長い事コニャックはじめブランデーを飲んできましたが、テイスティングの表現は相変わらずサッパリ・・・という方。(私も!!)
ワインやウイスキーにもテイスティング表現に役立つ(?)アロマホイールがあるように、コニャックにもアロマホイールは存在します。
それがコチラ↓
コニャックのアロマホイールは2009年にフランスコニャック協会(BNIC)が正式に出しているものがあり、こちらからダウンロードすることができます。
以前はもう少し派手めなアロマホイールでしたが、2020年現在はこのような少し落ち着いたシートになっています。(中身は2009年から同じ)
どのようにしてコニャック アロマホイールが作られたか?
事の初めは2009年に遡ります。意外と最近です。
50名のソムリエ、コニャックのセラーマスター、その他専門家がInternational Cognac Summitに集まり作ったのがこのコニャックアロマホイールです。
それまでフランスコニャック協会が正式に出しているアロマホイールはなかったのですが、ここでようやくコニャックのアロマの指針となる図が作られることなにりました。
4つのカテゴリと62のアロマ
このコニャックアロマホイールは4つのカテゴリと62のアロマに分けられています。
フローラル、フルーティー、スパイシー、ウッデッドの4つのカテゴリはそれぞれ春・夏・秋・冬の季節のイメージに割り当てられています。
実はこの4つのカテゴリですが、少し前までは季節だけの割り当てしか表現されていませんでした。でもアロマで季節割り当てってちょっとイメージしづらいですよね・・・。
恐らくそんな意見が多かったのか、最近ではちゃんとフローラル、フルーティ、スパイシー、ウッデッドの4つに分けられるようになりました(笑)
ちなみに2009年当初のコニャックのアロマホイールはコチラから
日本人が想像するアロマとは少し異なる?
これはウイスキーやワインのアロマホイールにも言えることなのですが、このアロマホイールは基本的に欧州での香りを基調としたホイールです。
62のアロマのうち、中には「なにこれ?」といった我々日本人には馴染みのないアロマや、日本にあるものとは若干アロマのニュアンスが違うもの存在するかもしれません。
代表的な所でいうとViolet(スミレ)などでしょうか。一般的に日本に咲いているスミレと西洋で咲くスミレは香りも結構違います。よく「ボルドリのコニャックはスミレの香り」と言われることが多いのですが、実はその元となるスミレは我々が日本で目にするスミレとは少し違っていたりします。
コニャックのアロマを日本語で書き出してみる
このアロマホイールに係れているアロマを分かりやすく日本語で分類してみました。そのまんまな日本語がほとんどですが・・・。それぞれ4つのカテゴリに分けています。ホイールではないので境界線が微妙なところや、若干分類が???もありますが、「コニャックの代表的なアロマはこんな感じかぁ」くらいに何となくで把握してみて下さい。
春(フローラル)なアロマ
バター(BUTTER) |
スイカズラ(HONEYSUCKLE) |
オレンジの花(ORANGE BLOSSOM) |
スミレ(VIOLET) |
アカシア(ACACIA) |
サンザシ(MAY BLOSSOM) |
アイリス(IRIS) |
ジャスミン(JASMIN) |
ライラック(LILAC) |
アーモンド(ALMOND) |
ブドウの花(FLEUR DE VIGNE) |
メンソール(MENTHOL) |
バラ(ROSE) |
夏(フルーティー)なアロマ
カーネーション(ŒILLIET SAUVAGE) |
オレンジ(ORANGE) |
ライムフラワーティー(LIME FLOWER TEA) |
あんず(APRICOT) |
バナナ(BANANA) |
レモン(LEMON) |
新鮮なイチジク(FRESH FIG) |
桃(PEACH) |
スモモ(PLUM) |
干し草・わら(HAY) |
パッションフルーツ(PASSION FRUIT) |
マンゴー(MANGO) |
ローズペタル:乾燥させたバラの花(ROSE PETALS) |
洋ナシ(PEAR) |
秋(スパイシー)なアロマ
※個人的には干しあんず、干しイチジク、リンゴ、マスカットあたりは「フルーティー」系に分類してもよいと思います。
