前回の大手コニャックXOクラス飲み比べ検証【前編】に引き続き、香り・味わいといった本題に触れて参ります大手コニャックXOクラス飲み比べ検証【後編】のスタートです!
前編を読んでない方はまずコチラ
→大手コニャックXOクラス飲み比べ検証【前編】
前編に引き続き、ご協力頂くのは銀座doux barの横井氏です。
比較対象となるXOクラスコニャックは下記の通り。
ヘネシーXO
レミーマルタンXO
マーテルXO
クルボアジェXO
カミュ XOエレガンス
以前行った大手コニャックVSOP編では、やはり熟成年数も若い分、何とも特徴が区別しにくかったのですが、果たして今回のXO、その評価とは・・・
【参考記事】
VSOP編を読んでない方はコチラから
→大手コニャックVSOP飲み比べ検証【前編】:ボトル~色味
→大手コニャックVSOP飲み比べ検証【後編】:香り~味わい
【その他参考】
→【入門編】ブランデーのVSOPやXOの種類の違いって何?
各XOを飲んでみる
横井氏
大手メーカーが一番売りたいレンジでしょうからね。どのくらい個性が出ているのか楽しみですね。
なお、今回の飲み比べで私が使用しているグラスはリーデルのソムリエシリーズ「 コニャックXO」です。
ヘネシーXOの香り立ち・味わい
まずはド定番のヘネシーXOから。
香りからしてハチミツ、砂糖漬けフルーツのような濃厚な香り。
味わいとしては圧倒的なビターチョコレート感。クリームブリュレや黒糖のような甘味すら感じます。
VSOPの時もそうでしたが、その辺りの方向性はブレないヘネシー。ヘネシーVSOPプリビレッジのカドを取って丸くした正統進化系といった所。
甘系コニャック=売れるコニャック=正義というヘネシーの方向性を改めて認識させてくれる味わいです。
レミーマルタンXO
グランドシャンパーニュとプティットシャンパーニュの混合であるフィーヌシャンパーニュを主体としたコニャック。ブレンド原酒は若いもので10年。古いもので30・35年の原酒がブレンドされています。
香り立ちは洋ナシや青リンゴといった果実の香り。そしてほのかにカカオ。
味わいとしては熟したドライフルーツ感と若干のほろ苦さ。シナモン系のスパイス感少し。余韻はやや薄め。
甘味と酸味、フルーティーのバランスをうまく取った感じ。
VSOPの時と同様に、圧倒的な個性は無いが、無難な優等生タイプ。個人的にはややインパクトが薄い・・・。
マーテルXO
ヘネシーに劣らないチョコレートのような香り。その後フルーツ。
味わいも同様にヘネシーに近い甘い系ではありますが、ヘネシーよりもフローラルな香りが際立ちます。マーテル特有のボルドリ産原酒のおかででしょうか。お花要素も加わるため、ヘネシーよりもより複雑。そして鼻抜けには甘味とスミレのようなフローラル感。余韻も長い。
今回のラインナップの中では最も重厚でオイリーかつ余韻も長いと感じました。
レーズン、プルーンを彷彿とさせる、やや酸味の強い香り。ある意味一番印象に残ります。
香りの分類的には以前飲んだマスカット原料の国産ブランデーと似通っている部分があり、その他4メーカーのXOのどれとも方向性が異なる香り立ち。私個人的には苦手な部類かも。
味わいもまた香り同様に、レーズン系のドライフルーツ、干し柿を思わせる甘味とやや酸味の強い味わい。
今回の5つの中ではどのボトルにも共通項が無く、最も個性的だと感じたコニャックです。
カミュXOエレガンス
カミュはVSOPの時もそうでしたが、今回のラインナップの中では圧倒的に軽やか。言葉を変えれば「薄い」ととられられるかもしれませんが、グラスに注いで10分くらいするとカミュXOの真価を感じることができました。
グラスに注いだ直後は洋ナシや牧草、若草系のいわいゆ「若いコニャック」にみられる特徴があったのですが、その後少しずつ良い感じにフローラルに。最終的にはグラスの中が紅茶のような香り立ちに変化します。時間が経つと最も香り立ちがよいかもしれません。
味わいは透明感があってスッキリ軽やか。ヘネシーやマーテルのようにチョコレート系の味わいではなく、レミーマルタンにもっと華やかさとカモミールのようなフローラル感を追加したような印象。
横井氏
さすがにXOクラスになるとVSOPに比べて香りと味わいに各メーカーの特徴が出てきますね。それぞれの個性が際立っています。
大きな特徴を完結にまとめると
・甘味は圧倒的にヘネシーXO
・バランス型優等生のレミーマルタンXO
・オイリーさと舌に乗る重厚感はマーテルXO
・独特の熟したフルーツ感。個性的だが評価のしづらいクルボアジェXO・・・
・透明感があり、軽やかでフローラル。ヘネシー、マーテルとは対極にあるカミュXOエレガンス
という感じですね。
ここまで個性が異なると飲み比べて面白い。メーカーによってどのような方向性に持って行きたいのかが明確に分かります。
VSOPからの正統進化?
