前回の「コニャックの神髄を極める(その1)」に続き、2016年11月27日(日)、酒育の会主催の鯉沼康泰 氏によるコニャックセミナー「コニャックの神髄を極める(その2)」に参加してきましたので、そのレポートです。
今回のセミナーは主に
- コニャックの土壌と地層について
- 加水について
- ポールジローテイスティング
がメインの内容となりました。
コニャックの土壌の真実
前回よりも更に濃い内容のセミナーでした。
情報量が多く、全て理解してアウトプットするには時間がかかりそうです・・・。
主に取り扱った内容はグランドシャンパーニュ、ボルドリー、ファンボア、プティットシャンパーニュの土壌・地層について。同じ地域でも各村単位や場所、高低差によって大きく土壌の特徴が異なり、同じグランドシャンパーニュにおいても良い場所と悪い場所が存在するということを熱く語って頂きました。
前回にも通ずる結論としては、便宜上区分けされたコニャック6つの地域(グランドシャンパーニュ・プティットシャンパーニュ・ボルドリー・ファンボア・ボンボア・ボアゾルディネール)だけではコニャックの特徴を分けることは不可能。実際は畑単位でブドウの出来や質は大きく変わってくるということです。
「なぜコニャックが流行らないのか」とは相反する細かな話になりますが、コニャックの神髄を求めていくと、やはり畑単位でコニャックを評価していくと面白そうです。
コニャック地方の地層
コニャックの土壌を支えているのは地層の構成です。
地層の特徴となると、ジュラ紀、白亜紀といった時代までさかのぼることになります。
特徴的だったのは、コニャック地方にあるシャラント川をはさんで上に位置するボルドリー方面はジュラ紀の地層、シャラント川より下にあるグランドシャンパーニュ方面は白亜紀の土壌がメインであるということ。シャラント川より上は白亜紀の土壌は流れてしまい、より以前のジュラ紀地層が露わになっているそうです。
グランドシャンパーニュの土壌をメインで構成する白亜紀の地層には、上から次のようなっています。(下に行くほど古い地層)
- カンパニエン
- サントニエン
- コニャシェン
- トゥロニエン
- セノマニエン
という地層から成り立っており、中身は貝やウニの死骸が堆積された石灰質の土壌です。この石灰質の土壌がブドウにミネラルを与え、成分が濃縮され、香り豊かなブドウ作りに大きな影響を与えるのですが、これまた場所によって隆起している土地や平坦な土地、泥土が堆積されてしまった土地など、場所によって特徴が大きく異なる模様。
最も良いとされるのは小高く隆起した土地。隆起することによって、山なりになった白亜紀の地層が雨によって削られ、各石灰質の土壌が全て露わになり、より芳醇なミネラルを含んだ石灰質の土壌にブドウを植えることができるそうです。
この理想的な土壌で作られている代表的なコニャックがポールジローであり、ラニョーサボラン。やはりこの辺の評価が高いコニャックの土壌には、それ相応のクオリティがあるようです。
同じグランドシャンパーニュの中でもでも平坦な土壌は水分が多く、泥土が溜っているような場所もあり、そのような場所ではあまり良い葡萄は育ちにくい環境にあります。(ブドウとしては良くないが、グランドシャンパーニュ産として取り扱われるので、そういった場所で作る農家もあるそう)同じグランドシャンパーニュでも各場所場所でここまで違いがあるようです。良い場所と良くない場所ではブドウの買取値も大きく変わるようです。
今回はダイジェストレポートですが、細かい内容は別記事にて小出しできればと思います。全部書き出すと4万文字くらいになりそう(笑)
コニャックの加水
熟成時の加水について細かい内容を教えて頂きました。
コニャックには「加水」「カラメル」「オークチップ」といった混ぜ物が一定基準量のみ認められていますが、その中でも主にアルコール度数を下げるために行われるのが加水です。加水するメーカーと加水しないメーカーがあります。
50年以上熟成を目標としたコニャックは加水すると50年も持たないため、加水はしません。
15年以下のコニャックはアルコール度数を下げるため、加水されることが多々ありますが、加水の方法も各メーカーによって大きく異なります。
今回はフラパン、クルボアジェ、デラマンといた代表的な各メーカーについて加水方法の解説がありましたが、印象的だったのはデラマンでした。
デラマンはフェーブルと呼ばれるコニャックの原酒と蒸留水を混ぜ合わせたアルコール度数15%程のものを段階的に加水していきます。その調整が実に絶妙な技術。神がかり的な加水と言われる由来です。
コニャックの加水についてはまた別記事にて詳細を紹介したいと思います。
2016/12/17記事追加
ポールジローテイスティング
今回のテイスティングはポールジローの年代別テイスティング。飲んだのは下記のラインナップです。
写真右から順に
- ポール・ジロー La Bonne Chauffe 2006 未貯蔵
- ポール・ジロー Vieille Reserve(ヴェイユ・レゼルヴ) 15年
- ポール・ジロー Tre Rare(トレ・ラール) 35年
- ポール・ジロー Heritage(ヘリテージ) 50年
- ポール・ジロー Tresor du Paradis(トレ・ド・パラディ) 1959年
Tresor du Paradis 1959年は今回初めて飲みました。今は恐らく入手不可な激レアコニャックです。
それ以外は飲んだ事ありましたが、こうやって改めて年代別に飲み比べてみると、熟成年数で全然味が違うので面白いですね!! しかし豪華なラインナップだ・・・。
テイスティングの詳細レポートは別記事にて。
2016/12/19記事追加
今回テイスティングを行ったコニャックは一部を除き一応Amazon でも気軽に手に入ります。(2016年11月時点)
2時間では収まり切れない
こんな感じで、とても濃い内容の「コニャックの神髄を極める(その2)」でした。
次回は「その3」は2016年12月11日。
→詳細はコチラ
重ねて言いますが、私は酒育の会の回し者ではありません(笑)が、非常に深い知識を得ることができるセミナーです。コニャックの知識に貪欲で、より深く細かく知りたい!という方には大変おすすめです。
最新情報は酒育の会HPまたは公式Facebookページより確認ができるみたいです。
あー美味しかった。。。
2017/1/5記事追加
コニャックの神髄を極める(その3)セミナーレポートを追加しました。
→記事はコチラ