コニャックの表記として2018年に加わった新基準「XXO」・・・それから約4年、コニャック業界的にどれほどXXOカテゴリが増えたのか少しおさらいしてみましょう。
XXOカテゴリとは何なのか?
まずは経緯とおさらい。
大きく事が動いたのは昨年2017年の事。
2017年8月にヘネシーが新しいコニャック「ヘネシーXXO オルダージュ (Hennessy XXO Hors d'Age)」というコニャックをリリースしました。シンガポール空港の免税店を封切りに、一気に注目を浴びたこのコニャックは、「ヘネシーXOを超えるスペシャルなXO」という意味合いでアジアを中心にリリースされまいした。
このXXOコニャックは大元を辿れば19世紀末、1872年まで歴史を遡ります。
1872年、ヘネシーは一度「ヘネシーX.X.O」というコニャックをリリースした事があります。(飲んだ事ないけど)
この旧XXOコニャックはその後1930年に製造中止となりましたが、近年ヘネシーが160万ユーロ(約2億円)かけて再開発し、昨年満を持してリリースされたのです。
しかし、その後、同2018年12月に当然のように「そんなカテゴリは存在しない!」と議論になり、市場の混乱を招くとしてXXO名称の使用を止めざるを得ない状況になります。
その後一転してXXOの許可が・・・
その後、2018年1月末、ヘネシー(というかLMVHグループ)が裁判所やら何やらに訴え続けた結果、2018年末から正式に「XXO」というコニャックのカテゴリが採用される事となりました。
XXOカテゴリの基準とは
XXOの基準としては
ブレンドされている原酒の最低熟成年数が14年を超えている
コニャックにXXOの名称を使用することができます。
実態として市場に出回っている「XO」クラスのコニャックは最低熟成年数15年以上であることがほとんどです。
実際にはほとんどのXOコニャックが「XXO」を名乗れるようになる事になります。
ただ、フランスコニャック協会の意図としては
「XOよりもプレミアムだと思うコニャックにはXXOって名乗ってもいいよ~」
という感じで、実際にXXOと名乗るかどうかは各メーカーや生産者の判断に委ねられます。この名称自体に強制力はありません。
公に「XXOと名乗ってもOK」という事になった、ことです。
マジかという印象
この新カテゴリが登場した当初は
「マジか・・・」
「ヘネシー強すぎぃ」
と思っていたのですが、時が経つのは恐ろしいものでそろそろこのXXO表記にも違和感が無くなってきました。
それもそのはずでこの4年間で少しづつではありますがXXOカテゴリのコニャックのリリースは少しずつ増えて参りました。
8つのXXOコニャックを紹介
とりあえず現時点で確認できる8つのXXOコニャックを紹介します。なお、価格に関する情報・考察は2022年8月時点のものです。価格は為替や市場によって変化するのでご了承ください。
Hennessy XXO Hors d'Age
1000ml。アルコール度数40%。
XXOカテゴリが採択されて一番最初にでたXXOコニャックがこのヘネシーXXOです。
最初に出たXXOではありますが、未だに日本では購入できず・・・。
販売価格帯は700~780ユーロくらいです。(約97,000円~108,000円)
Martel XXO:マーテルXXO
700ml。アルコール度数40%。
我が家にも1本置いてる、今のところ日本でも簡単に入手できるXXOコニャック。スムースで水のように飲めてしまうコニャック。
日本で唯一Amazonでも購入できるXXOコニャックで、価格帯は33,000円~38,000円くらい。この価格帯は海外の販売事情を考慮するとかなり安いと思う。ヨーロッパでは500ユーロ(約)
参考記事
→マーテル シャンテルー XXOのレビュー:XXOクラスの実力は・・・
ABK6 XXO グランド・シャンパーニュ
700ml。アルコール度数42%。
日本にも正規輸入されているABK6が手掛けるXXOコニャック。
これは2022年7月にリリースされた最新のABK6コニャック。これまでABK6コニャックはファンボアを中心としたブレンドコニャックでしたが、このXXOはABK6初となるグランド・シャンパーニュ100%のコニャックです。
