コニャックレビュー

コニャック ポールジロー国内正規品と並行輸入品の違いは何?

2019年11月16日

ブランデーファンの間でも大きな人気を誇るコニャック「ポールジロー(Paul Giraud)」。

コニャック地方グランドシャンパーニュの中でも素晴らしく良い土地があり、コニャックに裁量な葡萄が育つブートビル村の一角にポールジロー氏のコニャック作りの原点があります。 葡萄の栽培から蒸留、熟成、瓶詰まで一貫して自家で行う生産者として有名ですね。

ポール・ジロー氏↑

ポールジローのコニャックには多くのラインナップがありますが、実はご存じの方もいるようにポールジローコニャックラインナップの中には日本国内にのみ流通している「正規品」と呼ばれているものと、海外でも流通している「並行輸入品」または「海外普及品」=「ワールドラベル」と呼ばれるものが数種類存在します。

これまで当サイトでもあまり明確に区別していませんでしたが、たびたびご質問を頂くのでこの機会に違いをまとめました。

そして実際にどう味わいが違うのか、せっかくなので最も有名なラインナップの一つである「ポールジロー トレラール」の正規品と 並行輸入品(または「海外普及品」「ワールドラベル」) をそれぞれ買って飲み比べしてみました。

正規品=ジャパンインポートシステムのポールジロー?

同じ「ポールジロー トレラール」です↑

まず2019年現在、ポールジローの国内輸入代理店は基本的に(株)ジャパンインポートシステムが担っています。 一般的に「正規品」と呼ばれているポールジローはジャパンインポートシステムが輸入しているポールジローの事を指します。

その他に90年代に流通していたヤスマ(株)が輸入していたポールジローが存在しますが、現在は(確か)輸入行っておらずヤスマ版ポールジローは現在市場またはバーなどに流通しているものだけとなります(なくなったらお終い)。一般的に「並行輸入品」と呼ばれるものはこのヤスマ版ポールジローの事を指すことも多いです。が、「並行輸入品」と聞くと、粗悪品?と思われてしまう方もいるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。ちゃんとした一級品です。

そして、その中でもややこしいのは、同じジャパンインポートシステムが取り扱うポールジローの中でも、主に次の3ラインナップにおいて、同一商品名ながら2つの種類が存在していることです。

  • ポールジローヴェイユレゼルヴ15年( Paul Giraud 15YO Vieille Reserve )
  • ポールジローエクストラヴィユー25年 (Paul Giraud 25YO Extra Vieux )
  • ポールジロートレラール35年 (Paul Giraud 35YO Tres Rare )

この3つのラインナップに関しては、2019年現在、

  • ジャパンインポートシステム専用にボトリングされた日本国内限定オリジナルボトル
  • 海外普及品(ワールドラベル)と呼ばれる海外でも一般に流通しているもの

の2タイプが存在します。

ポールジローキュヴェスペシャルや他のボトルもジャパンインポートシステムオリジナルラベルは存在しますが、それらは不定期に生産され、定番品ではないため今回は割愛します。

海外普及品 (ワールドラベル) のポールジローはジャパンインポートは輸入していないと思われがちですが、実は 海外普及品 (ワールドラベル) もジャパンインポートシステムはちゃんと輸入しています。ジャパンインポートシステムが輸入している海外普及品(ワールドラベル)の場合も販売店によっては「並行輸入品」と書かれている場合があるのですが、それは輸入経路の違いによってそのように記載されている場合があります。

ここではジャパンインポートシステムオリジナルのポールジロー以外のものは海外普及品(ワールドラベル)と記載します。

ちなみに、ここ最近エクストラヴィユー(25年)=所謂ポールジローグレーラベルに関しては、ポールジローの公式サイトからもラインナップが消えていたので、もしかしたら海外普及品は今後は出ないのかもしれません。(間違っていたらすみません・・・)

それぞれ違いを見てみましょう。

違いその①外箱が違う

まずは見た目上で分かりやすいところから。

海外普及品には外箱が付いていますが、ジャパンインポートオリジナル版には外箱が付いていません。ボトルむき出しの状態でラッピングまたは緩衝材で包まれています。

↑海外普及品トレラールの木箱↑
↑海外普及品トレラールの木箱↑
↑ジャパンインポートオリジナル版↑

海外普及品(ワールドラベル)は、ヴェイユレゼルヴ(15年)とエクストラヴィユー(25年)は紙箱で、トレラール(35年)は木箱となっています。

違いその②ラベルが違う

次に分かりやすい違いとしてはボトルのラベルでしょう。

ポールジローヴェイユレゼルヴ15年
ポールジローエクストラヴィユー25年
ポールジロートレラール35年

においては 「並行輸入品」または「海外普及品(ワールドラベル) とは異なるジャパンインポートシステム独自のラベル仕様となっています。
※トラディションもジャパンインポートシステムオリジナルラベルですが、そもそもトラディションは海外普及品(ワールドラベル)が存在しない。

参考例としてポールジロートレラール(35年)の比較写真を挙げます。

ジャパンインポートシステムオリジナル版

海外普及品ラベル↓

ジャパンインポートシステムオリジナル版の方は筆記体での文字がメインで、ラベル下部に「Imported by Japan Import System」の記述があります。

先述しましたが、海外普及品(ワールドラベル)も輸入元は同じくジャパンインポートシステムです。こちらは表ラベルには何も表記ありませんが、裏ラベルは当然「輸入業者:ジャパンインポートシステム」と記載されています。

