フランスで毎年9月はブドウを原料とするお酒にとってはとても重要な収穫の時期です。
もちろんコニャックもそのうちの一つ。
でもなかなか現地まで行ってブドウや収穫、コニャックのもととなるワイン造りの様子を実際に見るのは難しいですね。
しかし、世の中は便利になったもので、色々なコニャック生産者がリアルタイムに畑の様子や収穫の様子、ワイン造りの様子をインスタグラムに上げてくれています。
そんな中、オーガニックコニャックで有名で私も大好きな生産者のひとつ、ジャン・リュック・パスケが収穫後のブドウを搾汁している様子をインスタライブで配信していて、ちょうど私も運よくライブ配信に参加することができました。
新型コロナウイルスの続く2020年は私も伺うことが難しいですが、2019年に訪問した際の現当主のJeanさんやAmyさんの暖かい歓迎にすっかりファンになってしまいました。
ライブだから後から見れないかなぁ・・・と思っていたのですが、ちゃんとその後インスタ動画に上げてくれていたので、紹介したいと思います^^
見よ、これがパスケ流イースト!
まずはコチラの動画。
こちらは2020年のジャン・リュック・パスケが所有しているフォルブランシュ種のブドウを足で踏み、搾汁している過程の様子です。
どうやってイースト菌を発生させるのか?
こちらのパスケ訪問記事でも書きましたが、念のため再掲。
蒸留用のワインを発酵させる際にコニャックでは数種類のイースト菌を加えて発酵を促進することが許されています。有名どころではzymasilやFC9といったイースト菌です。
しかしオーガニック製法の場合は人工的なイースト菌は添加せずに、あくまでも自然界に存在する天然のイースト菌(Native Yeast)に頼ります。
Native Yeastを得る方法としては、機械による収穫の前に少し手掴みによる収穫を行い、その後奈良漬けを作るときのように葡萄を足でつぶしてジュースにするという絵画とか昔のワイン作りに出てきそうな方法でブドウ果汁を作ったり、発酵タンクに少しだけ地面に落ちたブドウの枝などを加えることで自然のイースト菌を活用して発酵を始めることができるそう。
ジャン・リュック・パスケのコニャックはオーガニック製法を採用しているため、発酵に必要なイースト菌を発生させるための最初のステップとしてこの昔ながらの足で踏む方法を採用しています。
これが貴重なパスケのコニャックの元となるわけですね。
特にオーガニック製法を採用しているワイン生産者やコニャック生産者ではしばしこのように「足でブドウを踏む」という古典的な手法で発酵工程をスタートさせるところもあります。全て機械式の大手ではなかなか見られない光景です。
こども達がこうやってお手伝い(?)している様子も家族経営の生産者ならではですね!
その他の生産者も続々収穫
他のコニャック生産者もインスタグラムやYoutubeを通じてブドウの成長や収穫、発酵の様子を見ることができます。
Youtubeよりもインスタの方が手軽にアップできるのでリアルタイム感がありますね。
是非チェックしてみて下さい。
いくつか年齢制限があって直接埋め込みできなかったのでリンクを貼っておきます。
コニャック製造ステップのおさらい
コニャック造りにおいて、今回紹介した動画がどの工程に当たるのか不明な方も多いと思うので、改めてコニャックの製造工程の簡単なステップをおさらいです。
↓クリックで拡大↓
次のようなサイクルでコニャックの生産が行われまます。
②9月~10月:発酵・ワイン作り
③11月~翌3月31日まで:シャラント式単式蒸留器で蒸留
④熟成
⑤ブレンド
⑥ボトリング
今回紹介したのは①と②にあたる工程ですね。
毎年のコニャック生産サイクルのまさに最初のステップ。
ここから収穫されたブドウがワインになり、それを蒸留してコニャックの元となるオードヴィーとなります。それを何年、何十年と樽で寝かせることで琥珀色の美しいコニャックとなり、我々の手に届くのです。
今年収穫されたブドウがコニャックとなって世に出回るには早くても3年後。
長ければ10年、20年、30年・・・50年・・・と信じられない年月を樽の中で静かに過ごすのです。
最初の動画で楽しそうにブドウを踏んでいた子供達、もしかするとこの時のブドウからできたコニャックを瓶詰し、世に出すのはまさにこの子達の役目なのかもしれません。
そう考えるとコニャック造り、ブランデー造りはじめ、熟成を経る蒸留酒がいかに世代を超えた作品なのかという重みを感じ、より一層お酒が楽しくなります。
ジャン・リュック・パスケのコニャック
ジャン・リュック・パスケのオーガニックコニャックシリーズは残念ながらまだ日本には正規輸入されていません。
Cognac Expertなどの海外通販サイトからは個人輸入可能です。
それ以外のパスケコニャックのラインナップはコチラから。