干しあんず(DRIED APRICOT) |
キャラメル(CARAMEL) |
マッシュルーム(MUSHROOM) |
チョコレート/カカオ(CHOCOLATE/CACAO) |
干しイチジク(DRIED FIG) |
リンゴ(APPLE) |
マスカット(MUSCAT GRAPE) |
サフラン(SAFFRON) |
シナモン(CINNAMON) |
クローブ・ ちょうじ (CLOVE) |
ショウガ(GINGER) |
ココナッツ(COCONUT) |
ナツメグ(NUTMEG) |
リコリス(LIQUORICE) |
トフィー(TOFFEE) ※バターと共に糖蜜または砂糖を加熱して作る菓子 |
シガーボックス(CIGAR BOX) |
腐植土/ツノマタゴケ(HUMUS/OAK MOSS) |
低木(UNDERWOOD) |
煙草(TOBACCO) |
トリュフ(TRUFFLE) |
冬(ウッデッド)のアロマ
コーヒー(COFFEE) |
革(LEATHER) |
燻製香(SMOKED) |
トースト(TOASTED BREAD) |
胡椒(PEPPER) |
ヴァニラ(VANILLA) |
砂糖漬けフルーツ(CANDIED FRUIT) |
ライチ(LYCHEE) |
ヘーゼルナッツ(HAZELNUT) |
くるみ(WALNUT) |
プルーン(PRUNE) |
シダーウッド(CEDARWOOD) ※ヒマラヤスギ属(マツ科)の針葉樹全般 |
樫の木・オーク(OAKWOOD) |
ビャクダン(SANDALWOOD) |
オレンジ ゼスト(ORANGE ZEST) ※オレンジの外皮を削いで細かくしたもの |
アロマスターのコニャックアロマキットがある
上記のアロマホイールを覚えたところで、実際にそれがどういった香りなのか分からなければなかなか実用性がありません。
実はアロマスターが出しているコニャックのアロマキットが存在します。お酒はじめ様々な飲み物の香りかぎ分けるために開発されたアロマオイルのセットです。
各オイルはフルーツ、花、スパイスなどのアロマは天然抽出されたオイルを使用し、革や石などは調合され香りを再現したオイルを使用しているようです。
アロマスターのアロマキットはワインやウイスキー界隈では有名なのでご存じの方も多いかもしれません。特にソムリエ試験などでも愛用者が多いこのマスターワインアロマキットや、ウイスキーファンの間でも有名なマスターウイスキーアロマキットなどです。
ワインやウイスキーでは最大88種類のアロマを分類したキットですが、コニャックは12種類バージョンと24種類バージョンの2つのみです。
コニャック12種類アロマキットの内容は下記の通り
コニャック24種類アロマキットには次のアロマが入っています。
- 桃
- マンゴー
- イチジク
- オレンジの花
- タバコ, トースト
- バニラ
- キャラメル
- コーヒー
- 黒こしょう
- シナモン
- 甘草
- ナツメグ
- ココナッツ
- ヘーゼルナッツ
- アーモンド
- オーク
- ヒマラヤ杉
- オレンジの皮
- ドライアプリコット
- ドライプルーン
- チョコレート
- 革
- 木のコケ
正直12種類だけだと物足りないので、入手するなら24種類一択かなぁ。
どこまで実用性があるか分かりませんがコニャックの複雑に入り混じるアロマと単一のアロマを紐づけて確信を得たい人にはちょうどよいキットかもしれません。
あとはテイスティングの表現の幅を広げたい人とか。
コニャックの場合24種類バージョンを買うのがベストかもしれませんが、どうせならコニャックのアロマホイールに沿った63種類のアロマを出してくれたら統一性があっていいのになぁ(笑)
ひとつの指標としてアロマホイールを
もちろん、私個人的にはテイスティングの表現は自由だし、このアロマホイールやアロマキットに捕らわれる必要はないと思うのですが、人に分かりやすい表現をしたり、自分の中でアロマの基準をこのアロマホイールと紐づけながら持っておくとテイスティングの際に役立つことは間違いないと思います。
「この香りはなんだっけ・・・」
「これを表現するとしたら・・・」
と迷ったときは是非このアロマホイールを参考に自分なりの表現を考えてみてはいかがでしょうか?^^