コニャックグラス比較検証第二弾。
前回の記事で比較するグラスを紹介しましたが、今回はいよいよコニャックを使っての実践編です。
※使用するグラス一覧は前回のコチラの記事を参照。
使用するコニャックは若いコニャックと熟成の進んだコニャックの2タイプ。対象は次のコニャック達です。
若いコニャック
ラニョーサボランVSOP No.10(10年)
熟成の進んだコニャック
ラニョーサボラン フロリレージュ(45年)
ポールジローヘリテージ(50年以上)
ジャンフィユー レゼルヴファミリアル(50年以上)
うーん、豪華なラインナップだ。
まず今回の記事では、若いコニャック「ラニョーサボランVSOP」に焦点を絞って結果を見てみましょう。熟成の進んだコニャックのグラス比較は別記事で紹介します。
銀座doux barの横井氏に検証協力
以前のリーデルグラス比較検証と同様、今回のグラスの比較検証にもプロにご協力頂きました。
ご協力頂いたのは、銀座でコニャック・カルヴァドス・フレンチラムなどのスピリッツを中心に取り扱っているバー「doux bar」のオーナー横井貴久氏です。
コニャックのベテランは果たしてどのような評価を下すのでしょうか。
あ、もちろん私自身も検証に参加しています。
グラスの確認
では改めて今回使用するグラスをもう一度見てみましょう。
家からスーツケースに入れて運んできました。
なお、今回のグラス選びのテーマは「お手軽でコスパよく楽しめるグラス」です。そのため、グラス価格帯は一脚800円~3,000円程度としており、一脚5,000円以上のちょっとお高いグラスは選定対象外としていますので悪しからず。(5000円以上のグラス検証はまた別の機会にて記事にしたいと思います)
左から
- ウィルスバーガーアニバーサリー 9oz コニャック
- ウィルスバーガーアニバーサリー 6oz ダイジェスティブ
- タサキ 熟成ブランデー S 12oz
- タサキ 若いブランデー12oz
- ポリ社グラッパグラス
- チポラ リキュールグラス 95
- サントリー ウイスキーフライトテイスティンググラス
- ルイジボルミオリ スキップ 5oz
- ルイジボルミオリ ヴィノテクスピリッツ(フタ付き)
- グレンケアン ブレンダーズ モルトグラス
- テイスティンググラス(リカーズハセガワ)
比較的若い熟成年数10年のラニョーサボランVSOP No.10に最もおすすめなグラスは果たしてどれなのでしょうか。早速それぞれの香りと味わいの違いを見ていきましょう。
ウィルスバーガーアニバーサリー 9oz コニャック
横井氏
一見シュッとしてるように見えるのですが、液面の経はバルーングラスと同じ、もしくはそれ以上の経があります。なので、液体の表面積が大きくなり、ややアルコールの香りがキツイ印象があります。 口がすぼんでいる分、緩和されるので、大型のバルーンぐらすよりはアルコールの香気成分は緩和されます。 しかし、うーん・・・
ウィルスバーガーアニバーサリー 6oz ダイジェスティブ
横井氏
こちらは9ozにくらべるとマイルドです。
ただ、グラスの角度がキツイため、ボウル部分での香りの滞留が弱い印象があります。
タサキ 熟成ブランデー S 12oz
横井氏
うーん、やっぱちょっとキツいですね。
バルーン型は、アルコール由来の香気成分が圧倒的に先に上がってきて鼻にツンときてしまいますね・・・。
熟成がかなり進んだコニャックであれば別かもしれませんが、やはりVSOPクラスにはちょっと厳しいかもしれません。
うーん、この結論は以前のリーデルのスニフタグラスと同じ。リムの形状はやや違えど、やはりボウルが大きすぎました・・・。
タサキ 若いブランデー 12oz
横井氏
これも上と同じですね。
若いブランデー向けとのことでしたが、やはり10年くらいの若いコニャックだと芳醇な香気成分が少ないので、グラスを満たしきれていません。
芳醇さよりもアルコールのツンツンとする香りがどうしても先にきてしまいます。
グラスの大きさに対してコニャック自体の香りが弱く、アルコールに負けてしまっている感じです。
ポリ社グラッパグラス
横井氏
これもいいんですけど、ちょっとボディの膨らみが弱いですね。
液面を直接嗅いでるような印象です。香りの滞留がやはり足りない気がします。
チポラ リキュールグラス 95
&
サントリー ウイスキーフライトテイスティンググラス
横井氏
うーん、なるほど・・・(後述します)
ルイジボルミオリ スキップ 5oz
&
ルイジボルミオリ ヴィノテクスピリッツ(フタ付き)
横井氏
スタンダードな形状の良いグラスですが、殊VSOPだけに関していうとややボディが広すぎる印象があります。まだ少しアルコールの香りの方が強くなってしまいます。 うーん・・・。
グレンケアン ブレンダーズ モルトグラス
&
テイスティンググラス(リカーズハセガワ)
横井氏
こちらも同じくややボディが広すぎる感があります。VSOPだとちょっと・・・。
ボディと滞留
横井氏
僕の自論としては、まずグラスのボディの膨らみは大きすぎても小さすぎてもダメです。やはりその熟成年数に合った膨らみが必要。
リムの形状ももちろん重要なのですが、まずはグラスのボディで香気成分が上手に滞留することが大事。そこでアルコール由来の香味成分とコニャック本来の香味成分がミックスされ、リムを通じて上に上がってきます。どのくらいのボディの膨らみ加減が適切かは、各コニャックや熟成年数によってもちろん変わってきます。
若いコニャックであればなおさら重要です。
なるほど・・・
では、今回11種類のグラスの中からベスト3を選ぶならどれでしょう?
