コニャックブランド特集

コニャック JEAN GROSPERRIN (ジャン・グロペラン)はどのように原酒を買い付けるのか?特徴とラインナップ

2021年12月21日

今回は高品質なビンテージコニャックを多く輩出することで有名だけど謎も多い?コニャックブランド、JEAN GROSPERRIN (ジャン・グロペラン)について少し詳しく見てみましょう。

doux barにて

JEAN GROSPERRIN・・・日本語表記はジャン・グロスペランだったりジャン・グロペランだったりとあるのですが、フランス語に近い表記でいうと"グロペラン"の方ですね。もっと近づけると「グフォ゛ペハァン」・・・とかになってしまいますが(笑)相変わらずフランス語の発音をカタカナにするのは難しい。

ジャン・グロペランのボトルの特徴

ジャン・グロペランに共通する特徴は下記の通りです。サラっと書いていますが、コニャック的に実は結構すごい事ですね。

  • 基本的に全てシングルカスク、基本的にシングルビンテージ。
  • 全てのボトル、樽の原酒や熟成年数が追跡可能。
  • 問合せすればそのボトルに関して詳細を記した書類を提示可能。
  • キャラメル、加糖、オークチップなどの添加物は一切なし。
    ※商品によって加水は行うものと行わないものがあります(後述)
  • ノンチルフィルタード。
  • 全てのボトルに固有のナンバリングが施されている。

このように他のコニャック生産者やネゴシアンと比較して、ボトル一つ一つまで細かく詳細が記され、追跡可能な点も特徴的です。

ネゴシアンであり続けるジャン・グロペラン

グロペランのコニャック生産者としての立ち位置は「ネゴシアン」です。8人の従業員が働いています。

自社でブドウの栽培、発酵、蒸留は行わず、多くの生産者から優良な原酒を見つけ出し買い付けます。グロペランの場合は買い付けたものをそのままボトリングするのではなく、それらを自社の熟成庫で熟成しボトリングすることでグロペランのコニャックは完成します。その完成度たるやたるや数あるネゴシアンのなかでもトップクラスと言って過言ではないでしょう。

2021年現在、グロペランと取引のあるコニャック生産者は150以上。

コニャックには自分たちで蒸留を行うけど自社ブランドをもたない生産者が多く存在します。彼らは「ブイヤードクリュ」と呼ばれ、それらの原酒を大手に提供する事を仕事としています。そういったブイヤードクリュや家族経営の小さな生産者や蒸留所には大手企業に買い叩かれる前のダイヤモンドの原石のような原酒が多く眠っています。その原酒たちを大量のブレンドと一緒に消してしまうのではなく、一つの主役として理解ある人達へと届けたい、そんな情熱と共に買い付けとリリースを行っています。

そのためグロペランが展開するコニャックは基本的にシングルビンテージでのリリースとなっています。

ヘネシーをはじめとする大手コニャック生産者も同じくネゴシアンとして活動していますが、ジャン・グロペランの場合は買い付けた一樽一樽、全ての樽を主役として隅々まで管理し最後まで面倒を見てシングルビンテージとしてリリースするところですね。自分たちで発酵・蒸留した原酒ではない分、樽ごとの個性を個別に理解し管理をする必要があります。

ちなみにあまり知られていませんが、同じくネゴシアンであるデラマンもそれに近いところがあり、スタンダード製品を除くと意外とデラマンもシングルビンテージを出しています。(日本にはあまり入っていませんが)

ただシングルビンテージの数はジャン・グロペランが圧倒的ですね・・・。国内で販売されているジャン・グロスペランのボトルは限られていますが、現状の彼らのHPにラインナップされているボトル群を見るだけでも想像が膨らみます。

ジャン・グロペランのボトル一覧

https://cognac-grosperrin.com/en/collection/our-collection/

ジャン・グロペランの創設と現在

コニャックブランドとしてのジャン・グロペランの歴史は比較的新しいもので、ブランドが立ち上がったのは1999年です。もう少し歴史を紐解いてみましょう。

創設者にあたるJean Grosperrin(ジャン・グロペラン)氏は元々長年ワイン業界で活躍していた人物です。

1980年代、北フランスのロレーヌ地方で蒸留家として彼のもつ3つのポットスチルと共に主に冬の期間フルーツを蒸留する仕事をしていました。

1991年にコニャックの蒸留家としてコニャック地方へ移ります。

1992年、シャラント川左岸にあるフランス最古の町のひとつであるサント(Saintes)にてコニャックやワインを商社に紹介する生産者との仲介役・ブローカーとしての会社を設立(ラ・ガバール社)しました。その後1994年には主にコニャックの卸業者としての役割を担うようになります。

この一連の過程でジャン氏は、先述したように家族経営の小さな生産者や蒸留所には大手企業に買い叩かれる前のダイヤモンドの原石のような原酒が多く眠っていることに注目し、それらをボトリングして世に届けたいという思いを胸に秘めるようになります。