50年熟成であるポールジローヘリテージもジャパンインポートシステム版がありますが、ヘリテージにおいてはラベルは海外普及品と同じです。

違いその③実は毎年の数量限定ボトリングである

ラインナップの全てではありませんが、

ポールジローヴェイユレゼルヴ15年
ポールジローエクストラヴィユー25年
ポールジロートレラール35年

基本的にこの3商品は海外向けの商品とは別に、年に1度ジャパンインポートシステム用のボトリングをポールジロー氏に直接依頼しており、毎年サンプリングを行った後、品質の高い原酒を入れてもらうようにしています。

そのため、実はジャパンインポートシステム版ポールジローはボトリング年数ごとに生産本数が限られており、例えばポールジロートレラールにおいては2016年ボトリングのものは900本限定。2018年ボトリングのものは600本限定・・・。となっています。

貴重なんです。

違いその④ブレンドされている古酒の割合が違う

実は中身として最大の違いはこれ。

これもラインナップの全てではありませんが、少なくとも定番品の

ポールジローヴェイユレゼルヴ15年
ポールジローエクストラヴィユー25年
ポールジロートレラール35年

の3つにおいてはジャパンインポートシステムオリジナル版ポールジローと 「並行輸入品」または「海外普及品」「ワールドラベル」)のポールジローとではブレンドされている原酒が異なります。

そして最も重大な事が・・・この3つにおいては海外品よりもジャパンインポートシステム版ポールジローの方が古酒の割合が多くなっています。(ラベル表記よりも熟成年数が長い)

例えば ジャパンインポートシステム版 ポールジロートレラール(35年)2018年ボトリングの裏ラベル↓

こちらには「Paul Giraud 35 Years Old」の表記があり、説明欄には・・・

ポールジロー家は、最高のコニャックの産地であるグランドシャンパーニュ地区・ブートビル村で300年以上続く伝統的な生産者。

35年表記ですが、実際には全て45年以上の古酒で構成されています。

日本のみに出荷される当商品は、品質を厳重に管理するため1年に1回のみボトリング。この商品は2018年に瓶詰された600本限定品です。

との記述があります。

同じくジャパンインポートシステムが輸入している海外普及品(ワールドラベル)の裏ラベルはこのような記述です。

ポールジロー家は、最高のコニャックの産地であるグランドシャンパーニュ地区・ブートビル村で300年以上続く伝統的な生産者。

大手ブランドのコニャックと決定的に違うのは、葡萄の剪定から醸造、蒸留、熟成、瓶詰など全てを自らが手掛け、代々受け継いできたクラシックスタイルを頑なに守り通しているというその姿勢。

丹精を込めて手作業で作られる希少なコニャックです。

どちらも暗に大手ブランドをディスっている所はツッコミどころ満載ですが(笑)

そう、ジャパンインポートシステム版ポールジロートレラールは実は中身は最低でも45年熟成だったのだ!!

だったらもう別商品で45年熟成ってことでいいんじゃない?と思われそうですが、新商品にしてしまうと色々とBNICへの商品登録とか面倒なのでしょうか・・・と勝手に想像。

というかジャパンインポートシステムオリジナル版も海外普及品(ワールドラベル)も裏ラベルにここまで日本語の説明が書いてるのって珍しいですよね。普通は流通しているボトルのどこかに輸入業者のシールが貼られているだけなのがほとんどなのですが、海外普及品(ワールドラベル)ですらこの独自仕様。

90年代流通のヤスマ (株) 輸入版のポールジローには当然このような記載はありません。

それだけポールジロー氏とジャパンインポートシステムの関わりが深いということでしょうか。

他の15年、25年においてもジャパンインポートシステム版ポールジローの方が古酒割合が多いようです。

その他:加水やフィルタリングは?

上記以外の要素、例えば加水の方法や熟成環境、フィルタリングに関しては海外普及品もジャパンインポートシステムオリジナル版も特に変わりはなく、同じ扱いとのことでした。

どちらがおすすめなのか?

このようにスペックだけ見るのであれば、

ポールジロー ヴェイユレゼルヴ15年
ポールジロー エクストラヴィユー25年
ポールジロー トレラール35年

においてはジャパンインポートシステム版ポールジローの方がやはりハイスペックという事になります。

値段は高め

一つ、というか大きなネックがあるとすれば、やはりジャパンインポートシステム版ポールジローの方が海外普及品よりも少し高価であることが挙げられます。

ネックというか、専用ブレンドがされて古酒も割合も高くなっているので、高価になって当たり前といえば当たり前なのですが・・・。

例えば同じ商品名のポールジロートレラールでも、海外普及品が2019年10月時点の小売価格23,000円前後なのに対し、ジャパンインポートシステム版は約28,000円から31,000円超えと2割~3割程高い市場価格となっています。(5年前のポールジローヘリテージ(約50年熟成)より高くなってる!!)

同じ商品名でここまで値段差が出るので、何が違うの?と戸惑う消費者も多いかと思いますが、そういった理由のためです。

専用の外箱を作るのはコストかかるので、やはり中身勝負。ジャパンインポートシステムオリジナル版ば外箱のコストは除外ということで嬉しい配慮だと(勝手に)考えております。

実際に飲み比べします

と、ここまではあくまでも違いの解説ですが、最も気になるのは

「で、実際に味わいとか違うの?」

でしょう。

ということで、実際に飲み比べ用にジャパンインポートシステム版ポールジロートレラール(2018年ボトリング)と海外普及品ポールジロートレラールを買ってきたので飲み比べします。

実はうちにはこの2本と、もう一本保管用にジャパンインポートシステム版ポールジロートレラール(2016年ボトリング)があり、合計3本の種類の違うポールジロートレラールを保有しています。

2016年ボトリングは保管用にとっているので(笑)今回開けるのは2018年ボトリング版です。

それでは比較レビュー行ってみましょう。

・・・と、長くなってきたので別記事に移動します。

続き→ 飲み比べレビュー記事はコチラ

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