以前、当サイトでも特集したSt.Cousair(サンクゼール)の「いいづなアップルブランデー」の第2弾となる「いいづなアップルブランデー ふじ&ブラムリー2019」が発売されました!
前回の第1弾は「ふじ&高坂りんご」という組み合わせでサンクゼール初のアップルブランデーとして注目を集めました。私もプレスリリースに行ったり、実際に色々な飲み方を試してみたりしてみましたが、結構人気だったようで、あっという間に売り切れに・・・・。
今回は第2段として、高坂りんごではなく、「ふじ&ブラムリー」という組み合わせでリリースされました。早速250mlボトルと30mlボトルをゲットしたので、ちょいと見てみましょう。
【第1弾の参考記事】
→国産「いいづなアップルブランデー」の発表会に行ってきたよ
→国産「いいづなアップルブランデー」届いたのでレビュー
イギリスのリンゴ、ブラムリーとは?
以下、一部サンクゼールの資料より文面拝借。
ブラムリーはイギリス生まれの青リンゴで、生食で食べるには酸味が強すぎるのですが、火を通すと果肉が柔らかくなるため、アップルパイやジャム、お肉のソースなどに調理して食べるのが一般的です。
1990年、サンクゼール本社のある三水村(現飯綱町)の100周年記念事業として、英国王立植物園から海を渡ってブラムリーの穂木が飯綱町に植樹されました。
当時、英国王立園芸協会会長と三水村村長がりんごの木の提供について交わした書簡は、今でもアップルミュージアム(飯綱町)に展示されています。飯綱町に植樹されたブラムリーは根分けされ、30年経った今でも飯綱町の農家さんたちによって大切に育てられています。1つ1つ丁寧に収穫されたブラムリーは、毎年農家さんたちが自ら直接サンクゼールに運んできてくださいます。
原料は変わったものの、「酸味が強い」ことや「生食には向かない」という点は第1弾の高坂りんごと似ていますね。
コニャックもそうですが、果実を使った蒸留酒において、「酸味が強い」というのは一つのポイントです。酸度が高く糖度が低い事で、発酵時にアルコール度数が上がりすぎず、凝縮された状態で蒸留にかけることが可能となります。その分素材そのものの味わいが反映されやすくなるのです。
いいづなアップルブランデーの蒸留
サンクゼールに設置されてるアップルブランデー用の蒸留器はドイツから仕入れた小型の蒸留器が使用されています。
シードルを約100リットル注ぎ、熱を入れ、約3時間かけて蒸溜。一回の蒸留でできる原酒は約10リットル。10分の1まで減ります。「蒸留器が小さい」というのもポイントで、大きな蒸留器と比較するとより無駄なく、綺麗な蒸留液を作りだすことが可能です。1回の蒸留量が少ないので、大量生産するのはメチャクチャ大変ですけどね。
今回は350mlが800本、30mlが1020本の限定販売との事で、少なくとも合計で約230,000ml・・・つまり230リットル生産されています。
前回の話だと、蒸留直後のアルコール度数が80度、その後すぐに加水し60度まで落として、その後さらに40度まで落とすとのことなので、単純に考えると加水比率は50%。すると、生産された原酒の量は約130リットル。(木樽熟成しないので、熟成によるアルコール低下は無しと思われ)
つまり、今回の第2弾リリースで少なくとも130回くらいは蒸留を回しているという事になります。1回の蒸留が3時間かかるらしいので、130回の蒸留に要する時間は390時間。お疲れ様でございます・・・。
ボトルデザイン
いいづなアップルブランデー ふじ&ブラムリー2019のボトルデザインは250mlボトルも30mlボトルも第1弾のボトルデザインとほぼ同じ。
ラベル部分のリンゴマークが全開の高坂りんごをモチーフにした赤リンゴから、ブラムリーをモチーフにした青リンゴのシンボルに変わっています。
このボトルとラベルデザインはシンプルおしゃれで好きよ。
ではテイスティング
色々と前置きが長くなりましたが、さっそく「いいづなアップルブランデー ふじ&ブラムリー2019」テイスティング。今回はシンプルにストレートと、前回評価の高かったオンザロックの2パターンで楽しみたいと思います。
ストレート
