2018年7月30日(月)、アイリッシュウイスキーの新興ブランド「LAMBAY(ランベイ)ウイスキー」のセミナーに行ってまいりました。
え、なぜウイスキーかって・・?
実はこのランベイウイスキー、あのコニャックの「カミュ」社がプロデュースしているという触れ込みのウイスキーなのです。これは行かないわけにはいきません。
ブランドアンバサダーのサビーヌ・シーハンさんのトークと共に楽しむことができました。
果たして、カミュ社がプロデュースするウイスキーとは?
そしてプロデュースとは、どこまでプロデュースなのでしょうか?
カミュ社のコニャック樽を使った?
結論から言いましょう。
このアイリッシュウイスキーは、カミュ社のコニャック樽を使ってフィニッシュさせたウイスキーなのです!!
私が感じた重要なポイントは次の4つ。
- ベアリング家とカミュ家が意気投合
- フィニッシュにカミュ社のコニャック樽を使用している(40年の古樽)
- マスターブレンダーはカミュ社と同じマスターブレンダーが兼任
- イル・ド・レ コニャックのノウハウを踏襲した沿岸の熟成方式
・・・さぁ、さっそくネタバレしてしまいましたが、ここで話が終わっても面白くないので、それぞれ細かく見ていきましょう。
なぜあのカミュがこのウイスキーに携わることになったのか、カミュとのつながり、そもそもLAMBAYとは何なのか?などを紐解いていてみます。
LAMBAY島とベアリング家
このウイスキーの熟成が行われているLAMBAY島とはアイルランドの東に位置する2.5平方キロメートルほどの小さな個人所有の島です。
そしてその島を所有しているのがベアリング家。
ベアリング家は1762年にイギリス最古の銀行であるベアリングス銀行を創業し、家族経営していた所謂財閥で、多くの爵位を持つイギリスの貴族です。有名処ではロスチャイルド家と並ぶといわれています。現在は銀行業から離れ、ランベイ・イニシアチブという会社で自然保護や伝統保護を主としたさまざまなビジネスを手掛けているそうです。
ベアリング家とカミュ家
そんなベアリング家と家族ぐるみで仲がよかったのがあのカミュ家。
そしてカミュとベアリング家が協力関係を結び設立したブランドがこのランベイウイスキーでした。両家は豊かな自然への愛と人生を豊かにすることを目的に共感。
アイリッシュウイスキーの製法とカミュのコニャック熟成補法を結び付けて特別なアイリッシュウイスキーを生み出そうと合意に至ったそうです。
2つのウイスキーラインナップ
今回のランベイウイスキーのラインナップは2つです。
ランベイ・スモールバッチ・ブレンド
アルコール度数40%
容量700ml
熟成期間:チャーされたバーボン樽で4年
カミュ樽のフィニッシュ期間:1ヵ月
ランベイ・シングルモルト
アルコール度数40%
容量700ml
熟成期間:チャーされたバーボン樽で5年
カミュ樽のフィニッシュ期間:6ヵ月
どちらも加水にはランベイ島の湧き水「トリニティウェルウォーター」が使用されているのもポイント。
カミュはどこに寄与しているのか?
