コニャックレビュー

100年熟成の業Famille Cabanne Lot 24 Grande Champagneのレビュー・感想

今回のレビューはCognac Expertで限定販売されたFamille Cabanne(ファミーユ・カバンヌ) Lot 24 Grande Champagneです。

Lot24と名のつく通り、1924年蒸留。100年の時を超えて世に出たコニャックです。

実はこのコニャック、買おうかなぁ~と迷っているうちに売り切れてしまい涙をのんだコニャックでもあります。そんなところに、こちらも先日のLa Récession No.2 35-40 Years Borderiesと同様、私とコニャック仲間(?)でもある@銀髪さんからサンプルとしてテイスティングさせて頂きました。大変貴重なコニャックをありがとうございます。

Cognac Expertの情報によると、ガラス瓶に入れられることなく100年間湿度の高いセラー内の樽の中でずっと眠っていたとのことです。これが本当だとすると、100年樽に入った状態でこのクオリティを保っている大変レアな状態のコニャックです。

Famille Cabanne Lot 24 Grande Champagneの基本情報

ではあらためてこのFamille Cabanne Lot 24 Grande Champagneの詳細を見ていきましょう。

Famille Cabanne Lot 24 Grande Champagne

アルコール度数:46.2%
生産域:グランドシャンパーニュ100%
ブドウ品種:ユニブラン
蒸留:1924年
熟成年数:100年(2024年ボトリング)
※ダムジャン(保管用ガラス瓶)ではなく100年間樽の中で眠っていたとのこと
その他:加水なし・カラメルなし・加糖なし・ノンチルフィルタード
容量:700ml
販売価格:799ユーロ
※今回テイスティングさせて頂いたのは700mlではなく200mlボトル(299ユーロ)の方です
Cognac Expertの販売ページはコチラ

もう少し追加情報を挙げると、樽はセガン・モローとタランソーの協同組合から調達したもので、粗い木目とミディアムトーストが特徴的な樽を使用しているとのこと。

正式なヴィンテージではないものの、100年という熟成年数を考えると799ユーロ(約13万円)という価格は、かなり破格なのではないでしょうか。決して安くはありませんが、内容を考えるとめちゃめちゃ安い気がしてきます。

それでは早速味わっていきましょう。

Famille Cabanne Lot 24 Grande Champagneの香り立ち

グラスに顔を近づけた瞬間、強烈な南国フルーツのアロマが勢いよく立ち上がります。

パッションフルーツやグアバといったトロピカルな果実の香りが第一波として鮮烈に感じられ、その奥からは砂糖漬けのオレンジピールが現れ、芳醇で甘やかな印象を添える。この香りだけで、口に含む前から余韻の豊かさが想像できるほど。

特筆すべきは、まさに60年熟成以上のコニャック表れない南国系長熟ランシオの存在感で、香りの世界を一気に非日常へと引き上げてくれます。さらに微かに感じられる低木や下草を思わせる奥にはほんのりと低木のようなグリーンなニュアンスがあり、香りに奥行きを与えています。

Famille Cabanne Lot 24 Grande Champagneの味わい

口に含むと、まず広がるのはジューシーなオレンジと完熟アプリコットの濃密な果実味。それらが滑らかに溶け合いながら、続いてやってくるのは、ふくよかでコクのあるハチミツの甘み。

アルコールの熱や角は見事に丸まり、舌の上で絹のように滑るようなテクスチャーを感じます。香りの華やかさを損なうことなく、味わいは落ち着きと豊かさを兼ね備えています。

Famille Cabanne Lot 24 Grande Champagneの余韻

余韻は穏やかながら長く、印象的な変化。最初に感じるのはほんのりとした枯れ葉のような乾いたニュアンス。秋の林を歩くときのような落ち着いた香り立ちがあり、そこから時間とともに再びパッションフルーツやマンゴーといったトロピカルフルーツがじんわりと口の中に広がってきます。この再登場する果実の重奏が、南国ランシオの真骨頂といえます。

そして、最後には長い余韻の中に、かすかに木の香りが残り、心地よい締めくくりとなります。

Famille Cabanne Lot 24 Grande Champagneまとめ

長期熟成グランド・シャンパーニュ・コニャックの真価を存分に体現した一本。芳醇な香り、豊かな味わい、そして長く続く余韻のすべてが高次元で調和しており、コニャック愛好家はもちろん、初めてランシオの魅力に触れる人にも強くおすすめしたい逸品です。(もう手に入らないけど・・・)

特に驚くべきことは、100年もの間樽に眠っていたにも関わらず、渋みやえぐみといったマイナスの樽感に支配されておらず、しっかりとグランドシャンパーニュコニャックらしい果実味と長熟南国系ランシオが活き活きとしていることです。

よほど状態がよく、細かな管理に手が届いていたコニャックですし、その繊細な管理体制をキープしていた生産者には頭があがりません。

このFamille Cabanneが保有するコニャックの中には古いもので1806年(!?)のコニャックもあるそうです。AEドールに劣らない貴重な存在です。

そんなこんなで、私はFamille Cabanne×Cognac Expertの第2弾であるFamille Cabanne Lot.58 Petite Champagneを購入してしまいました。今度は67年熟成のプティットシャンパーニュです。

6月上旬には手元に届く予定ですので、テイスティングが楽しみであります。

-コニャックレビュー

Copyright© Brandy Daddy -ブランデーダディ- , 2025 All Rights Reserved.