滞在8日目その3
2023年1月18日(水)
随分と時間が空いてしまいましたが、ゆっくり更新していきます。
→前回のフランソワヴォワイエ訪問記事はコチラから
この日訪問したグランドシャンパーニュの生産者、フランソワヴォワイエの熟成庫での素晴らしい原酒達を堪能させて頂いた後は蒸留所に戻りセラーマスターのピエール・ヴォ―ドン氏と共にゆっくりと2時間テイスティングタイムを過ごさせて頂きました。
ここではフランソワヴォワイエの全ラインナップを一通りテイスティング。
- フランソワヴォワイエ テールズ
- フランソワヴォワイエ VSOP
- フランソワヴォワイエ ナポレオン
- フランソワヴォワイエ XOゴールド
- フランソワヴォワイエ エクストラ
- フランソワヴォワイエ オルダージュ
- フランソワヴォワイエ アンセストラルNo.8
- フランソワヴォワイエ Collection Pesronnelle
あまり知られていないかもしれませんが、フランソワヴォワイエのコニャックの中でも売上の50%を占めているのがXOゴールド。ヴォワイエを支えている主力商品ですね。
各コニャックの熟成年数
テールズの平均熟成は5年程。
VSOPは6~15年熟成のブレンドで、平均すると10年程の熟成年数。
ナポレオンは約15年。
XOゴールドは10~30年熟成のブレンド。
エクストラは約40年熟成。
オルダージュは約50年熟成。年間77リットル、280本の限定生産。オルダージュまでは軽いチルフィルターあり。
アンセストラルNo.8はおしなべて60年~70年熟成。6種類のヴィンテージのブレンド。ノンチルフィルタード。
アンセストラルのNoスタートはNo.5からで今回のNo.8で3リリース目なのです。実は一番最初のNo.5はシングルヴィンテージでした。
Collection Pesronnelleは平均すると約90年熟成。ノンチルフィルタード。
現在のリリースは1920、1928、1930、1946の4ヴィンテージブレンド。最も若い原酒が1946年。数年に一度72本限定でブレンドされるフランソワヴォワイエの最上級コニャック。
ボトル形状の違い
ちなみに、XOゴールドとエクストラに関しては、デキャンタタイプの幅広ボトルとスリムボトルの2種類が存在します。
輸入する国の事情(バーの広さや流行)やインポーターの意向に合わせてどちらのボトルを輸入するか選べるようになっています。日本の場合は両方スリムボトルですね。(XOゴールドは500ml)。これは日本のバー事情も加味してのことがだと思います。日本のバーカウンターはそこまで大きくない店が多いので、どうしても幅広ボトルだと置く場所に困っちゃう場合があるんですよね。あとあまり派手な装飾よりも中身を重視する傾向にあるので。
ボトル形状が違うだけで、入っているコニャック自体は同じです。よく国内版は古い在庫、海外流通のデキャンタタイプが新しいの等の勘違いもありますが、ボトリング時期が同じであればボトル形状が違ってもXOゴールドとエクストラの中身は同じです。
ブレンドで輝きを増すコニャック
フランソワヴォワイエの神髄はそのブレンド技術にあります。
前回、熟成庫でテイスティングさせて貰った素晴らしいヴィンテージ原酒達。これ単体でもすさまじいグランドシャンパーニュの衝撃が伝わるコニャックだったのですが、ピエール氏曰くその輝きはブレンドにより何倍も増すとのこと。
昨今の傾向から多くの方はシングルヴィンテージにより価値を見出しがちですが、コニャックの見どころはブレンド。
最高のコニャックと最高のセラーマスターが重なる時、素晴らしい原酒はブレンドによって累乗的にその輝きを増すのです。
ヴィンテージ単体はそれぞれ素晴らしい個性と長所があります。例えば他のヴィンテージよりタンニンが強い物、他のヴィンテージより繊細で南国フルーツの余韻が長いもの。その個性を活かしつつ、長所を壊すことなく自分のブランドに最もふさわしい味わいのコニャックに仕上げる。それがブレンドの真骨頂。
神のコニャックを飲む
やはり注目すべきはフランソワヴォワイエ Collection Pesronnelle。
実は私も今回初めて飲みましたフランソワヴォワイエの超フラッグシップボトルです。数年に1度、72本限定で商品化される幻のボトル。
その原酒は全てヴォワイエのパラディセラーより厳選された、ピエール氏が家族代々受け継いだ至高の原酒達。
今回のCollection Pesronnelleのブレンドは4つのグランドシャンパーニュ ヴィンテージのブレンド。
ブレンド比率は1920年(25%)、1928年(20%)、1930年(25%)、1946年(30%)。
実は先程そのうちのいくつかのヴィンテージをパラディセラーにて試飲させて頂きました。特に1930年の感動はすさまじいものでした。
が、このCollection Pesronnelleはその感動を更に上回る衝撃。
この衝撃的な香味と余韻をどう言葉にしていいのやら・・・。全てのテイスティングコメントが陳腐に感じてしまうほどの、まさに神のような存在・・・いや、まさに今、私が味わっているのはグランドシャンパーニュ コニャックの"神"そのものなのかもしれません。
このCollection Pesronnelle、そしてそれを構成する原酒達をピエール氏と一緒に飲ませて頂いた、それだけでも今回のコニャック渡航を決行した意味がありました。
それほど大きな感動を味わうことができました。
・・・・何というか、今回の記事はとても抽象的な表現が多い内容ですが、それほど言語化するのが難しいくらい素晴らしい時間だったということです(笑)
残念ながらこの Collection Pesronnelle は日本には輸入されておらず、ほとんどのオンラインショップでも売り切れ状態なので今回リリース分を手に取るのはなかなか難しそうです。
次のCollection Pesronnelleのリリースは数年後・・・恐らく2026年、2027年あたりではないでしょうか。もちろんその時のリリースはヴィンテージもブレンドも異なるため、今回私が飲ませて頂いたものとは異なるコニャックです。
しかしながらその時も変わらず神のコニャックであることは間違いないでしょう。その時を気長に待ちながらCollection Pesronnelle貯金を進めたいと思います。
グランドシャンパーニュの神を後に
その後素晴らしいピエール氏と共にテイスティングタイムを過ごしてあっという間に夕方になってしまいました。
伝えきれない感謝をしつつここでお別れの時間。
また来年会うことを約束し、フランソワヴォワイエの地を後にします。
送り迎えをして頂いたモルガンさん、ありがとうございました。
そんなこんなで興奮する1日を過ごした後はアパートでゆっくり今日の事を振り返りながら就寝。
次の日は朝6時から隣町のジャルナックまで向かい、日本でも有名なコニャックハウスのHINE(ハイン)とDelamain(デラマン)を訪問します。
電車で行く予定だったのですが、ここでもまたフランシス年金問題のストライキに遭遇(笑)ばっちり電車が止まってしまいました。
Google Mapを調べると隣町のジャルナックまで徒歩3時間!ウォーキングは好き!そして晴れ!よしこれは行ける!!!
ということでコニャックの街からジャルナックまで徒歩で向かう決意をしました。
そこに広がる果てしない葡萄畑とかじかむ手・・・