滞在10日目その2
2023年1月20日(金)
前回の記事
→シャトー・ド・モンティフォー訪問:野田祥子さんの1日ガイド
前回の雪景色美しいChâteau de Montifaud(シャトー・ド・モンティフォー)のブドウ畑から今度は暖かい室内の蒸留室へ。蒸留器の特徴から熟成庫、テイスティングまで一気に行きましょう。
最新式の蒸留器がずらり
蒸留器は全部で4つ。うち2つは1970年代の蒸留器。そしてもう2つは2021年に導入したばかりの最新式蒸留器!
こちらが1970年代の蒸留器↓
こちらが2021年に導入された蒸留器↓
コンピューター制御の蒸留器は今まで多く見てきましたが、このアームのついたタイプを見るのは初めてでした笑
容量は最大25ヘクトリットルの大きなタイプです。
蒸留方式としてはワインの澱と一緒に蒸留し、ボンヌショーフ(2回目蒸留)のスゴンドはブルイに戻すヘネシー・レミー方式の蒸留方法です。これによりクリアになりすぎずプティットシャンパーニュの力強さを反映できるようになります。(下の図は参考にヘネシー・レミー方式とマーテル方式の比較です)
エコな冷却装置と熱
シャトー・ド・モンティフォーの蒸留施設は1つの施設内でコンパクトにまとまっていることもありエネルギーもエコ循環しています。
蒸留で発生した熱はオフィスやボトリングラインの部屋を暖めるために循環され利用されています。
またこちらは屋外にある雨水を貯めるタンク。こちらも蒸留時の蒸気を冷却して蒸留液に戻す時の冷却水として使用されています。
合体蒸留器
こちらは一つのショーフヴァンと2つの蒸留器が合体した珍しいタイプの蒸留器。
コニャックに2基しか存在しないらしい。
熟成庫と冷却ろ過
こちらがシャトー・ド・モンティフォーの熟成庫。熟成庫はいくつかあり、こちらは施設内の最も近い熟成庫。
シャトー・ド・モンティフォーの樽は基本的にリムーザンタイプの樽が使用されています。ただし、ヴィンテージコニャック用に一部トロンセタイプの樽も使用されてるそうです。
※リムーザンタイプとトロンセタイプの樽の違いはコチラから
樽は5~10社の複数の樽製造会社から購入しており、毎年1~2社ほど新しい樽会社から購入し試しているそうです。
シャトー・ド・モンティフォーの新樽古樽基準は下記の通り。
新樽:1~3年まで
→主にVS、VSOPに使用。新樽に入れる期間は最長7ヶ月程度。
一般:3~10年
古樽:15年以上
→主にXOクラス以上に使用。
ブレンドセラー大樽
→ブレンドしたものやボトリング前のコニャックを保管しておく用の大樽。大樽に入れる期間は最長1~2年まで。
もうひとつの熟成庫
こちらは別の場所にあるもう少し熟成年数が進んだ熟成庫。少し湿度は高め。
冷却ろ過
定番商品にはチルフィルターを用い、不純物を取り除きます。他国へ出荷する際の気温変化でボトル内に不純物が浮き出ないようにするためです。
こちらはシャトー・ド・モンティフォーが使用している冷却ろ過装置。いわゆるチルフィルター。
フィルターの温度は最大でマイナス1度。約200ヘクトリットルを1~2日かけてゆっくり冷却ろ過します。
ちなみにこちらが冷却ろ過する前(左)とした後(右)のコニャック。
低温にさせすぎず、ゆっくりとチルフィルターすることでほとんどアロマを失わずボトリングに回せるようにしています。
フィルターが終わったコニャックはこのタンクに移されボトリングを待ちます。
もちろん定番商品以外のプライベートボトルや限定商品などはチルフィルター無しでボトリングすることもあります。
テイスティングタイム
場所を移ってテイスティングルームでシャトー・ド・モンティフォーのコニャックをテイスティング。
テイスティングさせて頂いたのはシャトー・ド・モンティフォーVSOP、ナポレオン、XO Silver、ヘリテージ。テイスティングの個別感想は割愛しますが、どれも素晴らしいコニャック達。
一応シャトー・ド・モンティフォー各コニャックのおよその熟成年数だけ記載しておきます。
VS:3~5年
VSOP:8~10年
ナポレオン:15~18年
XO Silver:22年~
XO:30年
ヘリテージ:50年
クリスタル:80~100年
クリスタル飲んでみたかったですねぇ笑
そしてこちらはシャトー・ド・モンティフォーが作っているジン。個人的には右から2番目のピノーデシャラントカスクフィニッシュのジンがかなり美味しかったです。
そんなこんなでたっぷり約3時間ほどシャトー・ド・モンティフォー訪問を楽しませて頂きました。野田さんも細かい所を通訳して頂いたり、色々な事を教えて頂いて本当に助かりました。ありがとうございます。
ここからは野田さんの車で少し移動してこの日2件目の訪問となるグランドシャンパーニュの小規模生産者Raison Personnelleへ向かいます。薪蒸留を行っている珍しいコニャック生産者です。
次回
→薪蒸留とコダワリの少数生産コニャックRaison Personnelle(準備中)