前回のコニャック ゴデ ガストロノームに続き、今回は同じくチョーヤ梅酒(株)が輸入しているGODET(ゴデ)の「ゴデ アンタークティカ」のレビュー・感想とおすすめの飲み方です。
通常のコニャックとは一線を画すこのゴデアンタークティカですが、果たしてその真相は・・・。
参考:
→ゴデ ガストロノームのレビューはコチラから
ゴデアンタークティカのステータス
まずはアンタークティカの基本的なスペックは下記の通り。
品名:GODET ANTRCTICA(アンタークティカ)
容量:500ml
アルコール度数:40%
熟成:2年
原料:ユニブラン100%
コニャック・・・ではない?
このゴデアンタークティカ、現在は正式には「コニャック」ではなく、オー・ド・ヴィーとなっています。
熟成年数も製法もぎりぎりコニャックの基準を満たすようで、一昔前まではコニャックと表記していたのですが、ほぼ無色透明であるため、フランスコニャック協会の意向により「コニャック」表記にストップがかかったそうです。
古樽での熟成
アンタークティカは2年という超短い熟成です。熟成には150年程経っているかなりの古樽を使用しています。そのため、タンニンの量が少なく、琥珀色への変化がほとんどないため、ほぼ無色透明のオー・ド・ヴィーとなっています。
アンタークティカが出来た経緯
2008年、ゴデ14代目当主でもあり、冒険家でもあるジャン・ジャック・ゴデ氏が、冒険家として初めて小型帆船で南極大陸に渡る世界記録を樹立しました。この時の南極の美しい景色をオー・ド・ヴィーとして形にしようと思いつき作ったのがこのアンタークティカ。
そのため、パッケージもボトルデザインも南極の美しい氷を連想させるデザインとなっています。 同じく無色透明に近いオー・ド・ヴィーはポールジローや他のブランドでも、コニャックを作る過程でできたオー・ド・ヴィーをボトリングした「お試し」的なラインナップとして存在しますが、これは2年熟成で無色透明をゴールとされたものです。
ゴデアンタークティカの飲み方と感想
ゴデ アンタークティカは様々な飲み方が楽しめるのが特徴的です。
今回、私が試したのは次の3通りの飲み方
- 冷凍庫でキンキンに冷やしたストレート
- ジンジャーエール割り
- トニックウォーター割り
それぞれ見ていきましょう。
冷凍庫でキンキンに冷やしたストレート
通常のコニャックは常温保存で良いですが、ジンやウォッカなどでも、熟成の短いホワイトスピリッツは冷凍庫でキンキンに冷やして飲むに限ります。冷蔵庫ではないです。冷凍庫です。
アルコール度数も40%あるので、家庭用の冷凍庫に入れたくらいでは凍りません。(アルコール度数40%のお酒の凝固点は-31℃くらい)
熟成年数が低い分、オー・ド・ヴィー自体の香気成分は弱く、どうしても香りがキツくなりがちですが、冷凍庫で冷やすことでそのキツさも幾分抑えることができます。 また冷凍庫保管することで液体自体にトロみが出て、面白い口当たりになります。
ジンやウォッカ等のホワイトスピリッツはキンキンにすることで、「キリッ」っとした鋭角な味わいになるのですが、このゴデアンタークティカに限っては鋭角になり過ぎることはありませんでした。むし低温状態のトロみと相まって、常温で飲むよりもまろやかな感じになります。気のせいでしょうか・・・。
ゴデアンタークティカの香り立ち
熟成2年ということで、どうかな・・・と思ったのですが、意外とアルコールの刺激臭はそこまで感じず、ブドウの香りを楽しむことができます。ただ、やはりコニャックとは違います。
どちらかというと・・・日本酒っぽい?
これは私の鼻がおかしいのか?(笑)
ブドウ・・・グラッパ・・・というよりも米麹のような、日本酒に近い甘~い香り立ち。
実に面白い。ほのかにバラっぽいフローラルさも感じることができます。
このアンタークティカに関しては、いつも使っているコニャックグラスよりも、より窄んだグラッパグラスの方が合う印象です。
香り立ちはコニャックよりも弱いため、ボウルの深いコニャックグラスだと香り立ちは弱く、ちょっと鼻との距離が近くなるチューリップ型のグラッパグラスが最適でした。グラッパグラスのイチオシは相変わらずポリ社のベネチアングラスです。
ゴデ アンタークティカの味わい
やはりキンキンに冷凍庫で冷やしたほうがよい。
アルコール度数と、日本酒っぽい甘さの香り立ちが相まって、まるで米焼酎っぽい味わい。笑
冷凍庫で冷やした場合、やはり熟成感はないけど、意外とキツさは感じず、トロみのお陰でまろやか。2年熟成とは思えないよい具合。
ただし、これは冷凍庫でキンキンにした場合限定です。常温で飲むとやはり結構クセがあり、エタノールっぽさは増します。
ゴデアンタークティカは、ストレートで飲む場合絶対冷凍庫キンキン状態がおすすめ!!!
