コニャックレビュー

コストコのコニャック カークランド シグネチャー XOのレビュー評価

今回のレビューは、あのコストコ(Costoco)のオリジナルブランド「カークランド(KARKLAND)」。カークランド シグネチャー XOコニャック

10年以上の熟成を経たコニャックに適用可能なXOクラスとなるコニャックです。

X(Twitter)でレビューをしてみようかと投稿したところ、意外と反響があったので買ってみました。12年~21年熟成ブレンドのXOクラスのコニャックとのことですが、果たして。

こういった製品の場合「コストコだから」という先入観は可能な限り排除してレビューを行わなければならない。

カークランド シグネチャー XOの基本情報

アルコール度数:40%
生産域:ブレンド
熟成年数:約12年~21年熟成ブレンド
容量:750ml
輸入元:コストコホールセールジャパン株式会社
購入価格:税込7,680円 (2024年6月購入)

カークランド シグネチャー XOの香り立ち

ボトルを開けた瞬間は意外と華やかなオレンジっぽさが広がります。

グラスに注ぎ、香りを拾うとまた180度異なる印象です。
割と強烈なアルコールのツンツン感が攻撃的。

かなりオイリー。鉄っぽさとセメダイン、灯油のような印象を受けます。これは蒸留時のカットの後半、ハートとスゴンドの切り替えのタイミング付近の溜液によく拾われるいわゆる鉄分と溶剤臭です。

その後はタバコ、湿った森、クルミといったややウッディ要素。

奥にほんのりオレンジピールです。

全体的に攻撃力が高めです。

カークランド シグネチャー XOの味わい

味わいはピリッとするスパイス感。黒糖。

フルーツを拾うとすればアプリコットとオレンジ。

恐らく加糖由来なのかもしれませんが、やや人工的な甘みっぽさがある。

余韻は短いのですが、鼻抜けに少しスモーキーさ(ピートっぽさではなく樽の焦げた感じでしょうか)・・・も感じる何とも不思議なアフターテイスト。

何回か飲み返すと次第に少しドライフルーツ、若干の黄桃っぽさは鼻抜けとして現れます。

全体的にフルーツ感は少な目。オークっぽさ主体。

コストコのコニャックはどのようにして生まれたか

このKARKLANDというコストコのブランドは2007年からコストコの蒸留酒ブランドとしてスタートしています。コニャック以外にもウォッカ、ブレンデッド カナディアン ウイスキー、ブレンデッド スコッチ ウイスキー、バーボン、ラム、アネホ テキーラ、ロンドン ドライ ジンなどを作っています。

製造工程に関して、他の蒸留酒は分かりませんが、コニャックに関して言うとコストコが原料から蒸留、熟成まで直接的に生産しているわけでもなければ、自社畑を持っているわけではありません。詳細な過程は明記されていませんが、恐らくバルクで製造されたコニャックを自社ブランドとして詰めているものだと思われます。

あまり馴染がないかもしれませんが、コニャックの産業構造的にCooperativeと呼ばれる業態が存在します。何をしているかというと、コニャックを大量に生産(主に蒸留~熟成を担当)し、それらをそのまま様々なブランドのコニャックとしてボトリングする事を担っている会社です。

大量生産されているが故にどうしても細かいところまで手が行き届かずどうしても品質的にはやや乏しいものになってしまいます。量と効率優先になってしまうため、例えば加水のタイミングであったり、樽一つ一つの管理、ブレンドのクオリティが数段階下がってしまう。

これは完全に私の憶測なので間違っていたら申し訳ございません。話半分くらいにしておいてください。

ただ、どうしても最初の香り立ちで感じたオイリー感とアルコール感が気なってしょうがない。先述しましたが、これは私の感覚的に蒸留時のカット後半に現れるやや不快感を伴う溶剤臭に近いものがあります。それを無理やり加水させたイメージがどうしてもついてきてしまいます。

このコニャックは丁寧に添加物としてカラメル色素が明記されています。

この熟成年数で定番品となるコニャックであればカラメル添加は一般的なので、それ自体が決して悪いとは言いません。恐らくですが、350リットル樽での熟成期間はそこまで長くなく、大半の期間を大樽で過ごしたのではないかと想像してしまいます。それゆえ元々の色はかなり薄いはず。12年~21年の割りに熟成感にやや乏しいのはそこに繋がっているのではないでしょうか。

参考:コニャック保管用の大樽
※カークランドではありません

コストコ コニャック カークランド シグネチャー XOまとめ

コニャックと銘打っている以上、一定の基準はクリアしているので決してコニャックのラインを逸脱しているわけではない。ちゃんとコニャックではあるしちゃんと飲める。

一瞬、有名な例のウイスキーのレビューコメントを引用して『安くて旨い佳酒は数多ある。それが無理にコニャックである必要はない。挑戦する勇者を止めはしない。』とか言おうと思ったけど、さすがにそこまではない。というか決して安くはない。

が、12年~21年熟成と明記されている以上、その同じくらいの熟成年数や、同価格帯の他のコニャックと比較するとどうして厳しいものがある。最も気になる点は先述した香り立ちと、12年~21年であれば感じられるであろう余韻におけるブドウ感が圧倒的に乏しいこと。

無理して買う必要はない。

正直に言うと別に買わなくても良いと思う。Barに置く必要はない。というか置かないでほしい。

ただ、挑戦する勇者を止めはしない。

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