今回レビューするのはコニャックFRANSAC(フランサック) ボルドリ1971ヴィンテージ。

このボトルは2025年9月にコニャック渡航に行った際にフランサックのブティックでたまたま見つけた最後の2本でした。お店でテイスティングさせてもらい、なかなかの衝撃的な美味しさに即決したボトルです。
フランサックのブティックはシャラント川沿いのヘネシー本社の隣に位置し、今までずっとスルーしていたのですが、今回のコニャック渡航は時間に余裕があったため寄ってみることに。結果的に今回のコニャック渡航で最も嬉しい出会いとなったボトルでした。
結果的に700mlフルボトル1本と200mlミニボトル×2本を購入しました。
FRANSAC(フランサック) ボルドリ1971ヴィンテージの基本情報

アルコール度数:40.30%
生産域:ボルドリ100%
蒸留:1971年
熟成年数:約51年(2020年9月20日ボトリング)
その他:加水なし・カラメルなし・加糖なし・ノンチルフィルタード
容量:700ml
購入時期:2025年9月
購入価格:160ユーロ
(250mlミニボトルは52ユーロ)
今でこそ円安が進み1ユーロ180円(2025年12月時点)ですが、このヴィンテージでフルボトル160ユーロは破格ですね。破格中の破格。
私の買ったボトルがラスト2本のうち1本だったので、もうあと1本しか市場には出回っていませんでした。
よかった・・・
実はこれと同じヴィンテージが後1つダムジャン(ガラス瓶)にて保管されているそうです。そのダムジャンはまだボトリングを待っている状態。どなたかプライベートボトルで日本に引っ張ってきてくれる事を願うばかりです。
それでは早速テイスティングですが、フルボトルを開栓するのはまだ少し先にしますので、テイスティングは250mlミニボトルの方で行います。ご了承下さい。

香り立ち
立ち上がりはフローラルな印象が非常に明確。バラやスミレを思わせる華やかな花の香り・・・かなりパフューミー。
その奥には腐葉土を思わせる落ち着いた香り立ちと、バニラの柔らかな甘みが全体を包み込みます。さらに控えめながら、リンゴのフレッシュな果実香が背景として感じられます。
時間の経過とともに表情は変化し、オレンジや蜂蜜を思わせる甘く丸みのある香りが前面に出てきます。そこへ、シガーを連想させるほのかな煙感とウッディな要素とシナモンなどのスパイス要素が加わり、香りに深みと大人びた印象を与えます。
味わい

口に含むと、香りで感じたフローラルさとは対照的に、土を思わせる落ち着いたニュアンスがまず現れます。全体の口当たりは非常にやわらかく、先日のグロペラン ボルドリ1970と比べても穏やかな印象です。
中盤からはプラムを思わせる果実味が現れ、味わいに程よい酸味と厚みを与えます。
余韻
余韻にはスパイスの要素が現れ、特に胡椒のような刺激が心地よく残ります。続いて私の大好きな枯れ葉系ランシオが鼻を抜けます。
後半ではオレンジの柑橘感が広がり、奥の方では白桃を思わせるみずみずしい果実香と、再びフローラルな要素が静かに立ち上がります。
余韻の長さは中程度で、過度に主張せず、次の一口へ自然と導かれる構成です。
フランサック ボルドリ1971ヴィンテージまとめ
華やかなフローラルさと、土やウッド、シガーを思わせる落ち着きがバランスよく共存した一本です。時間とともに甘みと奥行きが増し、穏やかな変化を楽しむことができます。
このボトルと比較するにはグロペラン ボルドリ1970ヴィンテージがもってこいでしょう。
参考記事
→信濃屋コニャック グロペラン ボルドリ Lot70の感想レビュー

両者を比較すると力強さと余韻長さはグロペランに分があります。対してこちらのフランサック1971ボルドリはボルドリ王道のフローラルさ、それに加え腐葉土のような枯れ葉系ランシオを主としています。
これは人によって異なるのですが、私が求める「ボルドリコニャックらしさ」にはフローラルな香り立ちと枯れ葉系ランシオが欠かせません。この観点でいうとグロペラン ボルドリ1970と比較した場合、こちらのフランサック1971ボルドリの方が私の求めるボルドリコニャックにより近いボトルと言えるかもしれません。
「ボルドリとは」を体験するにはもってこいの1本です。
