コニャックレビュー

五大シャトー ラフィット ロートシルトのコニャックのレビュー

今回のレビューはあのボルドーワイン メドック格付けの1級に君臨する五大シャトーの一つラフィットロートシルトが手掛けるコニャックです。

実はこちらのコニャック、先日の「長熟コニャック飲み比べ会」にも出させて頂いた1本でしたので、そのイベントが終わるまで細かいレビュー記事は避けていましたが無事イベントも終わりましたので徒然感想を書いていこうと思います。

実は5年程前、銀座doux barでラフィットのコニャックを飲ませて頂いた際の感想も当ブログにあります。その時の感動は今でも忘れません。今回はbarではなく自分でボトルを抱える事でまた5年前とは違った視点での感想となります。

ラフィット コニャックの基本情報

Tres Vieille Reserve de Lafite Rothschild Cognac
トレ・ヴィエイユ・レゼルヴ・ドゥ・ラフィット・ロートシルト

商品名が長いので以下「ラフィットのコニャック」で統一します笑

アルコール度数:40%
生産域:ボルドリ主体
熟成年数:50年~ (1900~1970年の原酒ブレンド)
ボトリング:2018年10月
輸入元:株式会社モトックス
購入価格:税込118,800円(2023年10月購入)

ラフィットのコニャックは数年に一回リリースされるタイミングがあり、リリース年度によって金額も大きく異なります。
私が初めてライフィットのコニャックを飲んだのは2013年ボトリングのもので、その当時は価格的にはおよそ9万円くらいでした。今回は運よく2018年のものを購入することができましたが、最近リリース(2021年とかだったかな?)のものは20万円超える価格帯になっており、もうなかなか手が届かない領域になりつつあります。

このラフィットのコニャックは、ラフィットがブドウから蒸留までやっているという訳ではなく、ラフィットの技術者が良い樽を選定しそれらをブレンドすることで出来ているコニャックです。注目すべきはそのラフィット基準の原酒の選定とブレンド技術ということになります。

生産域としてはボルドリ主体ではあるのですが、一部情報でグランド・シャンパーニュも少し入っているといった声もあります。ちょっと詳細を確認するため問合せてみたのですが、回答がなかったのでやや不明確な部分があります。ただ、購入した信濃屋さんの商品情報や他海外サイトを見る限りと、後述する味わいから判断するとほぼボルドリ100%で間違いないのかなと思っています。

開栓して間もない

今回のレビューはこのボトルを開けて1週間くらい経った時点での感想となります。長熟のコニャックというのは開栓直後と数ヶ月後、数年後では味わいに変化が訪れるものです。

今回手元にボトルが入ったことで、また開栓数ヶ月後、数年後と回を重ねてのレビューが可能となりましたのでそちらも後日お楽しみに。

ラフィットのコニャックの香り立ち

注いだ瞬間に広がるのは意外なほどフローラル。濃いニオイスミレの香り。

ボルドリ地区は他のコニャック生産地域に比べて最も日照時間が長いことで有名です。日照時間が長い事でブドウのベータカロテンが豊富になり、同じく独特の花っぽい香りが生まれるとされています。その象徴です。

グラスに鼻を近づけてもアルコールのツンツン感はほぼ皆無。

グラスから立ち上る香り立ちはカカオ、木苺、そしていちごチョコレート。

まるでチョコばなないちごクレープのような濃厚で甘い香り。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、ぱっと脳内に浮かんだ印象はコレ。

その後奥から徐々にスパイシーな要素が顔を出し始めます。

シナモンとクローブ。火をつけていない葉巻。タバコの葉。レザー。

ほんのりオークだけどウッディ要素は少ない。

長期熟成のグランド シャンパーニュに見られるようなバチバチのオレンジ感やトロピカル感、派手は華やかさではなく、非常に落ち着いた、フローラルから始まりチョコレートと木の印象に変化していく過程が大変面白い。