ジンジャーエール割りとトニックウォーター割り
オー・ド・ヴィー定番の割りもの「ジンジャーエール」と「トニックウォーター」です。
オー・ド・ヴィーでもハイボール的な楽しみはもちろん可能。タンニンが少ない分、割った場合は普通のコニャックよりもスッキリ飲むことができます。(本当はウィルキンソンのジンジャーエールがよかったけど、ちょうど無かった・・・)
作り方は普通のウイスキーハイボールと同じ。
氷を入れたグラスに、ゴデ アンタークティカを注ぎ、ジンジャーエールまたはトニックウォーターを注ぎます。そしてマドラーで1回だけ氷を浮かす。
アンタークティカとジンジャーエール(トニックウォーター)の割合は1:3くらい。弱めの方がよければ1:4くらいでも大丈夫です。もちろん、もっと凝った作り方もありますが、自宅で気軽に楽しむのであれば、お手軽にこれだけで十分です。
トニックウォーター割りの方が・・・
さてさて、早速飲んでみます。
・・・・圧倒的にトニックウォーター割りの方が合う!!!
これは意外だった。
ハイボール・・・・というか、これは完全にジントニックっぽい。
まぁトニックウォーターで割れば何でも近い感じになってしまいますが。
アンタークティカ自体がやや甘目の風味なので、ジンジャーエール割りだとジンジャーの香りと刺激がアンタークティカの甘味と喧嘩し、雑味が出ます。ウイスキーと違い、アンタークティカの風味を活かせてスッキリ飲めるのはトニックウォーター割りのほうでした。
まぁ、好みの問題でもありますが。
どちらが好きか分からない人に勧める場合は、圧倒的にトニックウォーター割りがおすすめ。
調子に乗るとめっちゃ酔う
トニックウォーター割り、甘目で美味しく、グビグビ行けます。実際かなり酔った。
レビュー用に
ストレート3杯
トニックウォーター割り2杯
ジンジャエール割り2杯
美味しかったのでトニックウォーター割り追加で2杯
妻にも勧めてもう1杯。笑
何か一人で笑いながら飲み比べしてしまった。
ゴデガストロノームのハイボールは?
同じくゴデのコニャックであるガストロノームも試しにトニックウォーターとジンジャーエールで割ってみた。
・・・が、正直おすすめしない。
同じ割合でも、ガストロノームをジンジャーエールまたはトニックウォーターで割った場合、コニャックの風味に支配されがちな部分がある。逆に違和感が生まれてグビグビはいけない。
ポールジローやカミュなどでもおすすめされていたジンジャーエール割りですが、やはりある程度(といっても最大10年くらい)熟成感のあるコニャックの場合はトニックウォーターよりもジンジャーエールの方が相性が良い。
そして何かで割る場合は、逆に熟成は進んでない方が相性が良い場合が多い。40年熟成のコニャックなどがあまりハイボールに使われない理由は、まず「勿体ないから」というのもありますが、それ以上に「あまり相性が良くない」という一面もあります。ランシオ香や樽香といった熟成による芳醇な香りがジンジャーエールやトニックウォーターと喧嘩して雑味に変わる場合が多いから。
ゴデアンタークティカはトニックウォーター割りが最高の組み合わせ。
ガストロノームは逆にジンジャーエール割りの方が合う。(そもそもこれは割らなくてもよい・・・)
ゴデ アンタークティカは流行るのか?
バーやお店に置くには面白いオー・ド・ヴィーだと思います。話題作りには良いですし、実際トニックウォーター割りはかなり美味しい。
色々な楽しみ方ができるので、個人的には大いに「アリ!」なブランデーですし、ゴデ ガストロノームよりも特徴的で尖っていて面白い。ブランデー好きとしてはヒットです。
ただ、一般の家庭で進んで買われるか?というのは正直難しいところもあります。
如何せん2年熟成500mlで5,400円。
(→現在の価格チェックはコチラから)
トニックウォーター割りを自宅で気軽に楽しむのであれば、ビーフィーターやタンカレーなど比較的手に取りやすいジンとどのように差別化するかが課題です。。。
個人的にはボトルデザインも好みで、キンキンストレートや割りものなど、他のコニャックとは全然違った楽しみ方ができるオー・ド・ヴィーなので、ブランデー好きの方であれば一度手に取られてみるのも良いかと思います。
ちなみに、ゴデアンタークティカには50mlのミニチュアボトルも取扱いがあります。ちょっと割高ですが、お試しにこちらをチョイスするのもありかもしれません。