コニャックレビュー

さすがの官能評価:ジャン・リュック・パスケのコニャックL´Esprit de Familleシリーズを味わう

今回改めて見て行くのはグランドシャンパーニュコニャックのプロプリエテールとして有名(?)な、ジャン・リュック・パスケ( Jean Luc Pasquet )のコニャックです。

ジャン・リュック・パスケのコニャック達は3つの主力ラインナップに分かれています。

ジャン・リュック・パスケの生産の様子や各シリーズの詳細は2019年の訪問記事があるのでそちらを是非ご一読下さい。

参考記事
コニャック滞在記⑫:ジャンリュックパスケのオーガニックコニャック達
コニャック滞在記⑬:衝撃!実は○○○○のコニャックの蒸留も請け負っているパスケ家の蒸留とは・・・

①オーガニックコニャックシリーズ

→現在ジャンリュックパスケが最も力を入れているオーガニック製法のコニャック。全て自社畑のオーガニック栽培の葡萄で作ったコニャック達です。

L'organic 04 Grande Champagne Cognac
L'organic 07 Grande Champagne Cognac
L'Organic 10 Grande Champagne Cognac

②Espritシリーズ(トラディショナルタイプ)

→Tradition Familiale(15年)やTrès Vieille Réserve(40年)など主にJeanさんのお父さん、Jean Lucさん時代のコニャック。
現在日本で流通しているジャンリュックパスケのコニャック達です。

③L´Esprit de Familleシリーズ

→今回見て行くコニャック。

こちらも現在の主力商品の一つ。これはJean Luc Pasquet(ジャン・リュック・パスケ)が蒸留や熟成を行ったものではなく、ネゴシアン的な立ち位置で親しい小規模生産者たちの古酒から超厳選した樽をボトリングしたもの。ボトラーズ的な存在。

このEsprit de Familleは、自分ではブランドを持たず大手コニャックメーカーに原酒を提供していたが、提供しないままコニャックの生産を止めて残った樽だけ長期保管されているコニャックや、世代交代してコニャック作りを止めてしまった生産者、ずっと熟成庫に眠ってるけどボトリングの予定がない樽など、発掘しなければ日の目を見なかった宝石のようなコニャックを改めてボトリングすることによって、そのコニャックが造られた当時のその生産者の背景や想いを伝えることにあります。

残念ながら現在日本に流通しているのは②のEspritシリーズの一部のみですが、①と③もCognac Expertなどの海外通販サイトで購入することができます。

L´Esprit de Familleシリーズの凄さ

このEsprit de Familleシリーズは私が2019年に初めてジャンリュックパスケに訪問した際に飲ませて頂き、衝撃を受けたコニャックの一つ。

このシリーズは先述したように彼らが作ったコニャックではなく、現当主のJean氏と奥さんのAmeyさんが自らの官能評価に基づいて親しい小規模生産者たちの古酒から超厳選した樽をボトリングしたもの。

左がJeanさん。右が先代でお父さんのJean Lucさん。親子代々コニャック一家。

私が行った2019年にはBernadette、Jean、Chiristian、Andreと名のついた4種類のラインナップがあり、全て飲ませて頂きました。それぞれの名前はこの樽を持っていた各生産者の名前です。

"L´Esprit de Famille" Bernadette
"L´Esprit de Famille" Jean
"L'Esprit de Famille" Christian
"L'Esprit de Famille" André

それぞれのスペック詳細はコチラの記事をご参照下さい。

現在(2021年1月時点)はそれに「Elisabeth」といったボトルや、加え70年オーバーの超長期熟成樽から作った「Paul」というボトルが新たなラインナップとして加わっています。「Paul」はPaul Lamureという生産者にて1949年に蒸留され、その後2020年ボトリングされた約70年熟成コニャックです。限定180本の超レアもの。Esprit de Familleシリーズの中で最も超熟で高価です。これはまだ飲んだことありません。はよ飲みたい・・・。

これらEsprit de Familleですが、何が凄いかって・・・・

マジで全部うますぎる

・・・ん、いかんいかん

あまりにもウマすぎて小学2年生並みの表現しかできない私の語彙力の低さが露呈してしまいました。

本当にどれを飲んでも外れがありません。70年熟成超えの「Paul」は飲んでないけど恐らくマジでうまい(語彙力・・・)コニャックであることは間違いないでしょう。

Jean氏の鋭い眼

このEsprit de Familleシリーズは香り・味わい・余韻のどれをとっても一級品です。

自分の手でコニャック生産の全ての工程を行うプロプリエテールの場合、自社のコニャックの味に慣れてしまい他の生産者の樽を偏見なく選定することが難しい場合もあるようですが、その樽を選ぶことができるJean氏の官能評価はさすがと言わざるを得ません。

どれも永遠のように感じる余韻の中も、それぞれのボトル毎に光る個性があり、贅沢に飲み比べしてみるとより一層その楽しさが増します。

容量は500mlなので少し少ないですが、それでも1本120ユーロ~130ユーロ(15000円~16000円)のレンジですので、ほんとにこの値段で飲めてしまっていいの!?というレベルでコスパ的にも最高レベル。

