コニャック滞在記2019年 冬

コニャック滞在記⑦:Coganc Parkの全てを語ろう(1)ボトリングラインと蒸留

2019年12月24日

滞在3日目その1
2019年12月5日(木)

この日は2020年1月から日本でも販売が開始される日本産ミズナラ樽フィニッシュのコニャックで有名な「Cognac Park(コニャック パーク)」を訪問して参りました。

今年2019年5月のフランス大使館の試飲会イベントにてCognac Parkのアジアマーケット担当のChiristoph氏と出会って以来連絡を取り続け、ようやく訪問することができました。

参考記事
日本未輸入コニャック三昧!フランス大使館主催試飲会レポート
Park Cognac Mizunara Finish「ミズナラ コニャック」 のレビュー・感想

今回はオーナーのJerome Tessendier(ジェローム・テッソンディエー)氏に直接ボトリングラインから蒸留所、畑、セラーまで案内して頂いたので詳しく書いて参ります。ジェローム氏は現在オーナーとしてブランド全体の監修と展開をメインとして動いていますが、ブドウの栽培や蒸留、セラーマスターなどを経て何十年もコニャックの生産に直接携わってきたベテランです。

ジェローム氏

Cognac Parkとは?

簡単にCognac Parkのブランド説明をします。

Cognac Park (コニャック パーク) はFessendier & Filsという会社が有するコニャックブランドの一つです。Tessendier & FilsはCognac Park以外にも「Cognac Camoagnere」と「Cognac Grand Breuil」といった複数のコニャックブランドを展開しています。

Cognac Park (コニャック パーク) のブランドは1993年にスタート。スコットランド人のDominic Park氏と現オーナーのジェローム氏が意気投合し新しいコニャックブランドを共同創業したのが始まりです。Parkの名はその共同創業者Dominic Park氏に基づいており、現在Cognac Parkのロゴマークとなっている「鹿」はPark家のシンボルだったそうです。2008年にDominic Park氏が死去した後は、ジェローム氏がそのブランドを引き継ぐことになり、現在に至ります。

Cognac Park (コニャック パーク) は現在アメリカ市場およびシンガポールと中国といったアジア圏を中心に人気を博しており、特にブランデーカクテルベースとして高いシェアを持っているCognac Park VS Carte Blancheや、コニャック界初の日本産ミズナラ樽でフィニッシュさせたCoganc Park Borderies Mizunaraなどが注目を集めています。

日本ではあまり知られていませんがコニャックの会社・ブランドの規模としては比較的大きな方(中堅)で、同社の従業員は45人ほど。その中にセラーマスター1人、そして3人の蒸留責任者がいます。

後述する生産ラインや新商品の開発にはかなりの投資を行っており、同規模のコニャックブランドと比較すると最新鋭の設備が整っているのが特徴です。オルドノーやジャンフィユーといった完全自家生産(プロプリエテール)コニャックとはまた違った楽しみ方があります。 Tessendier & Filsの会社としての歴史は1880年までに遡る伝統ある会社ですが、コニャック界に一石を投じる挑戦的なコニャックを展開しているコニャック生産者です。

Cognac Parkの主要な場所

Cognac Park( Tessendier & Fils )の主要な場所は4か所存在します。

①ボトリングライン&出荷倉庫
→ Chaniers(コニャックから少し離れた町)

②蒸留所
→コニャックの隣町Jarnac内

③自社のブドウ畑(25ha)
→ボルドリ地区のJavrezacにあるLe Buisson

④本社オフィス&熟成庫
コニャック街中

当記事では①②を詳しく。次の記事で③④を見て参ります。

Cognac Parkの生産ライン

まずジェローム氏と訪れたのはCognac Parkのボトリングライン。

場所はコニャックから少し離れたChaniersという町にあります。

ここは完成したコニャックを瓶詰するラインと、出荷を待つコニャックを保管する倉庫です。

この規模の会社としては珍しくIFS認証という認定を受けています。IFSとは国際食品規格(International Food Standard)のことで、ドイツとフランスの小売業者が販売する自社ブランドに対し、ドイツ小売協会(Handelsverband des deutschen Einzelhandels:HDE)が2003年に発案しました。これは、食品業界のいずれの製造チェーンにおいても安定性が維持されていることを確認するものです。 品質管理のための設備や手順についてかなり細かい審査基準をクリアしなければなりません。また定期的な審査や認定の維持にも費用がかかるのですが、顧客の安心には欠かせないとして、この最終ラインにはかなりの設備投資と厳格な基準を設けているそうです。

IFS認証の説明(日本語)
IFSオフィシャル(英語)

Cognac Park以外にも他ブランドで同規模のボトリングラインをいくつか見学しましたが、確かにここの生産ラインが最もチェック体制と管理体制が整っているように思えました。

まずは着替え

ボトリングラインに入る前にまずは着替え。

ホコリや髪の毛の飛散防止のため不繊毛のシーツと帽子を着用。

さながら手術室に入る前のようです。

ボトルラインは2つ

ボトルラインは完全オートマ式と、半オートマ式の2タイプが存在していました。

どの商品を瓶詰するかによっても異なるのですが、基本的にオートマ式はスタンダードな細長いボトル形状の場合や生産量が多い時に使用し、半オートマ式はオートマ式で対応できない特異なボトル形状のものだったり、より細かいチェックが必要な場合に使用するそうです。サンプルボトルや限定生産のボトルなど含め約100種類のボトルを取り扱うため、完全オートマだけでは対応が難しいとのこと。

今回は半オートマ式が稼働していましたのでその様子を見学。

とりあえず一連の流れを動画にしたのでUPします(音声なし)

