ブランデーグラス

コニャックグラス比較検証第2弾:その④ルイジボルミオリVSリーデル

2017年6月20日

コニャックグラス比較検証第二弾その④。

前回の検証では熟成年数が進んだコニャック、若いコニャックともに万能に対応できる「ルイジボルミオリ ヴィノテクスピリッツ」が最もおすすめできるグラスとして選ばれました。 参考記事

今回の内容は究極の選択

1,000円のルイジボルミオリ ヴィノテクスピリッツ
VS
16,000円のリーデルココニャックXOグラス

です。果たして結果は・・・・

結論から先に言います

もはやおよそこの比較の結論は大方予想がついてしまっている方が多いかもしれません。

そう、結論は・・・

予算があるならリーデルコニャックXOグラス。予算がないならヴィノテクスピリッツで十分。

である。

・・・

いてっ!いてっ!!

石を投げるは止めて下さい。

( ;´∀`)

・・・・ええ、分かりますよ。

「あたりまえやないかーい!!」という突っ込みがあちらこちらから聞こえてきますが、その細部を見ていきましょう。

そもそもの違いは?

見て分かる通りグラスの形状は2つともほぼ同じです。

左がルイジボルミオリヴィノテクスピリッツ(約1,000円)
右がリーデルコニャックXOグラス(約16,000円)です。

若干リーデルの方が丸味を帯びている気がしますが、おそらく数メートル離れて見たらどっちが分かりません。

グラスのボウル部分やリムの形状はほぼ同じであるため、コニャックの香気成分の滞留具合や香り立ちの性能は正直ほぼ同じ。

若干の違いはあるものの、その違いは前回の記事で甲乙つけ難かったルイジボルミオリヴィノテクスピリッツとスキップ5ozの違いと同程度であり、そこに性能差を見出すのは正直かなり難しい状態です。

となると、やはり最大の焦点は最大の違いはマシンメイドかハンドメイドかという点とグラスの素材に向かいます。

ルイジボルミオリは工場で大量生産されるグラスで、コスパに非常に優れています。それに対してリーデルのソムリエシリーズであるコニャックXOはハンドメイドです。 一脚一脚職人たちの手によって作られていきます。

その違いはリムの薄さ、グラスの質感に顕著に現れます。

グラスの質感

これは実際にグラスを持ってみると分かるのですが、明らかにステムとリムにおいてはリーデルコニャックXOグラスの方が圧倒的に繊細なつくりをしています。

特にリムの薄さは顕著で、口触り自体はかなり違います。飲み口の薄いコニャックXOグラスの方が「スッ」と口が吸いこまれ、「スッ」っと離れていくのです。

↑左がヴィノテクスピリッツ。右がリーデルコニャックXO

また、リーデルコニャックXOの方がステムが細身です。

重さも全然違います。リーデルコニャックXOの方がかなり軽い。

この「繊細さ」は多分素人でも持った瞬間に分かります。

逆にルイジボルミオリヴィノテクスピリッツの方は意外と重みがあります。
ズッシリ感が好きな人はこちらの方がよいと感じるかもしれません。

この辺の違いは、リーデルソムリエシリーズとヴィノムシリーズの違いとほぼ同じような感覚です。

→参考記事はコチラ。

素材の違い

こちらの「クリスタルガラスとは?」でも書いているように、リーデルグラスはレッドクリスタルを使用しています。レッド(鉛)クリスタルは鉛含有率24%以上のガラスを指します。

他に珪砂約50%程度、酸化カリウムも約十数%。鉛クリスタルは光屈折率が高く、無色透明な輝きの点で特に優れています。

それに対しルイジボルミオリのグラスは「ソニッククリスタル」と呼ばれています。このソニッククリスタルとは何なのかというと、所謂「エコクリスタルガラス」の一種で、鉛を一切使っていないクリスタルガラスの事です。(ソニッククリスタルという名称自体はルイジボルミオリが付けたブランド名です)
「ボヘミアクリスタル」、「カリクリスタル」とも呼ばれることもあります。

成分としては珪砂約70%程度、酸化カリウム約15%程度、石灰石数%といった感じ。透明感も鉛を含むクリスタルガラスに匹敵するにも関わらず、衝撃に強く割れにくいう特性があり、レストラン等では多く使用されています。

ここにも価格の差が見えます。

素材として希少性が高く、加工が難しいのは鉛を含むレッドクリスタルグラスの方です。その分手が込みます。ハンドメイドで作るのであればなおさらです。

オーストリアのクフシュタイン工場で作られるハンドメイドのリーデルソムリエシリーズの様子はコチラ↓

なぜお店では高級グラスのシェアが低いのか?