Bernadetteを改めて味わう

私が当時お気に入りだったのはBernadetteとAndre。2019年に訪問した際にJean Luc Pasquetの直接の知り合いであり、グランドシャンパーニュコニャックのBernadetteを1本購入しました。

その後開封して少し家で楽しんでから1年程経つのですが、まだ3分の1も飲んでいないため、今回改めてこのボトルを楽しんでみようと思います。

"L´Esprit de Famille" Bernadetteの基本スペック

このコニャックはあのポールジロー氏も住んでいるブートビル村にあるBernadetteという生産者の熟成庫に眠っていたグランドシャンパーニュコニャック。

1974年蒸留
2018年ボトリング
アルコール度数44.8%
容量:500ml
限定433本生産

このコニャックを造ったのはBernadette Graimaudという女性で、彼女の父親から畑を引き継いだ1974年に収穫されたブドウを蒸留したもの。それから2018年までずっと樽の中で眠っていたコニャック。約44年熟成くらい。

実はこのBernadetteという生産者によって作られたこのコニャックは、ジャン・リュック・パスケの製法とも少し似ており、発酵時は人工イーストを加えず全て自然イースト菌によって行われています。

また15ヘクタールの畑を持つ小さな生産者ということもあり、このコニャックが蒸留していた時期は全て手掴みで原料となるブドウを収穫していました。コニャックにおいて手掴み収穫が良いか、機械収穫が良いかという論争は常にありますが、このボトルの場合その論点はあまり重要ではありません。

先述したようにこのEsprit de Familleは、これまで日の目を見なかった宝石のようなコニャックを改めてボトリングすることによって、そのコニャックが造られた当時のその生産者の背景や想いを伝えることにあります。そういった意味で、当時小さな畑で大きな収穫機を導入せず(あるいは実際は導入する資金的余裕がなかったのかもしれません)手掴み収穫を行っていた情景がイメージできることが重要なのです。

ボトルの生産背景が小冊子として同梱されています

蒸留に使用していたシャラント式単式蒸留器も15ヘクトリットルの中~小型の蒸留器を使用しており、より凝縮されたオードヴィー(コニャックの原酒)ができやすいのも特徴です。

樽に入っていたコニャックの香味はもちろんのこと、この「手掴み収穫」「自然発酵」「小さな蒸留器」「2018年までシングルカスクだった」という4つの事柄もJean氏がこの樽を選定した重要なポイントになったのだと思います。

"L´Esprit de Famille" Bernadetteの香味

開封して1年くらい経つこのボトル。まだ3分の2以上は残っています。

注いだ瞬間に感じる長熟グランドシャンパーニュに特有なオレンジ、ピーチといった柑橘系、そして南国フルーツ感は申し分ないほど感じることができます。

その後に少し感じる白コショウのスパイシーさ。ここは少し他のグランドシャンパーニュコニャックとの違いを感じるところ。

1年前の開封直後よりタンニン感はやや強めになった印象。バターのような濃厚さがあり意外とドッシリとくるコニャック。

余韻はめちゃめちゃ長い。イチジクと程よい樽感が喉の奥から鼻に突き抜け、数分は楽しむことができます。

ぶっちゃけ余韻の長さと力強さでいったらフランソワヴォワイエ エクストラよりも良いかもしれない。

フランソワヴォワイエ エクストラやジャンフィユーCF50はオレンジ系、ランシオ爆発なコニャックですが、それとは少し方向性も異なります。ダニエルブージュとの中間くらい。それくらい力強い。

ただ、日本円に換算して500mlで15000円前後という価格帯を考えると、フランソワヴォワイエ エクストラ(700ml)やジャンフィユーCF50(500ml)と比較して「あれ?このBernadette最強じゃね?」と思わせてくれるめちゃめちゃスゴい超一級品である。

進化するパスケのL´Esprit de Familleシリーズ

さてここまでベタ褒めしておきながら、このL´Esprit de Famille Bernadetteはもうなかなか手に入らないのが残念な所です。

日本に正規輸入されていないのはもちろんなのですが、もともと2019年頃に出た数量限定のボトルなので、今はCognac ExpertCognathèqueなどの海外通販サイトを見ても在庫がありません。

じゃあなんで今更書いたんだ・・・

と思うかもしれませんが、重要なポイントは、L´Esprit de Familleシリーズはジャン・リュック・パスケの主力コニャックの一つとしてこれからも新しいボトルがリリースされるということ。

基本的には全て異なる生産者の異なる樽・シングルカスクの数量限定シリーズなので、同じボトルがずっとあるということはありませんが、ジャン・リュック・パスケの現当主Jean氏と奥さんのAmeyさんの間違いない眼と鼻と舌によって厳選された今回のBernadetteと同レベルのコニャックがこれからもリリースされていくという事なのです。

毎回どんな生産者のどんな樽が選定されるかはこれからの楽しみですが、気になる方は是非ジャン・リュック・パスケの公式サイトCognac Expertをチェックしてみて下さい^^

私はジャン・リュック・パスケと直接利害関係があるわけではないことを強調しておきますが、このシリーズは本当におススメ。

日本にも入れてくれないかなぁとも思うのですが、生産本数が少なすぎるのでやっぱ厳しいのかしら・・・。

この記事を書き終わった後もゆっくりと楽しみたいと思います。

はぁ・・・

マジでうますぎる

(語彙力の低下)

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