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ブランデーの買取市場潜入レポート【その1】:買取市場と減額ポイント

2018年9月13日

2018年9月某日、とある大手の酒類買取業者の酒買取研修会に参加してきました。

いや、何もブランデーの買取を始めようとしたわけではないのです。

お酒の買取市場と言えば、ウイスキーかブランデー(主にコニャック)がほとんど占めているといっても過言ではありません。(ウイスキーの方が圧倒的ですが)

これはブランデーの古酒市場や、査定方法、内部事情を知るにはもってこいの研修会ではないですか!

と、いうことで、色々と勉強させて頂きました。

この記事書いてたら6000文字くらいになったので、2回に分けて書きます。今回は【その1】。全体像と減額ポイントについてのまとめ。

本番は後半戦から

研修は朝10時からお昼を挟んで16時まである長丁場でした。研修を受けに来る方は、古物やリサイクル品を扱っている買取業を生業とされている会社の方がほとんど。その中で異質な私。

午前中は、酒類免許に関する基本的な事や、酒買取販売の利益の出し方、店舗戦略など、どちらかというと営業研修的な内容。この辺はこの主催買取会社のノウハウや研修対象者向けの内容で、あまり公表すると怒られそうなので割愛します。笑

私にとってのメインは後半パート。

ウイスキー、ブランデーの真贋・査定と減額ポイント、買取市場の実態についてです。

有名処以外売れない実状

まず、印象的だったことは、やはりという、そうだよねというか、有名ブランド以外はなかなか値が付きにくいということ。

ウイスキーで言えば、アメリカン、スコッチ、アイリッシュ、カナディアンそしてジャパニーズウイスキーの所謂世界5大ウイスキー以外はなかなか値がつかないし、買い取ってもほとんど不良在庫となってしまう点。

ブランデーで言えばコニャックのヘネシー、レミーマルタン、マーテル、カミュ、クルボアジェあたりは相場相応の買取価格がつくが、それ以外のブランデーは需要が少なすぎて買い取っても売れにくいことから、やはり高額買取は期待できない点。

アルマニャックに至っては一括して「地酒のイメージが定着しており、価格がどうしても低くなる」という状態。

この辺はコニャック好きにとってはツライとこですね笑。コニャック好きな人ほどプロプリエテールや小規模生産のコニャックに傾斜しがちで「どう、これレアじゃない?」と思っても買取市場としてはどうも高値はつかない物が多いとのこと。

ちなみに、コニャックの場合は例えばそのブランドのオーナーやマスターブレンダーのサインが入ったボトルであってもほとんど価値は上がらない。To ~といった宛名が付いていた場合は余計に下がる。まぁそれはどの古物でも言えることだけど。

ウイスキーの場合、例えば竹鶴さんのサインとか入ったボトルだとそれなりに跳ね上がるらしい。

とまぁ、買取市場の評価としてはこんなもん。大手メーカー以外はなかなか光が当たる事は難しい厳しい世界。。。

査定時の減額ポイント大きく8つ

ここからは実際の査定の際に減額される可能性があるポイントを見ていきましょう。今回は主にウイスキーとブランデーに絞った減額ポイントを見ていきます。

これはもし保管目的でボトルを所持していた場合にも役立つし、保管目的ではなくてもボトルの品質を保つために気にかけておくべきだと思います。言われてみると当然の事のように思えますが、再認識しておきましょう。

減額ポイント①:ラベル・シールの剥がれ

言わずもがな。ラベルやシールは極力剥がれてないほうがよい。

剥がれかけたシールや一度剥がれたラベルは自分では貼り直さない方がよい。余計汚くなるから笑

基本的にラベルの二重張りは買取できない。

ちなみに買取に持ってこられる商品の中でも高級ワイン「アンリ・ジャイエ」は9割以上ニセモノだそう・・・。

減額ポイント②:フィルムキャップの剥がれや割れ。

→栓を覆っているプラスチックやアルミ製のフィルム。

これが剥がれていないことが大事。少し破れているくらいであれば何割かの減額らしいが、完全に剥がれていると買取不可となる場合が多い。要はこれが剥がれているという事は中身の詰め替えが可能な状態にあったと判断されるため。

ちなみに、何十年も放置されたフィルムキャップはちょっと触ったら意図せず「パリッ」と割れてしまう事があるので要注意です。

減額ポイント③コルクの破損

古酒を抜栓した事のある方であれば1度くらいは経験あるかもしれません。

そう、古いコルクはメチャクチャもろいのです。乾燥しすぎてすぐポキッと割れたり、ボロボロ崩れたりします。

バカラボトルなどはボトル自体に価値があるので、ボトルだけでも買取できますが、基本的にコルクが折れたボトルは買取不可の場合が多いとのこと。

例えばレミーマルタンのセントーリモージュボトルなんかかなり注意が必要。ケンタウルスの左腕がコルク栓になっています。コルクがめっちゃ細いし、何かの拍子にぶつけそうだし、コルク技術も未熟な時代なので要注意。
ちなみにめっちゃ注ぎにくいです。

減額ポイント④ボトルの破損

ボトルが割れてたり、欠けてたりすると当然減額。

特にレミーマルタンルイ13世のボトル側面についてる「羽根」の下の方が折れている状態のボトルが多いそう。職人手作りの繊細なバカラですからねぇ。。。

減額ポイン⑤目減り

ブランデーやウイスキーは熟成時に「天使の分け前(エンジェルズシェア)」が起こり、どんどん樽から蒸発していくように、ボトリング後も年数が経つうちに未開栓であってもどんどん液体が目減りしていきます。本来入っているはずの量の80%を切るとだいぶ減額対象。

減額ポイント⑥沈殿物

直射日光などに当て続けた場合に化学反応によって発生した沈殿物。あまりにも多いと買取不可。当然ですがブランデーのボトルの保管場所に直射日光が当たる場所は避けましょう。できれば蛍光灯も避けましょう。

減額ポイント⑦化粧箱の有無

大事な外箱。ルイ13世やリシャールなどは、箱と換え栓と冊子がセットになって初めて高価買取。ルイ13世クラスになるとさすがに化粧箱捨てにくいですけど、フツーに飲む場合はやっぱ外箱はスペース取るから捨てちゃう場合が多いですよね。木箱とか3万円以上のコニャックの箱は私も取ってることが多いですけど。

減額ポイント⑧化粧箱の破損

化粧箱のダメージの有無も大事。保管年数相応に箱の隅がすれている場合や、ちょっとシワがあるくらいならOK。箱の側面のつなぎ目が完全に割れてたりしたら箱無しと同義。

と、査定時に減額するかどうか見られるポイントはこの8つが大きいようです。別に売却目的じゃなくても、特に①~⑥に関してはブランデーを美味しく飲むためにも必要な保管条件だと思うので、普段から気を付けておいて損はないと思います。

それでは今回の「ブランデーの買取市場潜入レポート【その1】:買取市場と減額ポイント」はここまで。

続いて【その2】では現行ボトルと古酒の具体的な特徴や買取してもらう際のポイント、実際の価格などを書いて参ります。

2018/9/14記事追加

ブランデーの買取市場潜入レポート【その2】:古酒と現行ボトル、実際の価格は? を見る

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