瓶内洗浄

まずは瓶内洗浄。

瓶を逆さにした状態で、下からコニャックが噴射され瓶内の細かい埃や塵を洗い流します。

ここの瓶セットは人の手で行う
分かりにくいけどGIFにした

洗浄には瓶詰されるコニャックよりも少しだけアルコール度数が高いコニャックで瓶内を洗浄します。例えば瓶詰めされるコニャックがアルコール度数40%の場合は少し高めのアルコール度数44%くらいのコニャックを洗浄に使います。洗浄に使用したコニャックが瓶内に残留した際に少しアルコール度数が下がってしまうことがあり、最終的に全体的な度数が40度を下回らないようにするためだそう。

中身を注ぐ

瓶にコニャックを注ぐ部屋は半独立した部屋の中で行われます。

別の部屋にあるタンクから専用のパイプの中を通って、コニャックが瓶に注がれます。

この部屋にボトルラインを通す小さな出入口があるのですが、その 出入口では外に向かってエアが吹き出しています。このラインの入り口から部屋に小さな虫や埃がボトリング部屋内に侵入するのを防ぐためです。

この部屋内でボトル内が満たされた後、中の人の手でコルク栓が締められます。

バーコード刻印

この機械はレーザーでボトル表面にトレイサビリティー用のナンバーやバーコードを刻印します。

「ビッ」と一瞬で刻印されます。

プラキャップとラベル

機械によるコルク栓の最終締め及び、プラキャップによる封が行われます。

その後ラベルマシンによるラベル貼り。

人の手で最終確認

ラベルまで一通り完成したボトルを最後は人の手で確認します。

異物混入やプラキャップやラベルのズレなどの最終確認です。

プラキャップ以外にキャップ上部に封用のラベルを貼る場合は機械では対応できないのでここで人の手で封用ラベルが貼られます。

箱詰め→重量チェック

人の手による箱詰め→出荷用段ボールに詰める作業が行われます。

そして最後に出荷用段ボールの重量チェック。規定の重量に満たない場合は警告音が鳴り段ボールが差し戻されます。例えば本当は6ボトル入れる必要があるのに5つしか入っていないなど、必要なロット数に漏れがある(=入れ忘れがある)可能性があるからです。

30分ごとのチェック

ボトリングラインでは必ず30分毎に5本分のサンプルを取り、中身のコニャックに問題がないか目視と分析機による確認が行われます。

仮にここで何か問題が発生した場合は、その30分の間に詰められたボトルは全て回収され、ラインを一度ストップして全てのボトルを品質チェックをもう一度行います。

全てのボトリングが終わると

基本的に1回の生産ラインでボトリングされる商品は1種類です。1つのラインが終わるまでどのくらいかかるかは、ボトリングする商品やオーダー状況にもよるのですが、短い時は1日、長い時は1週間くらい同じ種類の商品をボトリングします。

ボトリングが全て終わると一度生産ラインを全て清掃します。74℃の温水を使用するそうです。そして次のボトリングに備えます。

生産ラインの清掃には約半日かかるそうで、この清掃手順もIFS認証の基準をクリアしなければなりません。

という感じで一通りのボトリングラインを見終わった後はCognac Parkの蒸留所へ移動です。

蒸留器は全部で5つ

Cognac Parkの蒸留所はコニャックの隣町Jarnacにあります。

ここには5基のシャラント式単式蒸留器があり、Cognac Parkのコニャックは全てここで蒸留されています。

3人の蒸留担当者が交代で蒸留を行っており、半オートマ式で動いています。

半オートマですがワインを熱するガス圧の調整や水の温度など、可能な限りは人の手で確認して調整しているそうです。(最終確認は人の鼻による堪能)

Cognac Parkはボルドリ地区に25haほどの自社畑を所有しており、Cognac ParkミズナラやCognac Park Bordriesなどのボルドリ100%のコニャックに関しては全て自社畑から取れたブドウ原料としています。それ以外のグランドシャンパーニュやファンボアのコニャックに関しては、各地域の契約農家から提供されるワインをここで蒸留しています。

あくまでも買い取るのはワインのみで、蒸留後のオードヴィーや熟成済のコニャックを仕入れることはなく、蒸留からは全て自社で行っています。

今回訪問したタイミングはちょうどBonne Chouf(2回目の蒸留)が行われているタイミングで、最終的にコニャックとなる液体であるクール(ハート)部分を頂くことができました。

頂くといっても蒸留したてでアルコール度数70度くらいあるので、匂いを嗅いだり舐めたりする程度です。

一通り蒸留の様子を見せてもらったら、コニャックへ移動。

ヘネシー本社の近くにあるレストラン「L'Atelier」でランチを頂いた後、いよいよCoganc Parkの熟成現場へと向かいます。

これまたランチがすんごいボリュームで、お腹パンパン。。。

と、長くなってきたので続きは次の記事にて!

なお、Cognac Parkは前回の5月のフランス大使館イベントに私と同じタイミングで来ていたスコッチモルト販売(株)が日本に正規輸入することになり、2019年12月末より本格的に日本での展開が始まるようです。なお、2019年12月末から販売が開始されるのは下記の6ラインナップ。

  • Cognac Park VS
  • Cognac Park VSOP
  • Cognac Park ボルドリ
  • Cognac Park ミズナラ
  • Cognac Park ミズナラ10年
  • Cognac Park Extra

スコッチモルト販売(株)のオンラインショップsaketry上で取り扱いが開始されるようなので要チェックです。その後は様々な店舗にリリースされる模様。

saketryへ

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