コニャック滞在記2019年 冬

コニャック滞在記㉗:グランドシャンパーニュの中心で崩壊する私の傘

2020年3月14日

滞在10日目その2
2019年12月12日(木)

ピエールドスゴンザックでの朝食を終え、この日のアポは残り3件。スゴンザック周辺にあるグランドシャンパーニュコニャックの小規模生産者たちを回ります。

  • Guillon Painturaud
  • J.Painturaud
  • Cognac Raby

の3つで、いずれも現在日本には入っていないコニャック生産者で、ブドウの栽培から瓶詰めまでを自社で行う、いわゆるプロプリエテールです。

コニャック滞在記がだいぶ長くなってきたので、3ついっぺんにダイジェスト気味に書いて参ります!!

Guillon Painturaudとピノーデシャラント

まずは10時からのアポイント。

Segonzacの町はずれにあるGuillon Painturaudです。
WEBサイトはコチラ

場所はこちら↓

距離的にスゴンザックの町から歩いて15分くらいなのですが、激しい雨+風+歩道が無い道だったので、かなり厳しい道のりでした。歩いていく道路じゃなかった・・・。誰も歩いてる人いない。

車が通るたびに草むらに退避しなければいけません(笑)

こんな道を見知らぬアジア人が折り畳み傘で歩いているので、すれ違う車の運転席からものすごい視線を感じます。

Guillon Painturaudの人に「歩いてきたよ」といったら「え? Are you serious???」と言われてしまった。

ピノーデシャラントがうまうま

Guillon Painturaudは18ヘクタールの自社畑を保有しています。

このGuillon Painturaudは誰の紹介もなしに直接WEBサイトからアポイントを取ったせいか、オーナーではなく、案内役の若い女性に施設内を案内して頂きました。

最初はめっちゃダルそうに案内されたのですが、私があまりにもマニアックな質問ばかりするので、後半からは凄く細かく説明してもらえました(笑)面倒な訪問者で申し訳ない。。。

ちなみにGuillon Painturaudはレミーマルタンと契約があり、生産量の約50%程のオードヴィーをレミーマルタンに卸しています。なので蒸留方法も基本的にはレミーマルタンタイプでオリを残し、比較的どっしりとしたコニャックに仕上げています。

Guillon Painturaudはコニャックのラインナップもかなり多いのですが、ピノーデシャラントのラインナップがかなり豊富でした。

全部ピノーデシャラント

ピノーデシャラントは早く売り上げもたつので、結構力を入れているのだとか。

その中でも、このボトル。

日本ではあまり見ない40年熟成という長熟のピノーデシャラント(白)なのですが、めちゃくちゃ美味しかったです。

しかも値段約70ユーロ!!(約8500円)

即買いです。

これは自分用に買いました。

その他、全てのコニャックラインナップを試飲させて頂きました。

「あなたみたいなゲストは珍しいから、全部テイスティンしちゃっていいわよ」とお姉さん。あざーす!!!

Guillon Painturaudのコニャックは比較的樽香強めのコニャックなのですが、その中でもこのRenaissanceが非常に香り高く、余韻もダントツでした。

もう一つ、限定ボトルの樽出しコニャックも頂きました。

ただ、個人的には酸味とタンニンが強すぎてちょっとダメだった。無加水、ノンキャラメル、ノンシュガーなんですが、この真っ黒さ。もはやバルサミコ酢。

ピノーデシャラントも含め、合計で14種類程テイスティングさせて頂き、大変よい時間を過ごさせて頂きました。

今回はオーナーさんいなかったけど、次回来た時にはぜひ直接お話が聞ければと思います。

ということで、次。

J.Painturaudと兄弟経営

Guillon Painturaudの次に向かったのは、J.Painturaudというコニャック生産者。

名前から分かる通り、Guillon Painturaudとは親戚関係にあります。ブランドは全く別ですが。

J.Painturaudは4人の兄弟が手掛けるグランドシャンパーニュコニャックです。

場所はコチラ

WEBサイトはコチラ

主に生産を手掛けているのは、オーナーで長男のJean-Philippe氏です。

今回は輸出や販売を主に手掛ける兄弟のEmmanuel氏に生産現場を案内して頂きました。

こちらは2019年から導入したオートマ化するための機材。自動でヘッドやブルイーを分けてくれます。(1回目の蒸留であるプルミエショーフは主にオートマ式で蒸留します)

J.Painturaudもレミーマルタンにオードヴィーを提供しています。マーテルにも蒸留前のワインだけ卸しているそうです。

こちらは熟成庫。

熟成庫の奥に入っていくかっこいいEmmanuelさん

ピノーデシャラント用の樽が150樽。コニャック用の樽は250樽あります。

色々とテイスティングさせて頂きました。

レンジとしては下記の通り

  • VSOP:5年
  • レゼルヴ:10年
  • ヴェイユレゼルヴ:20年
  • XO:25年
  • オルダージュ:40年

また、写真撮るの忘れたけど、こちらもピノーデシャラントの種類が豊富で、50年熟成のピノーデシャラントがありました。

グランドシャンパーニュの中心で崩壊する傘と私

J.Painturaud訪問後、次の生産者であるCoganc Rabyに向かうのですが、ここで一気に雨と風が激しくなります。

Emmanuelさんが「車で送っていこうか?」と言ってくれたのですが、まだ次のアポまで1時間以上あったので、「適当に散歩して向かうから大丈夫!」と強がってしまいました。

これが最大の間違いだった・・・

Googlenナビに従って次の目的地に向かったのですが、ナビの案内が予想以上に畑!!!