第1弾の高坂りんごバージョンは「ふじリンゴ95%+高坂りんご5%」という配分でしたが、その第1弾よりもふじリンゴの味わいを強く感じることができます。というか、高坂りんごよりも圧倒的に渋みが少ないので、よりシードルの状態に近い感じ(それほど高坂りんごの影響が大きかった・・・?)。ほのかな甘みのあと、プラムのような酸味。この最後に感じるものがブラムリー由来の味わいなのかもしれません。
飲みやすさ、フルーティーさは前回よりも圧倒的に上。
オンザロック
やはりあれだ。こういう熟成されていない果実由来のホワイトスピリッツはロックで味わった方がかなり花が開きます。香りも味わいも。
ロックスタイルをコダワリはじめると、氷の密度がどうとか、希釈熱がどうとかいう議論が始まってしまいますが、今回はそこまではこだわっていません。理想を言うと、やはり氷で一度冷やしたグラスを空にして、大き目の氷を入れて、その後にゆっくりとアップルブランデーを注いであげるのがよいでしょう。
ストレートでは感じられなかった丸みを帯びるようになり、より喉を通りやすくなります。
氷が解ける過程で味わいも変化するので、それも楽しみにの一つです。個人的にはトゥワイスアップ(水とブランデー半々)までいくとちょっと薄めすぎて香りが飛んでしまうかなと思いますが、アルコールあまり強くない方はそれでも十分に楽しめるかと。
飲み方としては圧倒的にロックがおすすめ。
ただ、このアップルブランデーは元々いろんなもので割って飲んでみることを推奨されたブランデーでもあります。公式ショップにあるように、炭酸で割ったり、お菓子に使ったり・・・その方が楽しめるかな。(1本あたりの容量が少ないのがネック・・・・)
ポイントは加水にあり?
その他のブランデーにも言えることですが、素材以外にも味わいを決める大きな要素として加水が挙げられます。
先述したように、このいいづなアップルブランデーは80度で蒸留された後、即座に加水され60度までアルコールを落とされ、その後40度まで加水によりアルコールが調整されます。樽熟成されないホワイトスピリッツの場合、この加水工程のスパンが非常に短く、一気に加水される場合もあります。
なお、最初の蒸留直後80度→60度にアルコール度数を落とすのは、消防法上避けられない処置となっており、現状いいづなアップルブランデーではこの過程を省くことができないそう。そこで一気に20度近く希釈するので、どうしても「加水感」が避けられない側面があります。
その後の加水工程も何段階かに分けられるのかと思いますが、その工程が今後ポイントになってくるのかと思います。
ゆっくりちょっとずつ加水した方が、基本的には素材の味わいも損ないにくく、アルコールと水が喧嘩しないのでより良い方向に進むと思うのですが、これは今後の試行錯誤によりアップデートされることを期待しています。
全体的な印象としては
「高坂りんごよりもブラムリーの方がアップルブランデーとして相性いいんじゃない?」という所です。2回目リリースのアップルブランデーということもあり、技術力も向上していることが伺えますが、よりフルーティーで「りんご感」を求めたアップルブランデーとしては確実に今回の第2弾の方が成功していると思う。
まぁ、もとよりりんごの特性が違うので、それぞれの良さはあるかと思いますが、個人的には渋みを活かした前作よりも、リンゴ感とフルーティーさを増した今作の方が好みですし、他の人にもおすすめできるアップルブランデーだと感じました。
しかし、ある程度完成されたコニャックやカルヴァドスと違い、これまで飲んだ国産ブランデーはじめ、どれも個性的なブランデーが多く、色々試してみるのが非常に面白い。数年後、数十年後、それらのブランドがどのような展開を迎えているかが非常に楽しみです。
いいづなアップルブランデー第2弾はどこで手に入る?
第2弾となる今回の「いいづなアップルブランデー ふじ&ブラムリー2019」は前回同様数量限定。250ml入りが800本。30mlが1020本で、全てシリアルナンバー入りです。
Amazon等には売ってなく、こちらのサンクゼールオンラインショップより購入が可能です。
気になる方は在庫がなくなる前に是非チェック!