連想させる「フルーティー」。果たしてフルーティーなコニャックの香味とは一体何なのでしょうか。一つの最適解にたどり着ければと思います。

関連記事
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「フローラルなコニャック」とは一体何なのか?フローラルな香味表現の定義

フルーティーに分類される要素は?

では改めてBNICが提供しているアロマホイールの「フルーティー」カテゴリに入っている要素を見てみましょう。

夏(フルーティー)なアロマ

カーネーション(ŒILLIET SAUVAGE)
オレンジ(ORANGE)
ライムフラワーティー(LIME FLOWER TEA)
アプリコット(APRICOT)
バナナ(BANANA)
レモン(LEMON)
新鮮なイチジク(FRESH FIG)
桃(PEACH)
スモモ(PLUM)
干し草・わら(HAY)
パッションフルーツ(PASSION FRUIT)
マンゴー(MANGO)
ローズペタル:乾燥させたバラの花(ROSE PETALS)
洋ナシ(PEAR)

一部カーネーションや干し草、ローズペダルなど花系の要素も含まれていますが、「フルーティー≒夏」という定義でこのアロマホイールは作られていますのでご了承ください。

フルーティーな要素はどこから生まれるのか?

コニャックを作る過程でフローラルな要素はどうやって発生するのでしょうか。醸造や蒸留、熟成は化学反応ですので全て分子レベルで化学的な根拠があるのですが、あまり専門的になりすぎても読む気を無くしてしまうのでおよその仕組みを理解しておきましょう。

ブドウの品種や土壌、天候、降水量など全ての要素がこのフルーティーな香味に影響しているのですが、コニャックのマスターブレンダー・セラーマスターは熟成までの全て過程で最終的にどのような香味に仕上げるか何年にもわたって見守り、時には樽を移したりしてそのコニャックブランドが目指す理想の香味になるように調整します。

コニャックの香味への影響は大きく次の3ステップに分かれます。

第一アロマ(Primary aromas)
→ブドウの品種、土壌、気候など、原料由来の香味

第二アロマ(Secondary aromas)
→コニャックの元となるワイン造り(発酵・醸造)の過程で生じる香味

第三アロマ(Tertiary aromas)
→樽熟成の過程で生じる香味

短期・中~長期熟成に現れるフルーティーなアロマ

コニャックにおけるフルーティー要素は熟成年数に応じて主に2カテゴリに分かれると考えています。

5年~10年熟成のコニャック

VSOPや若いXOコニャックを中心に表れるのが比較的フレッシュな果実をイメージさせるようなフルーティーさです。具体的には洋ナシ、アプリコット、オレンジなどです。

40年熟成以上のコニャック

次にフルーティー要素として変化が現れるのが40年以上熟成を経たコニャックになります。この辺りは所謂「南国系ランシオ」と呼ばれる香味が豊かになり、パッションフルーツやマンゴー、桃などの香味を顕著に感じることが出来るようになります。

ランシオ香は熟成を経るにつれてフローラル系→ウッディ系→スパイシー系→南国フルーツ系と変化を遂げるのですが、その最終系がこの南国ランシオのフルーツ感です。

ランシオの仕組みはコニャックの原料となるブドウを発酵させワインを作る時に「高級脂肪酸」が蒸留を経て樽熟成中という長い期間の間に酸化し、「メチルケトン」という成分に変化します。そのメチルケトンが、蒸留時にできた「エステル」と混ざってランシオになるのです。

ランシオに下記記事に詳しく書いていますのでご参考に。

参考
ランシオ香とは何か?ランシオの正体とランシオを感じるおすすめコニャック5選

フルーティーを感じるおすすめコニャック

フルーティー要素は最も表現の幅が豊かで人にって感じる香味は様々でしょう。若いコニャックと熟成を経たコニャックに分けて是非フルーティー要素を探してみて下さい。

いくつか今回紹介したようなフルーティー要素を感じられるおすすめコニャックを紹介します。

ギィピナール ナポレオン

私の経験上、10年以内の熟成コニャックとして最もフルーティ要素を感じたコニャックです。このパイナップル感は他のコニャックにはなかなかありません。

国内には流通していないのが難点。

参考記事
ギィピナール ナポレオン10年のレビュー

デュカイ アーリーランデッド グランドシャンパーニュ

約15年熟成のコニャック。この熟成年数の中ではかなりオレンジなどの柑橘系のフルーティーさに富んだコニャックだと思います。

参考記事
コニャックDUQUAIアーリーランデッド グランドシャンパーニュのレビュー

ラニョーサボラン フォンヴィエイユ 35年

桃を最も感じるコニャック。中~長期熟成コニャックの入門に最もおすすめできるコニャックです。お手軽ランシオ。

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フランソワ・ヴォワイエ エクストラ

言わずと知れた南国フルーツ感満載の長熟コニャック。パッションフルーツを感じたい方は間違いなくこのコニャックです。

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