メーカー別カルヴァドス特集。
今回はカルヴァドス ペイドージュ地区で小規模ながら超良質なカルヴァドスを作っている名門「アドリアン・カミュ(Adrien Camut)」の特徴とラインナップ、そしておすすめの1本を見ていきましょう。
アドリアンカミュの特徴
アドリアン・カミュは16世紀から自家栽培・自家蒸留しているカルヴァドスの名門です。
ウール県ブーズヴィル町の近くにドメーヌ・ド・セマンヴィルというリンゴ園を所有しています。約115エーカー(46ヘクタール)、東京ドーム約10個分のリンゴ園です。
リンゴの収穫時は人を雇って収穫を行いますが、それ以外は基本的に家族経営のカルヴァドスメーカーです。
カルヴァドスに使用できるリンゴは48種類ですが、アドリアン・カミュではそのうちの25種類を栽培しています。
アドリアン・カミュのカルヴァドスは、全てカルヴァドスペイドージュ規格として出荷されています。
※カルヴァドス産地の違いはコチラの記事を参照
カルヴァドスペイドージュでは30%以下まで洋ナシをブレンドすることが許されていますが、アドリアン・カミュでは洋ナシはブレンドせずに全て自家栽培のリンゴのみでカルヴァドスを作っていることも特徴的です。
アドリアン・カミュの発酵、蒸留、熟成過程
カルヴァドスペイドージュの規格に沿って、蒸留はコニャックと同様にシャラント式蒸留器で2回蒸留を行います。
↓アドリアン・カミュの蒸留器↓
アドリアン・カミュの場合、蒸留に使用する原酒サイダー(リンゴを発酵させたカルヴァドスの原酒となるリンゴ酒)のアルコール度数は約4.5%程のものを使用しています。
また、通常であれば蒸留後の原酒のアルコール度数は65~70%になるところですが、アドリアン・カミュでは55%程度に留めているのも特徴的です。
発酵と蒸留過程において、一般的なカルヴァドスよりも低いアルコール度数にすることで、熟成時にアドリアン・カミュにとって適切な酸化調整を行っています。
70%の原酒を樽に入れると、樽が焦げ付き、空気との触れ合いを妨げてしまうという考え方の元、アドリアン・カミュでは伝統的にこのような手法を取り入れているようです。
その辺が他のカルヴァドスメーカーともちょっと違う所です。
アドリアン・カミュのラインナップ
ドリアン・カミュの年間出荷ボトル数は15,000~20,000本だそうです。
日本に流通しており、手に入りやすいラインナップは次の通りです。
- アドリアン・カミュ 6年
- アドリアン・カミュ 12年
- アドリアン・カミュ 18年 プリヴィレッジ
- アドリアン・カミュ25年 レゼルヴ・ド・セマインヴィーユ
- アドリアン・カミュ 35年 レゼルヴ・ド・アドリアン
- アドリアン・カミュ プレステージュ
- アドリアン・カミュ ラルーテ
おすすめのアドリアン・カミュは?
価格と味のバランス的に最もおすすめなのはアドリアン・カミュ 18年 プリヴィレッジでしょう。
ちなみに、最も高価なアドリアン・カミュ ラルーテ は最低50年以上のカルヴァドスがブレンドされており、その中には100年以上前の原酒も含まれてたりします。ラルーテは「希少品」の意味。その分国内流通量も少なく、在庫切れの場合が多々あります。予算に上限が無ければ買ってみたいですねぇ。