VSOPクラスに最適なグラスは?
横井氏
今検証しているラニョーサボランVSOPに絞って考えると、次の3つがバランスのいいグラスだと思います。
- チポラ リキュールグラス 95
- サントリー ウイスキーフライトテイスティンググラス
- ウィルスバーガーアニバーサリー 6oz ダイジェスティブ
もちろん熟成年数が変われば適切なグラスは変わりますが、10年くらいの熟成年数であれあれば、この3つが最適なボディとリムを持ったグラスでしょう。
ウィルスバーガーアニバーサリー 6oz ダイジェスティブはちょっと特殊で、液面面積はやや広いですが、ノーズの高さがアルコールの刺激臭を緩和してくれています。ただ、グラスの角度がキツイため、上の2つに比べると香りの滞留が弱い印象があります。
ルイジボルミオリ スキップ 5ozやルイジボルミオリ ヴィノテクスピリッツも良いグラスなのですが、このVSOPで比較するのであれば、まだ少し香りがキツくなりすぎますね・・・。
では、チポラ リキュールグラス 95か、サントリー ウイスキーフライトテイスティンググラスどちらかを選ぶとすると、どっちでしょう?
横井氏
まとめ
今回のラニョーサボランVSOP No.10を使ったグラス検証。
最もおすすめとなったグラスは「チポラ リキュールグラス 95」でした。
(∩´∀`)∩わ~
もちろん、これはラニョーサボランVSOP No.10に絞った結果ではありますが、他の熟成年数が若い(10年15年あたり)コニャックに関してはある程度共通している点はあると思います。
特に重要なのは、グラスのボウル経と香りの滞留度合。
ボウル部分は狭すぎても広すぎてもダメですが、熟成があまり進んでおらず、コニャックらしい香りの弱いVSOPクラスに限って言えば、どちらかというと「やや狭め」の方がより美味しくコニャックを楽しめる傾向にあるようです。
と、いう事で「コニャックグラス比較検証第2弾:その②若いコニャック編」
比較的若めのコニャックにはチポラ リキュールグラス 95が最もおすすめ!
という結論とさせて頂きます。
次回のグラス検証は熟成の進んだコニャックにおけるグラス比較です。
使用するコニャックはラニョーサボラン フロリレージュ、ポールジローヘリテージ、ジャンフィユーレゼルヴファミリアルなど、45~50年以上の熟成を経たラインナップでお届けします。
果たして熟成年数によって最適なグラスはどこまで違いがでるのでしょうか。
そこには驚くべき○○○が・・・・
次回
「コニャックグラス比較検証第2弾:その③熟成が進んだコニャック編」をご覧くださいませ~。
なお、今回VSOPクラスおすすめグラスとして最適解に輝いたチポラ リキュールグラス 95はかなりお手頃価格で入手可能なので、是非とも皆様お試しくださいませ。
検証協力:銀座doux bar
doux bar
コニャック・カルヴァドス・フレンチラムなどのスピリッツを中心に取り扱っている銀座のオーセンティックバーです。オーナーの横井貴久氏が長年情熱をもってコレクションされているボトルが沢山あります。コニャック好きなら是非一度^^
〒104-0061
東京都中央区銀座7-3-15オリヂンビル3F
tel: 03-6264-6468