この中ではクルボアジェを除いたXOはVSOPの方向性を保ちつつ、よりまろやかで熟成感を高めた正統進化な立ち位置となっていると感じました。
クルボアジェ以外と言ったのは、どうもクルボアジェXOだけVSOPとの方向性が異なり、一気に甘酸っぱさを前面に出してきたので、やや迷走しているというか、どうも何と言ったらいいのか、言葉が見つからない・・・。他の4つと飲み比べてみると明らかに最も独特な味わいです。これを個性と捉えるかは自由ですが、個人的にはちょっと残念な印象です。
横井氏
シチュエーション別に分けるとしたら・・・
葉巻との相性が良さそうなのが甘党なヘネシーXO
夜にゆっくりストレートで余韻を楽しむならマーテルXO
紅茶のように軽やかに楽しみたいのであればカミュXOエレガンス
という感じですね。
VSOPの時とは違って、ちゃんと住み分けできたので良かった(笑)
Brandy Daddyのおすすめは・・・
「みんな違ってみんなイイ」と言えばそれまでなのですが、それでは面白くないので私の個人的なおすすめをまとめます。
マーテルXOとカミュXOエレガンス
価格を無視して評価するのであれば、私はマーテルXOが一番印象に残りました。
やはり飲み手としては、舌に乗る重厚感、オイリーさ、余韻を重視したいというところがあります。その点ではマーテルXOが一番おすすめ。
また、鼻抜けのフローラルさと軽やかさはダントツでカミュXOでしたので、気分を変えたい時や、お風呂上りに一口飲みたいのはカミュXOエレガンスですね。(カミュXOボルドリーはその傾向がもっと強いです。)
この2つは方向性が真逆にあるコニャックなので、対比としても非常に面白いラインナップです。
コスパを考えると・・・
重厚感、余韻といった点でマーテルXOがなかなかの高評価を得る結果となりましたが、ここで考えないといけないのはコストですね。
実は今回のラインナップの中で、このマーテルXOが販売価格的には一番高いんです。Amazon価格で約18,000円くらい(2019年2月時点)。次に高いのがヘネシー。
そうなると、価格が高いので評価が高くて当然という図式も成り立ってしまいます。
「メーカーが最も推したい」という点に充てると、マーテルの場合はマーテルXOよりもマーテルコルドンブルーを全面に推したいでしょうし、価格帯的にも比較対象はコルドンブルーの方が適切だったかもしれません。そうなると、大手メーカーの「XOクラス」であってもマーテルだけやや違う土俵なのかも。
その点考えると、約1万円ほどで入手可能なカミュXOエレガンスは大手XOコニャックの中ではなかなかコスパよいXOコニャックなのでは?と思います。
大手コニャックXOクラス飲み比べ総評
ーカー本気を出してくるレンジなので、やはりそれなりに飲みごたえ、比べごたえがありました。ヘネシーやレミーマルタンはじめ大手のコニャックは様々な農家から取り寄せた多くの原酒がブレンドされて初めて完成します。それらの原酒を使い、それぞれが持って行きたい方向性に仕上げる力。別の言い方をすると「チューニングが上手」とも言えるかもしれません。その辺りの調整力はさすがです。良くも悪くも。
(そういう意味ではカミュXOが一番素材そのものの味っぽいかも)
みなさんにも是非飲み比べて頂きたい所ですが、この5本を全部揃えようとすると金額的にもボリューム的にも中々すごいですね・・・。
各ボトル20mlくらいで、大手メーカーテイスティングセットみたいなセット商品がどこかで出ることを期待しております。。。
とりあえず、マーテルXOとカミュ XOエレガンス
だけでも比べてみると楽しいかも!おすすめです。
以上、大手コニャックXOクラス飲み比べ検証でした!
協力:doux bar
doux bar
〒104-0061
東京都中央区銀座7-3-15オリヂンビル3F