コニャックレビュー

信濃屋コニャック グロペラン ボルドリ Lot70の感想レビュー

今回のレビューは信濃屋のプライベートボトル「グロペラン ボルドリ No.70 for SHINANOYA」です。

このボトルは10月にBar Dorasさんでサンプルを飲ませて頂いて、かなり良いと思ったコニャックだったで2本買ってしまいました。

うち1本はすぐに開けたので早速レビューです。

グロペランのコニャック達

Jean Grosperrin(ジャン・グロペラン)のブランドはコニャック地方のサントという町で本社を構える「ラ・ガバール社」によって運営されている1992年創業のネゴシアンです。自社でブドウの栽培、発酵、蒸留は行わず、多くの生産者から優良な原酒を見つけ出し買い付けます。グロペランの場合は買い付けたものをそのままボトリングするのではなく、それらを自社の熟成庫で熟成しボトリングすることでグロペランのコニャックは完成します。その完成度たるやたるや数あるネゴシアンのなかでもトップクラスと言って過言ではないでしょう。

グロペランの特徴としては下記のようなものが挙げられます。

  • 基本的に全てシングルカスク、基本的にシングルビンテージ。
  • 全てのボトル、樽の原酒や熟成年数が追跡可能。
  • 問合せすればそのボトルに関して詳細を記した書類を提示可能。
  • キャラメル、加糖、オークチップなどの添加物は一切なし。
    ※商品によって加水は行うものと行わないものがあります(後述)
  • ノンチルフィルタード。
  • 全てのボトルに固有のナンバリングが施されている。

このように他のコニャック生産者やネゴシアンと比較して、ボトル一つ一つまで細かく詳細が記され、追跡可能な点も特徴的です。

その他、グロペランの特徴や、どのように原酒を買い付けているかなどの細かい事に関しては下記の記事にまとめていますので、もしよければお読みください。

参考記事
コニャック JEAN GROSPERRIN (ジャン・グロペラン)はどのように原酒を買い付けるのか?特徴とラインナップ

グロペラン ボルドリ No.70 for SHINANOYAの基本情報

コニャック グロペラン ボルドリ No.70 for SHINANOYA

アルコール度数:49.5%
生産域:ボルドリ100%
蒸留:1970年
熟成年数:約52年(2022年6月21日ボトリング)
その他:加水なし・カラメルなし・加糖なし・ノンチルフィルタード
容量:700ml
購入時期:2025年10月
購入価格:43,780円

信濃屋の商品紹介ページではボトリング年や樽での熟成期間が不明だったので、問い合わせた結果、ボトリングは2022年6月21日ということが分かりました。
こちらは信濃屋(田地商店)が数年前にグロペランからいくつかのヴィンテージコニャックを購入し、順次リリースされているシリーズです。実際にボトリングされて、リリースまで約3年程経過しているボトルとなります。

熟成期間に関しては蒸留年から逆算すると約52年なのですが、樽での熟成期間とダムジャン(ガラス瓶)に移されてからの期間が明確に分からないとのことで、今の所(2025年11月現在)正確な情報が不明です。

この辺りは信濃屋経由でグロペランにも問合せ頂いているのですが、まだ回答が無いようで・・引き続き続報を待つとしましょう。

今回もボトルの裏ラベルは信濃屋向けにギレム氏の妹、アクセレさんが手書きでデザインしてくれたものです。いつもに増してアンニュイな絵だ・・・。誰ぞこれ。

では早速注いで参ります。

グロペラン ボルドリ No.70の香り立ち

グラスに注いだ瞬間から、バニラやシナモン、クローヴといった甘やかでスパイシーな香りが立ち上がります。

少し時間を置くと、湿った土を思わせるアーシーなニュアンスに加え、タバコの葉や上質なシガーの香気がゆっくりと現れ、深みを増していきます。15分ほど経つとそのシガー香が一段と強まり、熟成樽由来のウッディネスと絡み合います。

液面が減るにつれて、グラスに残る香りから再びバニラやキャラメルのような甘さが顔を出し、オレンジやユリの花のような柔らかな香りも重なっていきます。

グロペラン ボルドリ No.70の味わい

口に含むと、まず感じるのは土っぽさとクローヴやリコリスのスパイシーなアタック。それを支える適度なアルコール度数が、構成を引き締めながらもまろやかな口当たりを保っています。

