滞在4日目①
2025年9月24日(水)
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→テセロンの熟成庫で味わう1865年のコニャックからしか得られない栄養がある
4日目となるこの日は、私の最推しボンボアコニャックの生産者「Domaine du Chêne(ドメーヌ・デュ・シェーヌ)」へ再訪させて頂きました。

こちらもブドウの栽培からワイン造り、蒸留、熟成、ボトリングまで自社で行う家族経営のコニャック生産者です。コニャック地方で唯一フォルブランシュ100%のピノー・デ・シャラントを作っている生産者でもあります。
ドメーヌ・デュ・シェーヌとは2023年の訪問で初めてお会いし、メールやWhatsAppなどで日々やり取りを行っていました。その後は2025年にジョアキム氏とジャンマリー氏が日本に訪問して頂くなど多くの交流を重ねて参りました。
参考記事
→ランデーダディ史上最高のピノーデシャラントとの出会い
→至高のボン・ボア コニャックDomaine de Chêne(ドメーヌ・デュ・シェーヌ)
→Domaine du Chêne(ドメーヌ・デュ・シェーヌ)生産者と東京めぐり旅
2023年の訪問時にドメーヌ・デュ・シェーヌのフォルブランシュ100%のピノー・デ・シャラントと、大変質の高いボンボアコニャックに感動した私は「是非このコニャックは日本に輸入されるべき!」と強く思いました。私自身は輸入免許は持っていないし、コニャックの販売活動も行っていないので、私から国内のいくつかのインポーターさんにお声がけさせて頂きました。
そしてご興味を持って頂いたインポーターさんとミーティングや顔合わせを重ね、この度、2025年夏にドメーヌ・デュ・シェーヌのピノー・デ・シャラントとコニャックの日本への正規輸入が決まりました!この記事を書いている時点で既にほぼ日本への輸入は完了しており、あとは発売を待つばかりとなりました。
2025年1月にコニャック、2025年2月にはピノー・デ・シャラントがそれぞれ販売開始される予定ですので是非お楽しみにお待ち下さい^^そしてボンボアの真骨頂を味わって下さい。
とは言っても私は直接的な利害関係にはないので、売れたところで私には1円も入ってこないわけですが、それでも私の推しであるコニャックの輸入のきっかけになれたことは手放しで嬉しいのです。
ということで、今回はドメーヌ・デュ・シェーヌに再び招待されるという形での訪問となります。

左からルドヴィック氏、私、ジョアキム氏、ジャンマリー氏
とれたてのブドウ果汁をと2種類の絞り方
午前10時にコニャック市街地で待ち合わせ、そこから車を走らせること約30分。ボンボア地区のドメーヌ・デュ・シェーヌにたどり着きました。
今年はブドウの収穫時期が早かったこともあり、既にフォルブランシュの収穫は完了していてワインになっている状態でした。
訪問したタイミングは収穫終盤で、ユニブランの圧搾を行っているタイミング。
さっそく圧搾機まで案内頂きます。ちょうどブドウを沢山積んだトラクターが収穫から帰ってきました。まさにこれからブドウの実を圧搾機にかけてコニャックの元となるフレッシュなブドウ果汁を搾り取ります。






超新鮮なブドウ果汁を圧搾機からダイレクトに頂きます。
めちゃめちゃウマい。
出来立てなので見た目は濁っていますが、マジでうまいです。
コニャックのブドウは酸味が高いのが特徴です。なのでブドウ果汁にも程よい酸味が存在します。一般的なブドウジュースよりも酸っぱく、ややリンゴのような風味も持っています。リンゴ酸の影響です。
ちなみにこちらの記事でも説明していますが、ブドウの圧搾機はバルーン式で、この機械の中で徐々に袋がふくらんでいき、その圧力によって優しく果汁が絞られます。
2種類の果汁の取得方法
ここでジョアキムさんが面白い実験を行っていました。
圧搾機を使って絞ったブドウ果汁(Jus de press)と、ブドウの自重のみで絞ったブドウ果汁(Jus de goutte)の比較です。自重の方はボジョレーワインとかでも使われている手法ですね。