そして1999年、その目的を果たすために現在の自社ブランドである「ジャン・グロペラン」を立ち上げます。

5年や10年のコニャック原酒を見つけ出すのは簡単ですが、「良い」「40~50年」の原酒を見つけ出し、それを買い付けることは容易いことではありません。原酒を提供してくれる生産者にジャン・グロペランのブランドコンセプトに共感し協力してもらうことが不可欠です。そういった意味でブランドを立ち上げる前にに多くのコニャック生産者との繋がりを作っていたことは重量な成功要因の一つです。また、ブローカーとして働いていたことから最終的に商品を買ってもらう卸業者や酒販店とも非常に強い繋がりをもっていたこともブランドを生産者と消費者に多く知ってもらうための大切な要素の一つだと言えます。

引退と引き継ぎ

創設者であるJean Grosperrin(ジャン・グロペラン)氏は2003年に現役を引退。その後2004年に息子のGuilhem Grosperrin(ギョーム・グロペラン)氏に引き継ぎを行います。2004年の引継ぎ当初、息子のギヨーム氏はまだ23歳という若さでした。

↑Guilhem 氏

その当時は買い付けた樽をそのままボトリングするという販売手段を取っており、まだ自社で熟成するということは行っていませんでした。その当時は費用的な問題もあり樽を貯蔵する場所と量が確保できなかったのです。

そしてこれはあまり語られていませんが、ジャン氏が現役を引退したのは健康上の理由とのこと。そういった経緯もありギヨーム氏はオーガニックコニャックにもとても興味があるようです。

世界展開とグロペランの今

2012年頃よりジャン・グロペランはフランス国外にも多くのインポーターをつけ、ワールドワイドに展開するように舵を切ります。

2013年にはギヨーム氏の妹であるAxelleさんもブランディング担当としてグロペランチームを担っています。

現在はギヨーム氏がグロペラン全体のディレクション兼セラーマスターとして、卓越したテイスティングセンスと共に先代の情熱をしっかりと引き継ぎグロペランブランドのコニャックを展開しています。

どのように原酒を買い付けるのか?

ジャン・グロペランでは様々な生産者から優良な原酒を買い付けていますが、買い付けには主に

  • 自分たちで生産者を訪ねてカスクからテイスティングする
  • サンプルを送ってもらうよう頼む
  • 生産者の方からサンプルを送ってくる

の3パターンがあるそうです。特に面白いのは3番目の生産者の方からサンプルを送ってくる場合ですね。これは長年の信頼と評判がなければなかなかできません。

実際にその原酒を買うかどうかは全てテイスティング・官能評価によって決まります。

グロペランでは毎年35~40程の原酒樽を購入するそうです。中には樽熟成を終えてガラス瓶(ディミジョン)で保管されている貴重な原酒を買う場合もあるそうですが、ほとんどは樽買いがメインです。

↓長期熟成を終えてガラス瓶で保管されるコニャック達↓

グロペランのコニャックはなぜ高いのか?

またジャン・グロペランは生産者のコニャックを安値で買い叩くような交渉は一切せず、正規の金額で樽を買うことでも有名です。これはコニャック生産者との良好な関係を築くためでもあり、今後の生産者の発展を望んでのこと。良いビジネス関係が良いコニャックを作ることを忘れてはいけません。

ジャン・グロペランが最終的に販売するコニャックの値段は他のコニャックブランドと比較するとやや高めであることも特徴的ですが、その背景には買い付ける原酒の取得プロセスが影響している一面もあります。

もちろんビンテージの管理コストやアルコール度数が高いことによる酒税も関係あります。

グロペランの熟成庫とボトリング

ジャン・グロペランはコニャック生産者から買い付けた原酒を自社の熟成庫にて保管・熟成しています。

熟成庫はいつくか保有しており、サント(Saintes)に1つ、シャラント川近くに1つ、コニャックの郊外にもあります。買い付けた原酒をそれらの熟成庫で熟成させるのですが、どれくらい熟成させるのかはその原酒次第となります。

長いものは十数年、短いものだと買い付け後数ヶ月でボトリングすることもあるそうです。買い付け先は様々なので、その時の原酒の状態を見てベストなタイミングでボトリングする技術が問われます。

↓グロペランの熟成庫の一つ↓

ブレンドするのか?

グロペランのコニャックは基本的にはブレンドはせずにシングルカスクで出されます。

その意義は先述したとおりその原酒そのものを主役にするため。
※グロペランのセカンドブランド向けに一部ブレンド用に保管しているものもあります。

加水はするのか?