せっかくなので、カミュの動向に注目していきましょう。
フィニッシュ樽
今回カミュが大きく貢献している所は、最後のカスクフィニッシュにカミュの樽を使っている点です。スモールバッチ・ブレンデッドは1ヵ月、シングルモルトは6ヵ月のフィニッシュ期間です。
フィニッシュの樽はカミュで40年程熟成に使用された古樽を使用しているとの事でした。
樽香を活かした独特なフィニッシュにする場合、新樽を使う事が多いのですが、あえて古樽を使ったフィニッシュであることがポイントですね。樽そのものよりも、染みついたコニャックの風味を活かす事が目的でしょうか。
ポイントとしては
- フレンチオークでフィニッシュすることでよりフルーティーになる
- モルトのフローラル感とよく合う
- ブレンデットウイスキーにはないスパイシーさが付与される
といったものです。
マスターブレンダー
個人的に最も驚いた点ですが、実はこのランベイウイスキーのマスターブレンダーは、カミュのマスターブレンダーであるパトリック・レジェ氏が兼任しています。
ランベイウイスキーは自社の蒸留所は持っていないため、蒸留自体はウエストコーク蒸留所にて行われています。この蒸留のタイミングからカミュのマスターブレンダーから細かな蒸留レシピが渡され、監督されているそうです。ここまでくると「カミュ社プロデュース」の意が明確になってきますね。
ちなみにウエストコーク蒸留所はアイルランドのコーク州のユニオンホールにて2003年にスタートした新しい蒸溜所です。
熟成庫
カミュ樽でのフィニッシュの際、熟成庫はランベイ島の海岸沿いの倉庫が使用されています。この熟成庫は「Sea Cask Room」と名付けられています。
カミュ・・・
海岸沿いの倉庫・・・・
どこかで聞いたことあるような・・・
そう、カミュがレ島で熟成しているコニャック「イル・ド・レ」シリーズです。
参考記事:カミュ独特のコニャック「イル・ド・レ」シリーズ特集
今回のカスクフィニッシュもイル・ド・レをヒントにカミュ側の考案により、海岸沿いでの熟成が行なわれることになりました。イル・ド・レと同様、海洋性の熟成環境を活かし、潮の香やヨード香による個性的な仕上がりにするのが目的です。
ここにもカミュのノウハウが活かされているわけですね~。
↓Sea Cask Roomの様子↓
ただ、これはあくまでも個人的な見解なのですが、私の周りのコニャック好きの方々の間で、イル・ド・レ シリーズはかなり賛否両論あります。どちらかというと否が多い気がします。
イル・ド・レ シリーズに似せた熟成環境!とアピールすることで、吉と出るか凶とでるか、正直不安な所があります(笑
当然コニャックとウイスキーでは仕上がりも違うし、熟成期間も違うので、イルドレと同じテイストになるわけではありませんが・・・。
まぁ、イル・ド・レ飲んだ事ない方にとっては、この熟成環境は一つのアピールポイントになるかと思います。
テイスティング:実際の味わいはどう?
されさて、セミナー後半はお待ちかねのテイスティングタイムです。
私はウイスキーに関しては経験値も浅く、あまり多く語れることはないのですが、感じた事を箇条書きにそのまま・・・
ランベイ・スモールバッチ・ブレンド
砕いたコショウ
モルト由来のなめらかでスムースな口当たり
最後に少し甘味を感じる
少量の水を加えると少し塩っぽくなる(イルドレ効果?)
カクテルに適したブレンデッドウイスキー
ランベイ・シングルモルト
若いバナナの香り
プレーンビスケットの香り
上とは全く方向性の違いうフルディ
最後に少し苦みがある・スパイシー
モルト・ココナツ・ドライフルーツ感
とにかくバナナっぽい甘い香りが特徴的でした。
ウイスキーとコニャックに共通する挑戦
ウイスキーもコニャックも日々新しい挑戦の連続ですね。
伝統的な製法を守りつつ、イノベーティブな商品を開発することは容易ではありません。
こちらのミズナラ樽フィニッシュのコニャックや、最近はやり?のシェリー樽フィニッシュのコニャックなどにも共通していますが、まずはフィニッシュを少しいじってみる、という所が第一歩となっているようですね。まぁ規定の範囲内で最も調整しやすい部分ではあるので、必然的にそうなるのでしょうけど。
しかし、ほとんどの場合はそれが話題作りだけで終わってしまう事が多いです。継続的に人々に受け入れられるにはただの起爆剤としてではなく、真摯にまじめに人々が求めるものと革新と伝統のバランスを保ちつつ、至高の一品を追い求めることがカギですね。
しかし、まぁ、個人的には最終的にカミュ側はこの商品をきっかけとして何が目的だったのかよく分からなかった部分があります。ウイスキーへの足掛かりにしたかったのか・・・?
カミュ社プロデュースLAMBAYウイスキーまとめ
今回のLAMBAYウイスキーに関してカミュ社が寄与している部分のポイント。
といった所が「カミュ社プロデュース」足らしめている点となるようです。
それぞれのサンプルボトルも頂いてきたので、早速コニャック好き、ウイスキー好きの方々に飲んでもらい、また感想を頂こうと思います!
最後に、ブランドアンバサダーのビーヌ・シーハンさんと一緒にパシャリ。
大変有意義な90分でした!
LAMBAYウイスキーの公式HPはコチラから