写真左が圧搾機の果汁。右が自重の果汁です。
圧搾機の方が色も濃く、味わいや甘みもしっかりしています。自重の方は色が濁っており、もう少し酸味が強くなっていました。どこまで果実の中身までしっかりと絞れているかの違いですね。
今はもちろん圧搾機で絞ったブドウ果汁を使っていますが、自重のみで絞ったブドウ果汁をコニャックに使ったことはないので、近い将来実験的に自重ブドウ果汁を使ったコニャックを作って比較してみたいそうです。
結果的に「恐らくやっぱ圧搾機使った方がいいねとなるかもしれませんが、それも実験してみないと分からないのでやってみたい!」だそうで(笑)その辺の遊び心もより良いコニャックやピノー・デ・シャラントを作る探求心からくるものなのですね。クラフトマンスピリッツ!
絞った後のブドウはどうなる?
絞った後のブドウの皮はこんな感じ。

この皮は専門の回収業者に回収され、畑の肥料になったり、再蒸留して香水の原料になったりと様々な用途で使用されます。(マールにはしないそう)
直接回収してくれる場合もありますが、タイミングが合わない場合はこんな感じで路肩に一時保管されてたりもします。

この皮、放っておくと自然発酵してしまいめちゃめちゃ匂いがキツイです。なので一時保管するのであれば人里離れたところですね。
今年のワインを頂く
さて、一通りブドウ果汁を楽しませて頂いた後は今年仕込んだワインたちを頂きます。ここで造られたワインが蒸留され、最終的にコニャックになります。
ドメーヌ・デュ・シェーヌには16基の製発酵タンクがあり、それぞれピノー・デ・シャラント用、コニャック用にブドウ品種ごとに発酵を行っています。

その他にも昔ながらのコンクリート製発酵タンクもありますが、現在はあまり使用していないとのことでした。(ワインの生産量が多い時だけ使用)
さっそくみんなでワインのテイスティング会・・・
と、その時、当主のジャンマリー氏が「これ見てよ!今年この間できあがったやつ!」とウキウキでピノー・デ・シャラントのサンプルを持ってきてくれます。

フォルブランシュとメルローブラン、コロンバールのピノー・デ・シャラントの飲み比べです。
やはりフォルブランシュが一段とパイナップル、レモン感がすごいですね。爽快。
そしてこちらはロゼのピノー・デ・シャラント。「見てこのキレイなピンク色!」とウキウキでピノー・デ・シャラント保管用のタンクから注いでくれます。かわいい笑

ちなみにこれめちゃめちゃ重要なのですが、ジョアキム氏のお父様でもあるジャンマリー氏はピノー・デ・シャラントAOCを決める団体の最高責任者を務めていました。つまりピノー・デ・シャラントのプロ中のプロでもありめちゃめちゃ凄い人なのです。
家族で作るコニャックとピノー・デ・シャラント、やっぱりこの図は良いですねぇ^^

フォルブランシュのワインを頂く
続いて屋外にある発酵タンクへ。
こちらは今年収穫された発酵中のフォルブランシュのワインが入っています。今回の目的のひとつでもある「フォルブランシュのワインを存分に味わう」がここで達成されます。


ちょうど澱も下がり、透明度も出てきたフォルブランシュのワインがこちら。
飲んでみると・・・酸っぱい!流石、高酸度のワインだけあります。
ブドウというよりもどちらかというとレモンに近い味わいです。リモンチェッロとかそっち系。
しかしその中にもフォルブランシュが秘めるフルーティーさを十分に感じることができます。これはこれでこのままの状態でも食前酒とかにめちゃめちゃ合いそうです。

これがあの素晴らしいフォルブランシュのコニャックとピノー・デ・シャラントになるのですね。。。
本当はサンプルを持って帰りたかったのですが、ワインは流石に酸化が早そうでしたので断念しました。
ドメーヌ・デュ・シェーヌの畑と熟成庫、至高のテイスティンへ
午前中の活動を一通り終え、少し離れた街中までジョアキム氏と弟のリュドウィック氏と共にランチへ。
これから午後はドメーヌ・デュ・シェーヌの畑めぐり、熟成庫、テイスティングタイム、そして日本にも輸入されているフレンチウイスキー「フォンタガール」への共同訪問が控えています。
記事が長くなってしまったので今回はここまで!次回の記事をお待ち下さい。
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