最近飲むブランデーはコニャック続きだったので、たまには趣向を変えて国産ブランデーを味わってみましょう!
ということで手に取ったは、大分県にあるワイナリー安心院(あじむ)葡萄酒工房のブランデー「HIMIKO」です。
安心院葡萄酒工房とは?
大分県宇佐市に位置するこの安心院葡萄酒工房は、土地のと特徴として霧深い盆地になっており、その気候を活かしたブドウ作りがされているワイナリー。誰でも無料で見学することができています。
四季折々のブドウ畑の風景を楽しむことができるワイナリーでは、ここで栽培された様々な品種のブドウを使った多くの種類の白ワイン・赤ワイン・ロゼワインが作られています。
商品一覧を見る限り、代表的な取扱い品種としては
白ワイン系
・シャルドネ
・ナイアガラ
・デラウェア
・ソーヴィニョンブラン
・アルバリーニョ
赤ワイン系
・マスカット ベリーA
・キャンベル アーリー
・メルロー
・小公子
などのようです。この品種が後ほど紹介するブランデーにも大きな影響を・・・・
安心院ブラデーHIMIKOの特徴を見てみる
さて、この安心院葡萄酒工房のブランデー「HIMIKO」。公式HPでは次のように紹介されています。
『選りすぐりのぶどうを醸造し、蒸留し、熟成させ、丹念に造り上げたブランデーです。甘い香りとやわらかい味わいをお楽しみください。』
・・・お、おう。
この説明のままでは、どのようなブドウが使われ、どのくらい熟成されているのか全く分からなかったので、直接安心院葡萄酒工房に聞いてみました。
Q:このブランデーに使用、またはブレンドされているブドウの品種は何でしょうか?
A:安心院産マスカット・ベーリーAが約6割程度で主体になっています。その他のブドウ品種は輸入原料含め様々な品種を使用しています。
Q:蒸留器はどのような蒸留器を使用しているのでしょうか?
A:単式蒸留にて行っております。
Q:度数の調整について
A:熟成工程はアルコール度数は約60度弱で貯蔵しています。熟成後ブレンド、加水(割水)を行い商品規格の度数へ調整しております。
Q:熟成年数と使用している樽について教えて下さい
A:樽、ステンレスタンクにて熟成を行っています。樽はオーク樽を使用しています。熟成期間ですが現在のロットは15年以上熟成した原酒を使用しています。
とのことでした!!
ちなみに、マスカットベリーA(ベーリーA)は新潟原産の日本固有種の黒ブドウです。
コニャックにおいてはユニブランなど白ブドウが使われますが、国産ブランデーは総じて黒ブドウが多いんです。もちろん原料が違えば全然味も変わります。
最後の熟成に関しては、樽熟とステンレスタンクの比率が分かりませんでしたが、15年熟成という認識で進めて参ります・・・。
日本にも様々なワイナリ―があり、たいていワインの副産物としてブランデーやグラッパ(的なやつ)が作られることがよくあります。
個人的には・・・本当に・・本当に申し訳ないのですが、「お!これは!!!」と思える国産ブランデーにいまだ出逢った事がありません。(がんばれ日本ブランデー!!)
果たしてこのHimikoの実力やいかに・・・・。
HIIMIKOのレビュー
ではでは、さっそくHimikoを注いで参ります。
栓を開けると同時に漂ってくるあま~い香り。これは・・・
Himikoの香り立ち
圧倒的なチョコレート感。めちゃめちゃ甘いミルクチョコレートを溶かして揮発させたような香り立ち。そしてもう少し鼻を近づけるにつれて漂ってくる黒酢のような甘酸っぱい香り。
う~ん、色々と強烈な香りだ!!
サントリブランデーや本坊酒造のマルスブランデー宝剣とも違った香り。
コニャックと比べても、これまで飲んだどのコニャックにも当てはまらない香り。
Himikoの味わい
・・・渋っ!!!!
相当に渋い。今までに飲んだブランデーの中でも1、2を争うくらい渋い。
口に含んだ瞬間は、少し甘めの渋柿のような味わいが口の中に広がります。
その後ほのかに残るチョコレート感。
15年熟成とのことですが、これは明らかに樽のタンニンによる渋みではなく、マスカット・ベーリーAが6割を占めていることにも起因していると考えられます。
いや、この渋みはこのブランデーの個性でもあるのですが、ちょっとこのブランデーはかなり玄人向け・・・というか初めてブランデーを飲む人にはストレートでは勧めづらい・・・というのが正直な所。
残念ながら私も進んで「もう一杯!」とはならなかった。
本坊酒造のマルスブランデー宝剣も渋みは強いのですが、あれはアルコール度数59%という高いアルコールによって逆にその渋みを消している(ごまかしている)部分がありますが、このHimikoは良くも悪くもアルコール度数40%に調整されているため、残念なことに度数よりもエグみが強調されてしまっているように見受けられます。
【参考記事】
→本坊酒造 マルスブランデー宝剣16年の味わいと感想
よく言えば渋柿のような個性的なブランデー。
悪く言えば渋みとエグみが強くキツいブランデー。
どう捉えるかは飲み手次第ですが、正直私には色んな意味で強烈すぎるブランデーでした。。。
後日談:抜栓2週間後
実はこのHIMIKO、開封直後と開封2週間くらい経った時期とでかなり味わいが異なりました。
開封して2杯程飲んで、しばらく飲まなかったのですが、その後しばらく経つとそれまでのエグみや渋みといった要素が和らいでき、独特渋柿風味からレーズン、プルーンのような甘酸っぱい風味に変わってきたのです。
コニャックやアルマニャック、その他の蒸留酒でも開封直後と開封後数ヵ月経ったボトルとでは、数ヵ月経ったものの方が開封直後のカドが取れてまろやかになるというのはよくある事なのですが、その角の取れるスピードと取れ具合がこのHIMIKOは顕著でした。
2週間後、7杯目あたりから私の舌もかなりこのブランデーに馴染んできたのか?すんなりと受け入れることができるようになりました。何事も「しばらく置いてみる」というのは大事ですね。改めて実感しました。
ただ、独特な風味を持つ個性的なブランデーであることは変わりありません。やはり初ブランデーの人はちとキツいかも。
おすすめ国産ブランデーを探す旅へ・・・
最近は密かに国産ブランデーを探すことにハマっています。国産のブランデーといえばサントリーやニッカなど大手のブランデーから、各地のワイナリーが出すブランデーまで様々です。国産ブランデーは製造方法も原料も多種多様です。中にはコニャックと同様にシャラント式蒸留器で蒸留させ、リムーザンオークで熟成させたブランデーもありますが、やはり土壌や原料、気候、温度、湿度などが違うと全く違う味わいとなります。
そこが面白い所でもあり、難しい所でもあります。
最近だと十勝ブランデーの「島梟」とか、神戸ブランデー「SUPREME(スプリーム)」とかもそうですが、殊国産ブランデーに関しては、個人的に「おっ」と思えるブランデーもありますが、そのようなブランデーに限って数量限定だったり、もう手に入らなかったりと厳しい現状があります。
ジャパニーズウイスキーやジャパニーズワインなど、日本の洋酒が世界に認められている中、やはり様々な国産ブランデーも味わっていきたいので、今後も限定生産でしか手に入らない国産ブランデー、定番品としておすすめできる国産ブランデーをゆっくりと試してできるだけ紹介できたらと思います。