2019年10月某日、仕事の疲れを癒してもらいに銀座doux barへ。
この日頂いたうちの1杯はカルヴァドス ドンフロンテ地区を代表するブランドの一つ
「Lemorton (ルモルトン)」のミレジム
ルモルトン 1986
である。
この1986年というのは私にとっては特別な年です。
なぜか?
私の生まれた年なのです。
そして10月は私の誕生日。(わーい祝って)
10月の誕生月に生まれ年表記のブランデーを頂く。
幸せな時間です。
洋ナシを比率80%!
このルモルトンは、カルヴァドスAOCでいうところの「カルヴァドス ドンフロンテ(Calvados Domfrontais)」に該当します。
【参考】
→ カルヴァドスの産地と区分けとおすすめカルヴァドスとは?
ドンフロンテのカルヴァドスの最大の特徴としては、原料として使用される洋ナシの割合を必ず30%以上にすること、です。
もう一つのカルヴァドス生産域であるペイドージュは逆に洋ナシ比率を30%以下に抑えないといけないので、特性が全く異なります。
特にルモルトンは他のドンフロンテ地区のカルヴァドスと比べても洋ナシ比率が高く、割合としては洋ナシ80%、りんご20%だそうです。
ノルマンディ地方で収穫された48種類のリンゴと洋ナシでシードルとポワレを仕込み、その醸造酒を蒸留して得られる透明なスピリッツを、さらに樽で長時間に渡って熟成させて出来る琥珀色のブランデーがルモルトンのカルヴァドスとなります。(ここはメーカー説明より)
自分はまだまだだと知る
ルモルトン1986いくつか瓶詰年数があり、このボトルの正確な瓶詰年を確認するのを忘れてしまいました。
ただ、一般的には2014年とか2015年あたりの瓶詰なのでは?と記憶しているので、およそ27年~29年くらいの熟成になると考えています。(違ったらすみません・・・)
ルモルトン1986の香りや口当たり、味わいはもちろん高いレベルで芳醇。
程よい洋ナシ感とバナナ感、そしてスパイスとして効くリンゴのほろ苦味と酸味。余韻として少しスモモのような甘酸っぱさが残ります。
少しだけ大人びた熟成感とまだまだフレッシュさが残るこのルモルトンをついつい自分と重ね合わせてしまいます。
そして改めて思うのです。まだまだ自分は熟成感としては未熟な大人なのだと。
それはちょうど私が以前味わったルモルトンの最高傑作のひとつ、熟成100年近いルモルトンラルーテを味わった時のことを思い出します。
私はこのラルーテを味わった時の感動を今でも鮮明に覚えています。
こんなにも重く、それでいてしなやかで艶のある、いつまでも消えない余韻を残してくれる100年もののカルヴァドスを先に味わってしまったからこそ、このルモルトン1986との「差」をより強く感じてしまいました。
それは完全に今の自分の姿と重なります。
今年2019年で私は33歳ですが、50歳の方から見れば「若いよ!」と言われることもありますし、90歳、100歳の方々から見ればまだまだ成熟には程遠い子供のようなものです。
しかしながら、未熟であると同時に、もっともっと熟すことができる可能性があることを示しています。
人間的にも、経済的にも、ルモルトンラルーテのような素晴らしい熟成を経られるように、これからもゆっくりと、そして着実に経験を積んでいこう。
そんな決意を新たにさせてくれたルモルトン1986に感謝です。
とは言ってもウマいよ
何かルモルトン1986は未熟だった、という印象を与えてしまう内容ですが(笑)
カルヴァドスとしてはもちろん美味しいですよ。先述したように、40年を超えるような長熟カルヴァドスと比較してしまうとアレですが、ルモルトンの性質を十分に楽しめるカルヴァドスです。
私の生まれ年ということで個人的にはおすすめしたいカルヴァドスでもありますが、数量限定のミレジムなので、もうなかなか流通していないというのが難点。
やはり年数入りのヴィンテージブランデーは出会ったその時が運命だということでしょう。
10月はカルヴァドスの月だった
私にとって今月はカルヴァドス・・・というかコニャック以外のブランデーを多く味わう月となりました。
今月はその他にもシャトードブルイユ1998を買ったり、国産いいづなアップルブランデーの新作を飲んだり等々、リンゴブランデーな月でした。どちらもレビューを行いますので続報をお楽しみに。
これはもっと「カルヴァドスに力を入れなさい」という天からの思し召しなのかもしれない。