ルートとしてはこんな感じです。

こんな道を30分くらい歩きます

ザ・畑と土!

出発したときは大したことなかったのですが、

徐々に強まる雨と風!!

徒歩30分くらい行けるやろーとか根拠のない自信をもった自分がアホでした。

グランドシャンパーニュの白い大地を踏みしめながら、一歩ずつ進んで行きます。

ここは小高い丘になっていて、遮るものが何もなく、前に進むにつれ風が強くなっていきます。

写真じゃ伝わりにくいですが、もう嵐に近いです。

分かりにくいけど雨と風がすごい

と、その時

バキンッ!!!!

という凄い音と共に

傘 の 骨 が

完 全 崩 壊

▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂

うわああああああ

完全にコニャック畑の自然を舐めていた私は大きな洗礼を受けることになりました。

バケツをひっくり返したような雨に打たれ、

「あははははー」

と変な笑い声がこみあげてきます。

周り誰もいないし。

ほんと誰もいないのよ。ここ数年で最も孤独な闘いとなりました。

防水靴も全く意味なし。泥水でグチャグチャです。

グランドシャンパーニュの中心で完全崩壊した私の傘。

同じく私の精神も崩壊しかけましたが

「これも経験のうちだ!!!」

と自分を奮い立たせ、グチャグチャになりながら目的地のCognac Rabyまで何とかたどり着きました。

バックパックの防水はかなり機能してくれたので、カメラやパソコンが無事だったのは幸いでした。

ただ、もし晴れていたら最高の眺めだったことは間違いないです。

雨の日はダメ・ゼッタイ。

Cognac Rabyで暖かい紅茶とクッキーを頂く

Cognac Rabyで出迎えてくれたのは、オーナーのRabyさん。

Coganc Raby WEBサイト

私の姿を見るなり

「どうしたの!!?大丈夫!???」

( ゚Д゚)

とかなりビックリした様子で、蒸留器の前まで案内してくれました。

「蒸留器の前が暖かいから、ここで服とか干してちょっと休んでていいよ」

と。

蒸留器の前で乾かされる私の荷物たち

本当にすみません。というか迷惑すぎるわ私。

しばらくコニャックどころではなかったので、タオルと暖かい紅茶とクッキーを用意して下さり、落ち着くことができました。

本当に感謝感謝です。

Cognac Raby見学

少し落ち着いたところで、Cognac Rabyの内部を見させて頂き、テイスティングさせて頂きました。

Cognac Rabyは35ヘクタールの畑を所有。

Cognac Rabyは自社ブランド以外にレミーマルタンとマーテルにもコニャックを提供しています。

レミーマルタンに提供するコニャックはレミーマルタンから樽が提供され、その提供された樽で約5年程熟成させたものを卸すそうです。

マーテルに卸すコニャックは自分達で用意した樽で約3年程熟成させたものを卸すそうです。

Cognac Rabyのコニャックはノンシュガー、ノンキャラメルが基本です。

Cognac Rabyの熟成期間のレンジとしては下記の通り

  • VS:4~6年
  • VSOP:6~8年
  • XO:11~13年
  • Extra:30~35年

どれも美味しく楽しませて頂きました。他のブランドと比べXOレンジの熟成期間は短めです。

グランドシャンパーニュコニャックが最も花開くタイミングの30~35年熟成であるExtraがやはりイチオシ。(しかも78ユーロという破格!!)

スーツケースにもっと余裕があったら何本か買って帰りたかったです。

Rabyのオフィスエントランス

そんなこんなで楽しく会話をしながら2時間程滞在させてもらったところで、時間も18時半。

前もって予約して頂いたタクシーが迎えにきました。

蒸留器の前に置かせて頂いたおかげで、靴とコートもだいぶ乾いていました。

本当にありがとうございます。。。。

その後、無事タクシーに乗ってコニャックの町へ。ホテルフランソワプルミエに戻ります。

あ~・・・疲れた。。。

けど楽しかったわ!!!

きっと数年後には忘れない思い出として私の心に刻まれる1日となりました。

ストライキで電車がない!どうやってパリに向かう!!?

ということで駆け足でしたがこの日はこれにて終了。

次の日はパリに向かいます。

・・・が!!

何とストライキの影響でパリまでのTGVが動きません!!!

どうやって飛行機に乗ればいいのーーー!!?

次の記事で今回のコニャック滞在記は最後です。

次の記事
ありがとうコニャック!また次会う日まで

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