コニャック滞在記2023年 冬

コニャック滞在記2023冬⑫ブランデーダディ史上最高のピノーデシャラントとの出会い

2023年3月18日

滞在7日目その3
2023年1月17日(火)

午前中のバッシュガブリエルセン訪問を終え、午後からは少し移動してボン・ボアエリアの家族経営コニャック生産者「Domaine de Chêne」へ訪問して参ります。

コニャック市街地のホテルChais MonnetのラウンジでDomaine de Chêneを経営している兄弟Joachim氏(兄)とLudwig氏(弟)と待ち合わせし、車で送って頂きました。

このDomaine de Chêneですが、私が過去に飲んだボン・ボアエリアのコニャックの中で最も素晴らしい出会いとなりました。そしてここのピノーデシャラント(Pineau des Charentes)が最高に忘れられない思い出となりました。

Domaine de Chêneとは?

Domaine de Chêneはまだ2023年時点では日本に輸入されておらず、知らない方も多いと思いますので概要を記載します。

場所はこちら。なかなか訪れる機会が少ないボン・ボアエリアですが、今回車で送って頂き大変助かりました。

Domaine de Chêneは1865年創業の家族経営コニャック生産者。ワイン作りや大手向けのコニャック蒸留、熟成を生業とし、1993年に自社ブランドである「Domaine de Chêne」を立ち上げます。

現在はオーナーのJean-Marie氏を中心に、長男Joachim氏、次男Ludwig氏、妹さん(すみませんお名前を失念しました・・・)、従妹2人を含めた7人で葡萄の栽培からワイン造り、蒸留、熟成、ボトリングまでを全て自社で手掛ける生産者です。

ボン・ボアエリアのコニャック、そしてピノーデシャラントを作っています。

参考記事
ボン・ボアとは?コニャックの生産域

参考記事
ピノーデシャラントとは?

左からLudwig氏、Joachim氏、私、Jean-Marie氏

現在は世代交代に向けJean-Marie氏から息子であるJoachim氏、Ludwig氏に数年かけてノウハウを引き継いでいるタイミングとのことです。

所有する畑は全体で120haほど。メインとなるユニブラン(約100ha)とフォルブランシュ(約12ha)を中心にピノーデシャラントなどに使用するコロンバール、メルローブラン、カベルネソーヴィニヨンなど全7種類を育てています。

ちなみにコロンバールはコニャックにも使用できますが、コロンバールは主張が強すぎるためDomaine de Chêneのコニャックには使用していないそうです。(ピノーデシャラントには使う)

「写真撮ってはダメな場所はありますか?」とLudwig氏に伺ったら
「どこでも全部撮ってOKだよ!秘密のノウハウは全て父さんの頭の中にあるからね(笑)」と言って下さったので色々撮らせて頂きました^^

蒸溜したてをダイレクト試飲

まず案内して頂いたのは蒸留施設。Domaine de Chêneには2器のシャラント式単式蒸留器があります。どちらも1965年製の2500リットル容量の蒸留器です。

1月中旬ということもあり、絶賛コニャックの蒸留真っ最中!今は自社ブランドであるDomaine de Chêne用にユニブランを蒸留しているところ。

出来立ての蒸留液を試飲させて頂きました。

オードヴィーをそのまま(アルコール度数70度)と、加水した場合の2パターンを楽しませて頂きました。

3分の1くらい加水してもらったのですが、その時のアロマの開きがハンパなかった!あまりにも素敵な香味だったので全部飲んでしまいました。

実はDomaine de Chêneでは、出来立てのオードヴィーに加水して40度くらいにした商品を出したけどあんまり売れなかったから止めたことがあったそうです。たしかにマニアックすぎるので一般商品としては難しいかもしれませんが、是非またコニャックファン向けに作ってほしいですね。

自社ブランドであるDomaine de Chêne用のコニャック蒸留時に澱をどの程度使うか、または使わないかの判断は使用する葡萄の種類や、その年の葡萄の特性によって調整するそうです。Domaine de Chêne一か所にまとまった畑を持っているわけではなく、いくつかの区画(パーセル)に分かれて葡萄を栽培しています。そのため、葡萄品種だけでなくそのパーセル毎にやはり酸度や糖度の特徴が異なるため、それに合わせた蒸留方法で調整する必要があるります。そのノウハウは全てJean-Marie氏の頭の中に入っています。

エコな循環

蒸留した蒸気はセルペンタンという管を通り、コンデンサーに入った水により冷却され液体(オードヴィー)に転化されます。

この装置(コンデンサー)の中には蒸気を冷やすための水が入っています。この水は蒸気の熱でかなり熱くなるのですが、その熱くなった水はパイプを通して家のヒーターとして使用しています。

このタンク内に水が入っていて、管内の蒸気を冷やして液体に戻します

その後ヒーターとして使用された温水は20℃まで冷やした後に自然に放出するそうです。

冬場には欠かせない循環機関ですね。

大手コニャック生産者向けの蒸留も

Domaine de Chêneは自社コニャック以外に、大手コニャックブランドにも蒸留したオードヴィーを卸しています。主な取引先はマーテル、ビスキー、グランマニエです。

それぞれの取引先ごとにどのようなタイプのオードヴィーを提供するかが決まっています。

例えばマーテル向けに作るオードヴィーは澱を入れないし、蒸留するワインを事前に温めるショーフヴァンは使用しないよう指示されています。

ワインを予め温めておくショーフヴァン。中に管が通っていて、温める場合は蒸留した蒸気をその管に通して蒸気の熱で温めます。ショーフヴァンを使わない場合は後ろの管に迂回させます。

またビスキーとグランマニエ向けに作るオードヴィーは澱は入れますが、グランマニエの向けの場合は澱の量を少量に調整する必要があるそうです。

今回はタイミング的に自社ブランド用のコニャックを蒸留しているタイミングでしたが、是非各社に卸しているオードヴィーの蒸留様子を見たり試飲したりもしたいですね!

