コニャックレビュー

これはやりすぎ?カミュXO Intensely Aromaticを味わった結果

2020年9月12日

今回注目して見て行くのは、カミュが2019年に新レンジとして発売したコニャック「Intensely Aromatic」シリーズより、カミュXO Intensely Aromaticです。

VS、VSOP、XOをCognac Expertより取り寄せ飲み比べ。(Intensely Aromatic VSレンジは国内では正規販売なしだったので・・・)

その中でもXOがIntensely Aromaticとして最も特徴的だったので、今回はXOを見て参ります。

これまでのカミュXOエレガンスとは別シリーズ扱いなのでご注意

まず最初に明確にしておかないといけないことがあります。

このカミュXO Intensely Aromaticは、これまで国内で流通しているカミュXO エレガンスとは全く異なるコニャックであるということです。

ほぼ同じボトルの形状や同じXOクラスであることから、新ラベルやボトルデザイン変更、マイナーチェンジなどと書かれている場合もありますが、このIntensely Aromaticは蒸留液の取り方から根本的に変更を加えたシリーズで、カミュXO エレガンスとは全く別モノなのでご注意下さい。

ただ、カミュ公式WEBサイトや日本の代理店でもあるアサヒビールのHPからもカミュXOエレガンスの商品紹介欄は消え、このカミュXO Intensely Aromaticが「CAMUS XO」として紹介されているため、今後のスタンダードなカミュXOはこのIntensely Aromaticとなるようです。

左が今回のカミュXO Intensely Aromatic、右がこれまでのカミュXOエレガンス
外箱の違い。左がXO Intensely Aromatic、右がXOエレガンス、

後ほど言及しますが、実際の香りや味わいもカミュXOエレガンスとは全く別物です。

VSとVSOPも同じです。

製法に関して具体的にどのように違うのかは次で説明します。

Intensely Aromaticシリーズとは何か?

このカミュ Intensely Aromatic シリーズは2019年に出た新しいカミュのラインナップ。

VS、VSOP、そしてXOからそれぞれ同シリーズが加わりました。エレガンスシリーズと比較するとボトルの形状はほぼ同じですが、VSとVSOPは青いラベルが特徴、XOは注ぎ口が金色になっているのが特徴です。

今回取り寄せたIntensely Aromatic シリーズ御三家。左からVS、VSOP、XO。

このIntensely Aromaticシリーズは蒸留の時点から普段のカミュとは少し変わった原液の取り方を行っています。

皆さん知っての通り(?)、コニャックはシャラント式単式蒸留器で2段階蒸留が行われます。

その2段階蒸留は主に「Heads」「Heart」「Tail」と3つのステップに分かれてカットされ、通常は最もコニャックとして適切な「Heart」の部分がコニャックの原液(オードヴィー)として採用され、熟成に進みます。

コチラの図をご参照下さい。これはクルボアジェのコニャック蒸留工程を図にしたものなので、HeadsやSecondをどう戻すかや、容量など細かい部分は異なるものの、大きな流れとしては同じです。要するに通常は最終的に⑦のHeartの部分がコニャックとなります。(クリックで拡大)

しかしながら、このIntensely Aromaticは「⑦Heart」の前の、通常は切り捨てられたり、再度蒸留留にまわされる部分である「⑥Heads」の部位をより多く使用し最もアロマが高まった液体を意図的に抽出し、その⑥Headsを熟成に回した特異なコニャックです。

下記の図はカミュ社からもらったIntensely Aromaticに関する資料より。上の図の⑥Headsと⑦Heartにおける(カミュ社基準指標の)アロマの遷移を示した図。(クリックで拡大)

そして更に蒸留用のワインに含まれるオリをそのままフルに含んだ状態で蒸留されています。

あくまでもこの図はイメージですが、フルーツのイラストが入っているHeadsの部分をより多く抽出しています。

さらにその抽出部分から20ほど細かく区分けし、その中でも最もIntensely Aromaticとして目指すべきアロマを感じられる数エリアを最終的に熟成に向けて使用しているそうです。

これを今回、カミュ社としては「Intensely Distillation」と呼んでいます。

最も違うのはエステルの量

このコニャックとして使用する液体のHeadsとHeartの最も大きな違いは何か?

それはエステル(Esters)の違いです。

コニャックの風味に大きく左右するエステル成分は主にオレンジなどの柑橘系はじめ、リンゴや洋ナシ、バナナなどフルーツ系の香りをより強調する役割を果たすことが多く、このエステル成分によってコニャックのアロマは大きく変化します。

今回、私がカミュ社から入手したIntensely Aromaticの資料によると、通常の一般的にオリを含んだコニャックの蒸留方法(レミー方式)では留液1リットルあたり約70mgのエステル成分が含まれますが、このIntensely Aromaticシリーズにおいてはその約3倍にあたる200mg/Lのエステル成分が含まれています。このエステルの量が今回の特別なカミュコニャックの主たる要素となります。

その他にもコニャックのアロマに変化をもたらす「ベータ ダマセノン(BÉTA-DAMASCENONE)」「アルファ テルピネオール(ALPHA-TERPINEOL)」「シトロネロール(CITRONELLOL)」「ゲラニオール(GERANIOL)」「リナロール(リナロール)」といった成分も通常のカミュVS、VSOP、XOよりも多く含まれています。

これはあくまでもカミュ社が強調している表現なのですが、これにより上記のエステルに加えてよりプルーン、ユリ、スミレ、バラを主としたアロマを強調したコニャックに仕上がっているとのことです。

カミュXO Intensely Aromaticのレビュー

Intensely Aromaticの説明はこのあたりにして、実際に飲んだ感想を・・・

香り立ち

まずは開封直後。

ボトルを開けてグラスに注いで、鼻を近づけた瞬間、私は思わず

「う゛ぉ」

と変な声を上げてしまいました。

コニャックの香りを嗅いでこんな声を出したのは初めて。

強烈なオイル臭。

初めてコニャックの蒸留液を直接嗅いだ時に感じたHeads特有の生臭さ。

これが通常の3倍含まれているエステルに由来するものかどうかは定かではありませんが、通常程よいエステルのアロマとして代表されるオレンジ系、マンゴー系といった果実要素は全く見つけることができず、カミュのボルドリ原酒由来のスミレやユリといったフローラルさも全く拾うことができず。

そこに感じるのは、鉄棒を何回もやった後の手を舐めたかのような強烈な鉄分・・・というか血。



あれ?カミュどうした??

