ブランデーグラス

リーデル社グラス比較・検証シリーズ【第1回】(全3回)

2016年1月22日

リーデル社のグラスとブランデーを使って様々な違いを検証するシリーズ第1回目です。実は2016年1月某日、当サイト用にリーデル社よりコニャック検証用として7種類のグラスを提供頂きました。

↓提供頂いたグラス達↓

間接的にでもリーデル社と当サイトがコラボできる機会を頂き、大変ありがたい事です。初心者から上級者の方にとって有益な記事にして参ります。全3回予定です。

今回の第1回目は基礎編としてリーデルグラスのラインナップ「ヴィノム」シリーズと「ソムリエ」シリーズの違いについてです。コニャックだけでなく、ブルゴーニュやシャルドネ、シャンパーニュといったワイン分野でも有名な同シリーズですが、果たして何がどう違うのでしょうか?またブランデー初心者はどのようにリーデルのグラスを選べばよいのでしょうか。その違いと選び方に迫ります。

ソムリエはハンドメイド?ヴィノムはマシンメイド?

まずはコチラの記事にも書いたように、リーデルのヴィノムシリーズとソムリエシリーズでは基本的に製造方法が異なります。リーデルのグラスにおいて、品質的にも価格的にも最も大きな差となるのが、「ハンドメイドかマシンメイドか」の違いです。

最も高級なソムリエシリーズはハンドメイド。オーストラリアのクフシュタイン工場で職人達の手によって1本1本ハンドメイドされています。機械では作り出せない職人の手と目による精巧さと精密さが最高の1杯を楽しませてくれます。ソムリエシリーズのグラスは筆記体でRIEDELのロゴが入っています。

ヴィノムシリーズ含むその他のシリーズはマシンメイドです。ドイツの工場で機械によって作られています。価格を抑えて手に入りやすく、最も普及しているシリーズです。マシンメイドのグラスはブロック体でRIEDELのロゴが入っています。

オーストリアのクフシュタイン工場で作られるハンドメイドのリーデルソムリエシリーズの様子はコチラ↓

ヴィノムとソムリエの外装の違い

ヴィノムシリーズは長方形の厚紙箱。ソムリエシリーズは円柱型の少々固めの箱(筒は硬い厚紙で上部のフタはアルミ)という違いがあります。またロゴも少々異なっており、グラスのマークもソムリエシリーズのほうが描写が細かい気がします。

プレゼント等で人に渡す際はやはりソムリエシリーズのほうが高級感があるかもしれません。

参考:→ブランデーにおすすめリーデルのグラス特集
参考:→なぜリーデルはクリスタルガラスなのか?

飲み口の薄さと仕上がり具合の違い

やはり仕上がり具合も異なります。高級手作りである「ソムリエ」シリーズの方がガラスが薄く、美しい仕上がりです。

↑の写真はウチで撮ったソムリエシリーズ「コニャックVSOP」(左)とヴィノムシリーズ「コニャック」です。写真では分かりずらいかもしれませんが、ソムリエシリーズの方が飲み口がかなり薄いのが分かります。たぶん0.1mmの世界で薄さが異なります。

これは体験して頂くと分かるのですが、0.1mmでも飲み口の薄さが異なると口触りがかなり違います。飲み口の薄いソムリエシリーズの方が「スッ」と口が吸いこまれ、「スッ」っと離れていくのです。
こちらの記事にもリーデルのグラスエデュケイターの庄司氏の記事があるので参考にして頂ければと思います。庄司氏の言葉を引用させて頂くと

「<ソムリエ> でワインを飲んだとき、飲み手と畑の距離が一気に縮まり、土地の個性(テロワール) や ワインの質感(テクスチャー)がより明瞭に感じられる」(引用元)

まさにそのような感覚に出会うことができます。

ソムリエシリーズの音

(割らないように)ソムリエシリーズとヴィノムシリーズを交互に指先で突いて音を出してみたり、グラスをくっつけ「チン」と鳴らすと圧倒的に音が違います。音の反響はソムリエシリーズが圧倒的です。

ただ、乾杯の時にグラスを合わせて音を出す事はマナー的にもグラス的にも避けたほうがよいでしょう。音自体はかなり気持ちのいい音が出ますが・・・。一人の時に実験して下さい。

ヴィノムの重厚感

ヴィノムはソムリエシリーズより基本的にグラスが厚いので、必然的にヴィノムの方が重厚感は上です。グラスの重さ、厚みが好き!という方はヴィノムのほうがよいという方もいらっしゃるかもしれません。

コニャックにおけるソムリエとヴィノムの違い

コニャック(ブランデー)におけるグラス検証(グラスによる香り、味わい等の違い)はまた別記事にて報告します。

今回は飲み口、仕上がりの違いからコニャックにおいては可能であればソムリエシリーズが望ましいということです。これはコニャック(ブランデー)に限らず、ワインにも言えることかもしれませんが、口からグラスが離れる際の感覚の違いによるものです。ソムリエシリーズの方が飲み口が薄く、口から軽くグラスが離れてくれるため、グラスを口から離した後により違和感なくコニャックそのものの味を集中して堪能することができるからです。

参考→そもそもコニャックとは?

ヴィノムとソムリエの価格差をどう捉えるか?

リーデル社のグラスにおいて、ヴィノムとソムリエはやはりそれなりに違います。先述したリーデルグラスエデュケイターの庄司氏が仰っているように「<ソムリエ> と <ヴィノム> 明らかに違います・・・ただし、ワインにそれ相応のポテンシャル(複雑さや、奥深さや、構造の堅牢さなど)があれば・・・」という事に尽きます。

ヴィノムとソムリエでは正規価格で約4倍以上の価格差があります。今回使用したマシンメイドのヴィノム「コニャック」は2個入りで正規価格7,560円。なので一脚あたり3,780円。 それに対しハンドメイドであるソムリエ「コニャックVSOP」は一脚16,200円です。ソムリエのほうが約4倍の値段です。

あとはこの価格差をどう捉えるかです。個人的にはブランデー・ワイン・ウイスキーといった一つのお酒の大分類に対し1脚はソムリエ。あとは予備としてヴィノムといった配分です。ソムリエシリーズはやはり至高の1杯に。ヴィノムはそれよりも皆で気軽に楽しめるように。

もちろんヴィノムの質自体も充分高いものであるので、家庭で様々な種類を楽しみたい場合や、ブランデー・ワイン初心者の方はヴィノムシリーズのグラスから、もしくはもっとお手軽な「ワイン」シリーズのグラスから初めてみるのがよいかもしれません。

それにしてもやはりグラス飲み比べは楽しいですし新しい発見も多くあります。是非リーデル社におけるソムリエとヴィノムの違いを皆様にも体験して頂きたいものです^^

リーデル社のソムリエシリーズ・ヴィノムシリーズ・その他の全ラインナップと価格はリーデル社のオンラインショップよりご確認頂けます。また、Amazon楽天からも入手可能ですが、リーデル並行輸入品の場合は希に検収基準の甘いグラスが混ざっていることもあるので注意が必要です。

以上、リーデル社グラス検証シリーズ【第1回】でした。次回の第2回は7種類のリーデルグラスを使って、私ではなくお酒のプロにコニャックを検証してもらいます。乞うご期待!

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