ラフィットのコニャックの味わい

最初に言っておくとこのコニャックは時間経過による変化がかなり大きい。最初は掴みどころが難しい。いわゆる「閉じている」という状態。

注ぎたてにおいても香り立ちと同じようにアルコール感の攻撃的な刺激は無くとても優しい口当たり。

プルーンやマッシュルーム、カカオといった重厚感のある要素が口と鼻から感じられます。コニャックのアロマホイールでいうと完全に「秋」と「冬」のエリアです。

グラスに注いて30分、1時間と経つにつれ甘みと深さが増していきます。30ml注いで1時間経ったくらいが私的にはピークでしょうか。ブラックベリー要素が出てきます。

やはりここでも桃やマンゴー、ライチといった長熟グランドシャンパーニュの南国トロピカル系ランシオとは異なり、落ち着いた枯れ葉系ランシオが大きな割合を締めています。

そして独特のオイリーさと粘性。これは5年前に飲んだ時と同じ感覚。ボルドリの土壌はグランドシャンパーニュや他の土壌と違い、一番表面に火打石の層があります。「火打石」→「粘土」→「石灰」という層になっており、この土壌はボルドリ地区だけの特色です。表面の地層に含まれるミネラルと、かなり根を伸ばさないと石灰層まで根が届かないこの土壌で育ったブドウのお陰で独特のオイリー感とまろやかさが生まれるとされています。

これこれ。上品なボルドリコニャックはこの落ち着きと深さが凄いのだ。

その後は白コショウのようなスパイス感と、香り立ちでは感じられなかった意外とどっしりとくる樽感。鼻抜けはトーストしたオーク、ほんのりイチゴを感じさせてくれます。

このスパイス感は色の濃さからも分かるように樽由来のものが大きいのかなと思います。長熟コニャックの中でも色合い的にはかなり濃い方です。

まるで濃厚なボルドーワイン・・・そうだ、これはラフィットが作っているコニャックだった、と改めて思い出させてくれるような重厚感のある余韻です。

飲み終えたグラスを嗅ぐとそこには黒糖キャンディーを彷彿とさせる甘い余韻が数時間残ります。飲み終えたあとも要チェック。

ラフィットのコニャックまとめ

やはり5年前に飲んだ時の「優しいコニャック」とい印象は同じで、その方向性は崩れることはありませんでした。

5年前よりも今回改めて感じたのはシナモン、クローブといったスパイス感でしょうか。そしてより落ち着いた優しいコニャックを楽しめるようになったこと。

アルコール度数40%の長熟ボルドリ産コニャックは総じて方向性として優しいコニャックに仕上がります。

似た方向性のコニャックとしては私の手持ちの中で

マーテルシャンテルーXXO
DUQUAI トレヴィエイユ ボルドリ

などが挙げられます。マーテルシャンテルーXXOはボルドリ100%ではなくグランドシャンパーニュやプティットシャンパーニュ、ファンボアとのブレンドですが、もはや飲む香水。最も水のようにスイスイ飲めるコニャック。DUQUAIトレヴィエイユ ボルドリは枯れ葉系ランシオの教科書。そしてラフィットのコニャックはその中間をとりつつ、よりスパイス要素が際立つコニャックだと感じています。

参考記事
マーテル シャンテルー XXOのレビュー:XXOクラスの実力は
ボルドリ産コニャック飲み比べ:その③デュカイトレヴィエイユボルドリの感想・評価

逆に、改めてこの優しいコニャックを楽しめるかどうかは飲み手の経験にも大きく左右されるものだと感じます。

50年を超える長期熟成のコニャックとなれば相対的にグランドシャンパーニュやプティットシャンパーニュなどが多くなり、多くの人はそこにバチバチのトロピカル感や南国フルーツ感の余韻を求め期待します。そのトロピカル南国フルーツだけが長熟コニャックの評価基準になってしまうと、こういったラフィットのコニャックのような優しいコニャックを飲んだ時「あれ・・・?」と拍子抜けになってしまう可能性が大きいのだと思います。その感覚も十分に理解できます。

とはいいつつ私もボルドリコニャックの何たるかを自信満々に語れるほど経験を積んだわけではありません。まだまだこのコニャックのポテンシャルを十分に引き出せるほど対話が出来ていません。

BLEACHでいうとようやく始解を取得した程度でしょうか。卍解に至るには更なる対話が必要です。(何を言っているんだ

兎にも角にも、このラフィットのコニャックはまだ開けて間もないボトル。これからしばらく時を置いて、数ヶ月、数年の時を経てその進化・真価を楽しんでいきたいと思えるボトルです。

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