かすかにマッシュルームや燻ぶった木のような香りも感じます。花・・・というか潮のような香りも。

正直エステルがかなり強調されており、確かにアロマは全く異なりますが、やや鉄分っぽい要素を多く感じてしまいかなり好き嫌いが分かれそうな香り立ちです。

カミュXOエレガンス(左)と比較

カミュXOエレガンスの方がより落ち着いていて安定。

カミュ特有の紅茶感やボルドリ原酒の風味はXOエレガンスの方がうまく感じ取れるかもしれません。

味わい余韻

味わいと余韻においても香り立ちと同じ系譜です。

Intensely Aromaticの味わいとしては最初少し金属的な風味を感じてしまいます。その後は湿った森にいるような香りが花から抜けていきます。

エステル由来の果実味ともいえるグレープフルーツの味わいと少しの渋みはほどよいバランスで交わります。花の要素は少なめですが、やや薬草っぽい風味も感じることができます。

抜栓1ヶ月後

このカミュXO Intensely Aromaticを手に取ったのは2020年8月上旬。

そして抜栓して約1ヶ月後にあたる2020年9月上旬。

強烈に感じた鉄と血がどのように変化しているのかを再度確かめるべく、改めてテイスティング。

香り立ちと味わい共に、抜栓直後よりやや丸みを帯びているものの、やはり基本的な方向性は変わらず。やはりどうしてもオイル臭、生臭さ、鉄の要素を強く感じ取ってしまいます。

かろうじて少しだけフローラルな香り立ちがするようになったかもしれません。

あとは慣れ次第。

カミュXO Intensely Aromaticまとめ

もちろん

「こんなコニャックもあり!」「面白い試み!」

というのは分かりますし、様々なコニャックがあり、それぞれの個性を楽しむべきだとは思います。その意見は私も大いに賛成です。

しかし・・・

まぁ・・・

このカミュXO Intensely Aromaticは・・・

私は・・・

ダメだぁ。。。

もちろん、この香味が好きな人もいると思うし、感じ方は人それぞれなので、何か突っ込まれた際の言い訳として、あくまでも私個人の所感ということを強調しておきますが(笑)

正直、何を意図してカミュがこのカミュXO Intensely Aromaticを作ったのか、全く理解不能です。

Intensely Aromaticは本来、カミュが持つ特徴的なボルドリ原酒由来のフローラルさ、優雅さ、紅茶感といったアロマをよりIntense(強烈に)する目的で作られたはずなのですが、それらの特徴を延長したアロマは皆無に等しく、全て強烈すぎるエステル感と通常よりも小さな樽で熟成されたことによるタンニンが全てを持ち去ってしまっています。

そもそもXOエレガンスとは全く異なるコンセプトなので、それと比較すること自体がナンセンスなのかもしれませんが。

最終的に私の中ではIntenseされすぎたAromaに残ったのは・・・鉄と血。
という地獄のような印象が残るだけでした。

正直カミュのコニャックについてここまで酷評することになるとは私も思っていませんでした。

発売当初はカミュコニャックのNew rangeとして発売されたこのカミュXO Intensely Aromaticですが、既にカミュの公式オンラインショップからはカミュXOエレガンスは消滅し、このカミュXO Intensely Aromaticのみラインナップとして出ているため、こちらのカミュXO Intensely Aromaticが今後カミュXOのスタンダードラインナップとなるのでしょう。

その辺は現在カミュ社に直接詳細を確認中なので分かり次第お伝えできればと思います。(もし知ってる人いたら教えて下さい)

もしそうであれば個人的には悲劇的。しかしその変化は受け入れるしかないので、私自身が順応するしかないのかもしれません。

ということで、今後このカミュXO Intensely Aromaticがどのような展開を見せるのか、ある意味目が離せません。



一つカミュの名誉のために言っておきます。

このカミュIntensely AromaticはもちろんVSとVSOPもあり、そちらも両方ボトルを個人輸入して飲み比べましたが、こちらは比較的うまく進化を遂げていたと思います。もちろんこれまでのVSとVSOPとは香りも味わいも異なるのですが、うまく強調したい果実感とフローラルなアロマを感じることができます。

Intensely AromaticシリーズのVSとVSOPは私はすんなり受け入れることができました。(何様だよ

↑こちらはカミュVSOP Intensely Aromatic。ベランダ撮影でいい写真が撮れた!(笑)

まぁ要するに・・・過度なエステルと長熟がうまく融合することができなかったということでしょうかカミュXO Intensely Aromatic。

最後に、ネット通販などでカミュXOエレガンスを注文しようとして、同じカミュXO扱いとしてこの カミュXO Intensely Aromatic が届いた場合はご注意を。エレガンスシリーズとIntensely Aromaticはホントちゃんと明確に別商品として扱った方がいいと思う。

そのくらい別モノ。

2020年9月現在、ちゃんと識別しているネットショップでは、カミュXOエレガンスは「カミュ XOエレガンス」表記、カミュXO Intensely Aromaticは「カミュ XO」として表記されている傾向にあります。

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