今回のコニャックは私の好きなボルドリ100%コニャックの一つ。「オルドノー トレヴィエイユ レゼルヴ ボルドリ(ORDONNEAU Tres Vieille Reserve)」です。
あまり聞きなれないブランドかもしれませんが、あの〇〇〇〇に原酒を提供しているファミリーでもあります。
果たしてその実態やいかに・・・!
オルドノー(Ordonneau Cognac)とは
オルドノーコニャックはコニャック ボルドリ地区のシェルヴ=リシュモン(Cherves Richemont)という村に27ヘクタールの畑を所有するDomaine de la Groletteとして知られる拠点を構えています。小さなプロプリエテールコニャックの一つです。原料となるワインの年間生産量は平均3,000ヘクトリットルとなっています。
マーテルに樽を供給
ボルドリコニャックの代表ブランドといえば、マーテルやカミュが挙げられます。ボルドリ地区はコニャック生産域の中で最も面積狭く、そのうち約60%をマーテルが所有しています。実はこのオルドノーファミリー、そのマーテルにオードヴィー(蒸留後の原酒)を供給している生産者の一つでもあります。
マーテルへの供給が始まったのは今から約30年ほど前の事だそうです。(2019年時点)
私はこのオルドノーコニャックファミリーの一員でもあるオルドノーコニャックのGonzague氏とメールやメッセンジャー等でたまにやり取りすることがあります。
10年程前は結構な割合でマーテルに供給しており、その頃はマーテルが契約している農家から取り寄せる原酒の内30%~40%?とも言われていましたが、現在はそこまでの量の取引はないそうです。明確な割合は分からないとのことでしたが、多分その半分くらいなんじゃない?といったニュアンスでした。
とはいえマーテルのコニャックに使用されている貴重な原酒の一つを提供しているという意味ではやはり貴重な立ち位置であることは変わりません。
オルドノーコニャックのラインナップは控えめ
そんな貴重なボルドリ地区のプロプリエテールコニャック生産者のオルドノーですが、ラインナップ自体は大変控え目。メインとなるラインナップは下記の3本。
- オルドノー VSOP ボルドリ(約10年熟成)
- オルドノー エクストラ ボルドリ
- オルドノー トレヴィエイユ レゼルヴ ボルドリ(25年~30年熟成)
全てボルドリ100%コニャックで、下に行くほど熟成年数は長くなります。公式HPでもVSOPとトレヴィエイユレゼルヴの2本しか紹介されてない程控えめです。実はこれ以外にもピノーデシャラントもあるっぽい。
日本のインポーターは色々マニアックなコニャックを並行輸入している事で有名な有限会社ウィック。実はこの3本とも日本でも入手可能です。楽天やAmazonでは見つけることはできませんでしたが、武川蒸留所でオンラインで買う事が可能です。しかもめちゃくちゃリーズナブル!!
オルドノー トレヴィエイユ レゼルヴ ボルドリの感想
では早速このコニャックの感想をば。
香り立ち
だいぶ カミュ ボルドリーXOに近い気がする。ボルドリ特有の・・・というか私がそう感じるだけか分からないが、角砂糖と蜂蜜が程よく溶けた紅茶、そう、アールグレイティーを彷彿とさせる香り立ち。その後に来るジャスミやスミレを思わせるフローラルな香り。そこに少しだけスパイスの役割を果たす白コショウのような香り。
香り立ちは非常に良いと思う。パンチは弱いがとても上品。個人的には大変好きな部類で、私の中の香りランク的にも「上」に位置する感じ。(←生意気か)
味わい
同じく紅茶っぽいコニャックと言えば「アルコールの効いた午後の紅茶ストレートティー」などと稚拙な表現(笑)をしてしまったカミュ ボルドリーXOですが、飲んだ後の紅茶っぽさという意味ではカミュの方がよりそう感じられます。ただオルドノーの方が濃い。「アルコールの効いた午後の紅茶ストレートティー」に「たっぷりの黒糖かりんとうをマリアージュ」した感じ。・・・・まぁ表現はあれとして、スッキリさを求めるのであればカミュの方ですが、より重厚感を求めるのであればオルドノーの方。
風呂上りに飲みたいのが カミュ ボルドリーXO。寝る前に味わいたいのはオルドノートレヴィエイユ レゼルヴ ボルドリの方。
【参考】
→カミュ ボルドリーXOの感想・レビュー
「マーテルにコニャックを提供している」というバイアスがあるかもしれませんが、よく考えると、この辺はカミュとマーテルの違いにも通ずるものがあるのかとも感じます。すっきり系のカミュとねっとり系のマーテル。
余韻としてもやや短い印象がありますが、これは香りからくる期待値が高すぎただけかもしれません。良くも悪くも「香り負け」しているコニャックである。ボルドリ独特の紅茶っぽさとスミレ系フローラルな香りとカミュXOボルドリ以上の濃厚さは感じることができるで、コーヒーなどと一緒に飲んでみると結構相性が良いです。
別のボルドリコニャックと比べる
熟成年数は25年~30年との事で面白い比較対象はこれです。
バッシェガブリールセン ボルドリ Lot No.94。
これは1994年蒸留の2018年ボトリングの約24年熟成。バッシュガブリエルセンが提供するボルドリコニャック。2019年5月時点ではあまり市場には出回っていません。
このボトルはコニャックエデュケイターの鯉沼氏厳選のボトルでもあるのですが、これまた同じボルドリでも方向性が全然違って面白いんですわ。ここに書くと長くなるので、この比較テイスティングはまた別記事にて。お楽しみに。
コスパ的におすすめの優良コニャック
オルドノー トレヴィエイユ レゼルヴ ボルドリは味わいの深さでいうとやや「香り負け」していると感じられ部分もありましたが、総合的には大変良いコニャックで、そのコスパも見どころです。
何せ熟成年数25~30年のボルドリ100%プロプリエテールコニャックで税込小売価格9,330円である。(2019年5月時点)
少数生産農家のボルドリ産コニャックというだけでもなかなか希少なのですが、この価格であれば全然リピート有りですね。
皆さんに知ってほしい反面、このままあまり知られないで欲しいという葛藤にかられながらのおすすめボルドリコニャックでした。お試しあれ。