ちなみにこれ意外にもグランド・シャンパーニュ100%コニャックとしてABK6からVASOPとXOも同時リリースされています。
ABK6は日本にも正規輸入されているため、今後このグランド・シャンパーニュ100%のXXOコニャックが入ってくることも十分考えられますので楽しみに待っておきましょう。
正式な価格帯はまだ不明ですが、恐らく日本円換算で35,000円~43,000円くらいになると思います。(実は輸入原価を知っている)
Monnet XXO
700ml。アルコール度数40%。
Monnet CognacがリリースしているXXOコニャック。
こちらも様々な生産域が混じったブレンドコニャックですが、日本には未入荷。価格帯は400~440ユーロ代(55,000円~61,000円)とやや高価ではありますが、一度は味わってみたい一品。
Pierre Vallet XXO
700ml。アルコール度数40%。
Pierre Valletは日本でもいくつか輸入されていたMontifaudが運営する別ブランド。
生産域としてはグランド・シャンパーニュとプティットシャンパーニュのブレンドになります。
価格帯はショップによって異なりますが、140ユーロ~190ユーロの間くらい。(19,000円~26,000円)
De Charville Freres XXO
700ml。アルコール度数45%。
こちらはグランド・シャンパーニュ100%のXXOコニャック。中身の熟成年数がある程度明記されているXXOコニャックで、熟成年数は30年~40年のブレンドとのこと。
価格帯は300ユーロ~330ユーロくらい(41,000円~46,000円)
ラニョーサブランXXO
700ml。アルコール度数40%。
出た、われらがラニョーサボランのXXOコニャック。こちらも日本への正規輸入への期待が高まる一本。
中身の熟成年数としては約30年とのこと。
価格帯としては110ユーロ~120ユーロ(15,000円~16,000円)という30年熟成超えのXXOコニャックとしては驚くべき手に取りやすい価格帯。
原料としても貴重なフォルブランシュが含まれるコニャックであることから、特に日本のコニャックファンにとっては需要のあるXXOコニャックという風に思われる。
Davidoff XXO Supreme
700ml。アルコール度数40%。
2022年9月時点で最も新しいXXOコニャックがこのダビドフのXXO。
こちらもどの程度の熟成年数のコニャックがブレンドされているかの詳細は不明ですが、生産域としてはグランド・シャンパーニュ、プティットシャンパーニュ、ファンボア、ボルドリ、ボンボア、ボアゾルディネールという5つの生産域全てがブレンドされたXXOコニャックです。
価格帯は450ユーロ~500ユーロ(約62,000円~70,000円)という700mlボトルのXXOコニャックとしてはやや強気の価格帯。
Conte et Filles XXO – Petite Champagne
700ml。アルコール度数40%。
若くフルーティーなコニャックを中心に展開する2011年スタートのコニャックブランドConte et Fillesが出しているXXOコニャック。
恐らくXXOコニャックとしては一番熟成年数が若く(2022年8月時点)、最も爽快感のあるコニャックなのではないでしょうか。
価格帯は約135ユーロ(約19,000円)。
今後のXXOコニャックの動向
こんな事言うと怒られるかもしれませんが(笑)最初はほとんどヘネシーの我がままで登場したXXOですが、オフィシャルになってから約4年、ようやく少しずつ市民権を得てきたような気がします。
登場した最初のころは「どうせ大手しか出さない」とか「ヘネシーの宣伝のため」だとか散々言われたXXOカテゴリですが、4年目にしてようやく少なくとも8商品のXXOコニャックが誕生しました。これを多いと捉えるか少ないと捉えるかですが・・・。
価格帯としてはこれまで少なくとも4万円前後というコニャックとしては高価な価格帯に属するXXOですが、ラニョーサボランXXOが約120ユーロという低価格で世に出たことで少し風向きが変わったかなという印象です。
とは言ってもまだまだ小規模生産者のXXO商品化率は低く、一般消費者には馴染の薄いXXOカテゴリ。XXOの存在意義とクオリティについてはまだまだ飲み手の判断に委ねられそうです。