先述したように加水するものもあれば加水しないものもあります。全てがカスクストレンクスという訳ではありません。

ジャン・グロペランのコニャックのアルコール度数は平均して48%~50%程です。一般的に製品化されるコニャックの度数である40%よりもやや高めです。

基本的にグロペランのコニャックで40~50年以上の熟成を経たものは加水無しのカスクストレンクスでボトリングするものが多いです。30年程のものであれば加水してボトリングします。

そのあたりはセラーマスターや商品コンセプト、原酒の状態次第で様々ですが不要な加水はしないようにするスタンスです。シングルビンテージなのでまぁそうだよねという感じではありますが・・・。

ちなみに過去に製品化されたジャン・グロペランのコニャックの中で最もアルコール度数が高かったのは68%だったそうです。

なぜグロペランは原酒の提供元を明記しないのか?

アルマニャックにもジャン・グロペランと似たような優良なネゴシアンがいます。例えばダローズです。ダローズではヴィンテージボトルには全てその原酒を作った生産者名(ドメーヌ名)が記載されています。

しかしジャン・グロペランには(一部例外を除いて)原酒の提供元である生産者が明記されることはありません。ジャン・グロペランの特徴として、ボトルラベルに、これはどのようなボトルなのかその原酒にまつわる背景物語が記述されています。しかしながらその記述の中に具体的な生産者名は書かれていません。

これにはグロペランなりのちゃんとした理由が主に3つあります。

まず1つめ。コニャックでは大手コニャックメーカーと契約している農家(ブイヤードクリュ)は、どこのメーカーに原酒を提供しているのか公表してはいけないという契約を結ぶこと事がある。もともとブイヤードクリュは一般消費者向けに売ることを想定していないし、複数メーカーに原酒を提供していることがあるので、メーカー側も生産者側もどこに提供しているのかを知られたくないという事情があります。それを踏襲してジャン・グロペラン側も公表していないうのが1つの理由。これはどちらかというと生産者側の立場に立った理由ですね。

2つめの理由は、原酒を提供していもらう生産者にこれから先さらに良いコニャックを作ってもらうためです。これはどういうことかというと、例えばジャン・グロペランがボトリングしたコニャックが大変出来が良く人気が出た場合、原酒提供元を公表しているとその提供元生産者の所に消費者や他メーカーが殺到してしまい良い原酒が確保できなくなってしまうという懸念からです。これは何もグロペランが原酒を独占したいという意図ではなく、もともと一般に製品化する予定のない原酒提供元に人が殺到してしまうと彼らが忙殺され本来の仕事に集中できなくなってしまうというからという意味合いが強いとのことです。

3つめはの理由はミステリー性を持たせるため。ジャン・グロペランでは各ボトルにそのボトルの背景にある物語(どうやってこの原酒ができたか)などを一つひつつ記載しています。しかしそこには生産者の名前は出ずにあくまでも背景にあるストーリーのみです。そこに優美さと神秘さを見出すことがジャン・グロペランのブランドにとってもコニャック全体にとっても、原酒を作る生産者にとっても大事だというのがジャン・グロペランの考えです。

この辺りの考え方は原酒提供元を明記しているジャンリュックパスケのネゴシアン(ボトラーズ)商品「L´Esprit de Famille」シリーズと考え方が違うのかなとも思いましたが、ジャンリュックパスケの方は既にコニャック作りから引退した生産者の原酒をボトリングしたものなので、原酒の提供元の立場が異なりますね。

ジャン・グロペランを楽しむ

こうしてジャン・グロペランを覗いてみると一つ一つのボトルで個性が異なり、厳格明確に管理されたシングルカスク/シングルビンテージを楽しむことができるというのが最大のポイントですね。

一定の方向性を持ったプロプリエテールももちろん素晴らしいですが、それとはまた違ったコダワリと楽しみ方ができます。全てのボトルにおいて個性があり、唯一であり、一期一会である。そんな奇跡の出会いを期待させ、楽しませてくれるのがジャン・グロペランです。

日本国内での取り扱いには限りがありますが、田地商店(信濃屋)などもジャン・グロペランとのプライベートボトルをよく出していたりするのでその度にチェックするのが楽しくなってしまいます。(なかなか高価なものが多いですが・・・)

グロペランの国内プライベートボトルはアルコール度数54%前後の少し度数高めのものも多いので、個人的には46%くらいがよいのですが…ゴニョゴニョ

まぁ何にせよ唯一無二のボトリングを手掛けるジャン・グロペラン、今回書いた彼らの背景を知った上でどのボトルでも一度味わってみるとまた楽しみ方も変わるかもしれません。

ジャン・グロペランのボトル一覧

公式HP
https://cognac-grosperrin.com/en/collection/our-collection/

Cognac Expert
https://www.cognac-expert.com/cognac-brands/grosperrin-cognac

楽天
こちらから

信濃屋
https://onl.tw/Kptj1h1

-コニャックブランド特集

Copyright© Brandy Daddy -ブランデーダディ- , 2022 All Rights Reserved.