最近、どうしても入手しておきたいブランデーがありました。
そう、本坊酒造の「マルスブランデー宝剣16年」。
欲望に負けて買ってしまいました。
焼酎や梅酒、ワイン、ウイスキーなどで有名な本坊酒造が手掛けるジャパニーズブランデーです。今回はマルスブランデー宝剣と国産ブランデーの見どころに迫ってみましょう。
山梨ワイナリーからできたブランデー
この国産ブランデー「マルスブランデー宝剣16年」は本坊酒造が所有する「マルス山梨ワイナリー」で醸造した山梨県産デラウェア葡萄ワインを使っています。
そのワインをマルス信州蒸溜所で蒸留し、信州の冷涼な熟成環境の下で16年間の熟成を行っています。
商品名の「宝剣」は、マルス信州蒸溜所を取り囲む日本アルプス山系、中央アルプスに連なる山の一つ「宝剣岳」から名づけたそうです。
原料となるブドウは日本の食卓にも広く普及しているデラウェアが使われています。なので、ユニブランやフォルブランシュなどを使ったコニャックとは全くの別物。 果たしてデラウェアを使ったジャパニーズブランデーの特徴やいかに?
マルスブランデー宝剣16年の特徴
数量限定
実はこのマルスブランデー宝剣16年は2000年2月蒸留開始後、16年間熟成され、2016年6月に瓶詰めされた7,300本限定生産ブランデーです。
ボトルやパッケージにシリアル番号の記載などはありませんでしたが、限定品。2017年7月時点ではまだ市場に多く出回っていますが、なくなり次第終了(?)です。
ちなみに容量は375mlなので、一般的なブランデーボトル(700ml)よりも容量は少なめです。
アルコール度数58%
このマルスブランデー宝剣16年は加水なしのカスクストレングスにて瓶詰めされています。そのため、16年の熟成期間の中で自然に低下したアルコール度数のままです。 そのアルコール度数は58度。
ブランデーとしてもかなり高めのアルコール度数です。
パッケージ・ボトルデザイン
パッケージデザインとボトルデザインが、これまた最高にカッコいい。(というか私好み)
パッケージはシンプルな黒い紙箱に透明のプラフィルタで構成されており、中のボトルが透けて見えるようになっています。また、パッケージの側面にはエンボス加工で「Mars Brandy Hoken」の文字が筆記体で浮かび上がります。
シンプルさと高級感を兼ね備えたデザインだと思います。プレゼントにも喜ばれそうなデザイン。
ボトルもシンプルなストレートボトルに宝剣のラベルが一つ。
漢字で書かれた「宝剣」の文字が海外のブランデーには無い独特の雰囲気を醸し出しています。
てか名前がかっこいい。ズルい。
マルスブランデー宝剣16年の香り立ち
香り立ちはジャンフィユー、ラニョーサボランといったコニャック勢とは全く違う特徴を持っています。
アルマニャックに近いような・・・。
どちらかというとスミレ系の香りと、生い茂った若々しい草木の香りが立ち上がります。
かなり独特な香り立ちなのですが、16年という比較的若い熟成年数であることと、アルコール度数58度という強さもあり、嗅ぎ方によってはブランデーの香気成分よりもアルコールの刺激が強めに襲ってきます。
チポラリキュールグラスなどのやや細身のグラスで、グラスから5cm程鼻を離した状態が最も香り高く感じられました。
マルスブランデー宝剣16年の味わい
アルコール58度なので、パンチの強さは抜群(笑)
舌を覆う熱さと共に、レーズンのような風味の後に、余韻としてしばらくすると蜂蜜っぽい甘味と、草木の香りが残ります。
この最初の風味は恐らくデラウェアを使った原料に依存している部分が大きいと思います。なかなか興味深いです。
そしてこの若い草木のような風味を「荒々しい」と表現する人もいるかもしれませんが、このマルスブランデー宝剣に関しては、この若々しさとアルコール度数の高さが相まって、非常に個性的でクセになる味わいです。
まさに日本アルプス宝剣岳のように私には突き刺さるブランデーです。(いい意味で)
カスクストレングスの魅力
このブランデーは私にとっても「大いにアリ」なブランデーとなりました。
「コニャック」であれば16年という熟成年数は比較的若い分類に入ります。そしてこのくらいの熟成年数は普通加水してアルコール度数を下げるのが一般的なので、16年熟成でカスクストレングスって実は珍しいのです。
参考
→なぜコニャックは加水を行うのか
国産ブランデーは他にもたくさんありますが、そのほとんどはアルコール度数40度に調整されています。
逆に言うと、マルスブランデー宝剣の魅力の根源はこのカスクストレングスにあるのかもしれません。
- 原料が山梨県産デラウェア
- マルス信州蒸溜所で蒸留
- 信州の冷涼な熟成環境
- 16年というやや若い熟成年数
- カスクストレングス
- アルコール度数58度
このうちの一つでも欠けると宝剣は宝剣たり得なくなくなってしまいます。(アタリマエカ)
ジャパニーズブランデーの可能性
確かに、マルスブランデー宝剣16年は「誰が飲んでもまろやかで飲みやすく美味しいブランデー」とはちょっと違う個性的なブランデーです。コニャック好きの方々から見ると、ややキワモノ感があるかもしれません。
しかし、そこにジャパニーズブランデーの可能性を垣間見ることができました。
マルスは元々マルスウイスキーで有名で、1949年にマルスウイスキーの歴史が始まりました。このマルスブランデー宝剣が蒸留されたマルス信州蒸留所ではウイスキーのノウハウが蓄積されており、その技術はこのマルスブランデーにも活かされています。
変にコニャックやアルマニャックに対抗することなく、原料も製法も味わいも特徴も日本オンリーで、フランスや海外に負けない特徴を持ったジャパニーズブランデーを突き詰めていければと思います。
是非試してほしいおすすめ一品ですね。
ここまでベタ褒めに近い内容で書いてきましたが、一つネックがあるとしたらボトル容量でしょうか・・・。
マルスブランデー宝剣は容量375mlです。いやぁ、クセになる味なので、すぐ空になってしまいますね。
また、375mlで7,000円前後なので、やや割高感がありますが、そこは高級感と7,300本数量限定というレア感があるので逆に良いかもしれません(笑)
マルスブランデー宝剣16年はどこで手に入る?
本坊酒造の通販サイトから直接購入も可能です。
また本坊酒造はAmazonや楽天にも公式通販ショップがあるので、Amazonか楽天の会員の方はそちらの方がお手軽かもしれませんね。
なくならないうちにお早めに~。