中盤にはパッションフルーツのようなトロピカルな酸味が現れ、意外なほど生き生きとした果実味を演出。熟成感と瑞々しさが見事に同居します。

グロペラン ボルドリ No.70の余韻

余韻は非常に長く、パッションフルーツや白桃、オレンジのフルーティな残香が混ざり合い、ボルドリには珍しい南国系のランシオを感じさせます

その中に枯れ葉やレザー、ダークチョコレートのビターな要素が静かに続き、そして紅茶のような上品な最後が鼻を包みます。

ボルドリの落ち着きというよりも、むしろグランド・シャンパーニュ的な華やかさとボルドリのエレガンスがあり、単なるボルドリの個性を超えた複雑さを備えています。

土や枯れ葉のトーンがかすかにボルドリを想起させるが、全体としてはより力強く、表情豊かな構成。もし私の中でのボルドリコニャックの最高峰のひとつデュカイ トレヴィユー・ボルドリが枯れ葉系ランシオを伴う「静謐な熟成美」とすれば、本作はかなり「生き生きとした主張を放つボルドリ」と言えるでしょう。

グロペラン ボルドリ No.70まとめ

美味しく、かなりレベルの高い1本であることはまず間違いない。余韻も申し分ない。

1点迷うとしたら、「良いボルドリコニャックとは何ぞ」という定義でしょうか。

私の中でボルドリと言えば、やはりそのフローラルさや落ち着いた気品のあるランシオに焦点を置きたいところです。これは完全に私個人の好みなので、その評価をどこに置くかは人それぞれであるということは逃げの文句として先に述べておきましょう。

私の中でボルドリの指標となっているのは次の2本
ボルドリのフローラルさの代表→コニャック ボーエン エリザベス
ボルドリのランシオの代表→デュカイ トレヴィエイユ ボルドリ

参考記事
コニャックBOWEN(ボーエン)エリザベスのレビュー・感想

デュカイ トレヴィエイユ ボルドリのテイスティンレビューを書いたのは2017年という昔過ぎて、読み返すと自分で「何言ってんだコイツ」状態となり恥ずかしくて死にそうなのでリンクは貼りません笑。まだボトル残ってるのでもっかいちゃんとレビューしよう。

これらと比較した際に、このグロペラン ボルドリ Lot70は、明らかに元気のよすぎるボルドリなのである。もちろんアルコールのアタックといった若々しさからくる元気よさではなく、スパイスやオレンジ、パッションといった、どちらかというとグランドシャンパーニュ コニャックに求めるような元気ハツラツな南国系ランシオとスパイシーさが際立っているボトルだと感じます。

どこのエリアのブドウなのか?

このグロペラン ボルドリLot70の原酒はボルドリ地区のビュリー(Burie)という地区で育ったブドウが使われているそうです。
場所はコチラ→Google Map

コニャックのボルドリ地区にはPlateau(プラトー)と呼ばれる平地と、Pays Bas(ペイ・バ)と呼ばれる窪地の2タイプの地域が存在します。今回のビュリーという地区はどちらかというとプラトーに属し、その中でも小高い丘陵にあるそうです。このプラトーというエリアはボルドリに特徴的な粘土質の土壌がやや少なく、代わりに石灰岩が多く、ケイ素も含まれています。この粘土とケイ素の混合土壌が、ブドウ栽培に特に適応した環境なのだそうです。

その中でも石灰岩が多いというややグランドシャンパーニュやプティットシャンパーニュに寄った土壌からグランドシャンパーニュ コニャックに特徴的な柑橘系の果実感が表に出てきたのではないかと。

そんなこんなを妄想しつつ、どうしても落ち着いたボルドリを求めてしむ私の考えは「ボルドリらしさ」に囚われすぎているのかもしれませんね(笑

このコニャック グロペラン ボルドリ No.70 for SHINANOYAが素晴らしいボトルであることは間違いありません。それと同時にボルドリコニャックとは?を改めて自分自身に問いただすよい機会となりました。

是非どこかのBarや実際にお手にとって飲んでみて下さい。

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