多くのバーやレストランでもそうですが、リーデルのソムリエシリーズのシェアはかなり低いです。

なぜか?

答えは簡単

割れやすいから」です。

そう、ソムリエシリーズはその圧倒的な繊細さと引き換えに、圧倒的な取扱いの難しさが存在するのです。

レストランやバーでも、お客様がグラスを落としたり、不意に何かにぶつけてグラスが割れてしまうという事態は決して珍しいことではありません。もちろんお店やシチュエーションによって違いますが、基本的には一脚1万円以上もするようなグラスはお店からすると「割に合わない」のです。リスクが大きすぎる。

そして思いっきり割れるのであれば諦めがつきますが、お店にとって一番悔しいのはグラスがチップ(リムなどの一部が欠けること)することですね・・・。

もちろんチップしたグラスをお客様に出すわけにはいきません。
レストランやバーにおいても高級グラスやレッドクリスタルグラスのシェアが低いのにはこのような背景があります。

家で飲む場合も同様で、個人的に最も気を遣うシーンはグラスを洗う時です。これまで何度グラスを洗う時に割ったことか・・・。

高級グラスを使って飲んでいる時の充足感は何とも言えないものがありますが、そのグラスを洗ったり拭いたりする時の緊張感は未だに慣れませんね(笑)。

どこに価値を見出すか

冒頭に「予算があるならリーデルコニャックXOグラス。予算がないならルイジボルミオリで十分。」と元も子もない事を書きましたが、つまるところこれが全てであり、コスパという観点からすると圧倒的にルイジボルミオリヴィノテクスピリッツの方が優ります。

ただ、リーデルの名誉のために書いておくと、グラスとしての性能自体はリーデルコニャックXOの方が上です。

リムの繊細さ、グラスの素材、ソムリエシリーズというブランド力。

口につけた時の当たりの優しさはルイジボルミオリでは再現できないものがあります。

価格を完全無視して選ぶのであれば、リーデルのコニャックXOに軍配が上がるでしょう。

しかし、現実はそうにもいきません。

ルイジボルミオリヴィノテクスピリッツは一脚約1,000円。
リーデルソムリエXOは一脚約16,000円。

その価格差は約16倍です。

そこに16倍の価値を見出すことができるか?

という事です。

コニャックに精通していて、様々なポテンシャルのコニャック、グラスを飲んだことがあるプロフェッショナルであれば話は別かもしれません。しかし、コニャックグラスをこれから買おうとする人、自宅で気軽にコニャックを楽しみたい人にとって、16倍の価値を与えることができるかどうか?

素直にYESと答えられないのが現実ではないでしょうか。

結論をもう一度

「予算があるならリーデルコニャックXOグラス。予算がないならルイジボルミオリで十分。」
と最初に書きましたが、当たり障りのない事を書いてもしょうがないので、もう少し極端におすすめグラスの結論を言いましょう。

  • コニャック用のグラスにどのグラスを買おうか迷っている人はコスパ最強のルイジボルミオリ ヴィノテクスピリッツを買いましょう。
  • お金持ちはリーデルのコニャックXOグラスを買いましょう。

・・・・こんな事書いてリーデルに怒られるかなぁ(笑)
でもしょうがないですよね。これが末端消費者側から見た結論なのです。

↑おまけ写真
左から
ルイジボルミオリ ヴィノテクスピリッツ
リーデル<ソムリエ>コニャックXO
リーデル<ソムリエ>コニャックVSOP
リーデル<ヴィノム>コニャック

と、いうことで今回のグラス検証の一連のテーマである「お手軽でコスパよく楽しめるグラス」では、VSOPクラスでも45年以上の長期熟成コニャックにも万能に対応でき、最もコスパが良いルイジボルミオリヴィノテクスピリッツが最適解あるという結論は揺るぎないものになりました。

次回もっと面白い形のグラスや高級レンジのグラスでもどんどん比較検証を行っていく予定です。(私の財布と相談しながら)

果たしてこのヴィノテクスピリッツやリーデルコニャックXOを超えるグラスは出てくるのでしょうか。今後にご期待下さい。

参考記事

検証協力:銀座doux bar

doux bar

コニャック・カルヴァドス・フレンチラムなどのスピリッツを中心に取り扱っている銀座のオーセンティックバーです。オーナーの横井貴久氏が長年情熱をもってコレクションされているボトルが沢山あります。コニャック好きなら是非一度^^ 104-0061
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