今回のレビューはアルマニャック「ダルティガロング(Dartigalongue)1989ヴィンテージ」。
久々のアルマニャックですね。
ダルティガロングとは?
ダルティガロングはアルマニャックの有名なネゴシアン。契約農家からワインや原酒を買い取り、それらを蒸留、熟成している生産者です。
ダルティガロングの起源は1817年、Pascal Dartigalongue(パスカル ダルティガロング)氏が生まれた年まで遡ります。
ダルティガロングの特徴
ダルティガロングのアルマニャックは通常のVSOPやXOクラスに加え、多くのヴィンテージアルマニャックも生産しています。
生産域は全て最良のアルマニャックが作られるバ・ザルマニャック(Bas-Armagnac)。
原料となるブドウ品種は「ユニブラン」「バコA22」をメインに「フォルブランシュ」も使用しています。
蒸留はアルマニャックに特有の半連続式蒸留器を使用。蒸留時のアルコール度数は約58度で止め、低いアルコール度数によって原料のアロマを十分引き出します。
熟成に使われる樽はガスコーニュ地方で採れるガスコンオークを使用。コニャックのリムーザンオークよりも木の繊維が荒くより多くのタンニンが出やすいのが特徴です。
熟成庫は乾燥したドライセラーと湿度の高いセラーの2つを使い分けています。熟成庫の2階にある乾燥したセラーは温度変化も大きく若いアルマニャックの荒々しさをそぎ落とします。1回の湿度の高いセラーは温度がより安定しており、アルマニャックにより円やかさを与えるために使われます。
ダルティガロングのヴィンテージ
ダルティガロングがヴィンテージアルマニャックに力を注ぎ始めたのは19世紀から。400リットルのガスコンオークで少なくとも15年以上は熟成され、その後ものによっては40年、50年とオークでの熟成を経ます。その後ベストなタイミングでこれ以上の変化を防ぐため保管用ガラス瓶(Demi-johns)に移されます。
先述したようにダルティガロングには多くのヴィンテージがあり、2000年代、1990年代、80年代、70年代などから19世紀までの60以上のヴィンテージアルマニャックがあります。最も古いヴィンテージは1848年のものになります。
ダルティガロング1989ヴィンテージの基本情報
では改めて今回のボトルを見てみましょう。
ダルティガロング(Dartygalongue) 1989
アルコール度数:40%
生産域:バ・ザルマニャック
蒸留年:1989年
ボトリング:2017年
輸入元:NOZOMI株式会社
購入価格:税込11,880円(2024年2月購入)
ダルティガロング1989の香り立ち
最初はややアルコールのツンツン感はあるものの、アルマニャックの持つ程よいレーズン感がまず最初に感じる事ができ、やや酸味のあるスモモが後を追います。
その後は緩やかに甘い香り・・・メープルシロップとバニラでしょうか。このバニラは樽由来のもの。
あとは干し芋ですね干し芋。共感して頂ける方がいるか分かりませんが・・・。
クローヴ、白コショウっぽいスパイス感もややあります。
ダルティガロング1989の味わい
ほどよいタンニン。しっかりと口の中がギュッとなりますが、後味が悪いわけではない。
ギュッとなった後にほんのり甘やかな黒糖っぽさ、そしてオレンジに変化する様を感じることができます。
その後、やや薬草感のある渋みが口を覆います。
30ml注いだ場合、グラスに注いで20分程経つとオレンジ感が更に増す。
1時間経過するとやや酸味が勝ってしまい本来の香味が失われるように感じます。ピークとなる30分~40分で1杯飲むのくらいのペースがおすすめでしょうか。
ダルティガロング1989まとめ
香味の方向性としてはジェラス40年に似ている部分がある。
ドメーヌ・ボワニエルのようにド派手な個性があるわけではないのですが、程よい樽感、メープルシロップ、スパイス、レーズンといったアルマニャックのお手本と言っていいくらい基本的な特徴が詰まった優等生な1本だと思います。
これまでジェラスはアルマニャック入門向けとしてお勧めしていましたが、価格的にも1万円前後で入手可能な今回のダルティガロング1989の方が圧倒的におすすめしやすいボトルです。
「アルマニャックで最初に何買うべき?」と聞かれたら間違いなくその中に入る1本。
というか昨今のウイスキーやコニャックの価格高騰を考えると1989ヴィンテージで1万円くらいって普通にめちゃくちゃ買いですねこれは。いつまでこの価格が続くかは分かりませんが。
ということでスタンダードなアルマニャックを学ぶ1本としておすすめなダルティガロング1989ヴィンテージです。