熟成庫にてピノーデシャラントをダイレクトテイスティング

には8つの熟成庫があります。

まず訪れたのはNo.4と呼ばれる熟成庫で、主にピノーデシャラントの熟成を行っています。ここでは数種類のピノーデシャラントが眠っており、そのうちいくつかをテイスティングさせて頂きました。Domaine de Chêneはコニャックもですがピノーデシャラントが本当に素晴らしい。

ピノーデシャラントって何?という方のために簡単に説明します。
ピノーデシャラントは発酵前の葡萄果汁とコニャックをブレンドして熟成させたヴァン・ド・リキュールと呼ばれる酒精強化ワインカテゴリの一種です。
アルコール度数は平均的に17%くらいのものが多く、甘口のデザートワインのような仕上がりが特徴的です。
コニャックと一緒にピノーデシャラントを作っているコニャック生産者は多く存在し、コニャックに並ぶ代表的な製品です。ただし輸97%以上のコニャックと異なり、フランス国内での消費がほとんどなのであまり知られていないのが実態ですね・・・。

参考記事
ピノーデシャラントとは何か?
ピノー・デ・シャラント飲み比べ神イベント@Cocktail Bar Raven

ピノーデシャラントは通常いくつかの葡萄品種を混ぜて作ることが多いのですが、Domaine de Chêneの特徴は単一品種で作られたピノーデシャラントもあることです。

またDomaine de Chêneでは珍しいピノーデシャラントも作っており、例えばアイラウイスキーのカスクでフィニッシュさせたピノーデシャラントなどとても興味深いピノーデシャラントに出会うことができました。

その中でもフォルブランシュ100%のピノーデシャラントが別格でした。

フォルブランシュ100%ピノーデシャラント

特に強烈に印象的だったのはフォルブランシュ100%ピノーデシャラント!!

実はフォルブランシュ100%のピノーデシャラントを飲むのは初めての経験でした。

フォルブランシュ100%のピノーデシャラントを樽出しで飲ませて頂く・・・これがどれほど貴重な体験か、伝われー><

そもそもフォルブランシュという葡萄品種自体、コニャック生産域の中でも3パーセント以下しか作られていない貴重な葡萄品種。更に、コニャックだとフォルブランシュ100%の商品はいくつか存在しますが、フォルブランシュ100%のピノーデシャラントを作っているのはコニャック全体でもDomaine de Chêneだけ!

ピノーデシャラントは葡萄果汁にコニャックを混ぜて熟成させたものなのですが、このピノーデシャラントは葡萄果汁もフォルブランシュ100%、コニャックもフォルブランシュ100%、そして生産域もボン・ボア100%というめちゃめちゃ贅沢でレアなピノーデシャラントなのです。(5年熟成)

このピノーデシャラントの何がすごいって、その甘みと酸味とフルーティーさの完全な調和です。
ピノーデシャラントを飲んだ事ある方は分かるかもしれませんが、基本的にピノーデシャラントはかなり甘いです。ものによっては甘すぎて大量に飲めないものもあったりするのですが、このピノーデシャラントはそんな常識を覆すピノーデシャラントと言ってもいいでしょう。

というのもJean-Marie氏が作りたかったのは甘すぎずこれまでに存在しないアロマを持つピノーデシャラント。もちろん加糖無し。

ただ甘いだけじゃない、この酸味との絶妙なバランス。とろける甘みで始まり、最後は酸味で切れる。そしてフォルブランシュにしか出せないフルーティーさが私の中でのピノーデシャラントの概念を一気に変化させました。心の底から「おおぉっ!」という声が出てしまいました。

これまでどこかでどっしりとした長熟ピノーデシャラントが至上と思い込んでいた私の固定概念が塗り替えられるピノーデシャラントです。熟成年数に捉われない完ぺきな甘みと酸味のバランス。かといって他の若いピノーデシャラントには出せない伸びのある葡萄そのものの果実感が新しい。

このフォルブランシュ100%ピノーデシャラントは2017年に収穫された葡萄を使って作られ、なんと製品化されるのは今年2023年の3月!

普段あまりこういうことは言わないのですが、このピノーデシャラントは魅力的過ぎて実は私の方から日本への輸入の相談をしています。もし日本に入ってきたら是非試してみて下さい。衝撃を受けると思います。

その他、ここでは様々なピノーデシャラントをテイスティングさせて頂きました。どれもこれも素晴らしく言葉を失います。
Domaine de Chêneのピノーデシャラント一覧はこちらから参照可能です。
https://www.ledomaineduchene.fr/en/boutique/

ボン・ボアコニャックの神髄へ

ピノーデシャラントの熟成庫で過去最高のピノーデシャラントを堪能させて頂いたあと、続いてコニャックの熟成庫へ移動。

ここでもまた至高のコニャック達との出会いがありました。

普段あまり出会う機会が少ないボン・ボアエリアのコニャック。我々日本人にとっても「ボン・ボアのコニャックでどんな特徴?」と聞かれるとなかなか明確な答えが出にくいものです。果たしてボン・ボア コニャックの神髄とは・・・

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