今回レビューを行うボトルはカミュの代表格でもある「カミュ ボルドリー VSOP」です。カミュのコニャックはこれまで幾度となく飲んできたので今更感もありますが、改めてカミュが誇るボルドリコニャックと向き合ってみましょう。
カミュのボルドリーコニャックとは?
カミュのコニャックはいくつかのカテゴリが存在します。2022年現在は大きく3つ。
Intensely Aromaticシリーズ
2020年からスタートした新シリーズ。レンジはVS、VSOP、XOがあり、現在のカミュ コニャックのスタンダード商品です。
これまでスタンダードだったVSOPエレガンスやXOエレガンスはスタンダードラインナップから外れ、このINTENSELY AROMATICシリーズに変わりました。
このIntensely Aromaticシリーズは蒸留の時点から普段のカミュとは少し変わった原液の取り方を行っています。その味わいも独特。(正直私は微妙・・・)
詳細は下記記事を参照
→これはやりすぎ?カミュXO Intensely Aromaticを味わった結果
イル・ド・レ シリーズ
珍しいボア・ゾルディネールの原酒をレ島という小さな島の熟成庫で熟成させたシリーズ。こちらも特徴的なコニャック。好き嫌いは分かれるコニャック代表格です。
イルドレ ファインアイランドやイルドレ クリフサイドセラー、イルドレ ダブルマチュア―ドなどがスタンダード商品。
イルドレの紹介はこちらの記事を参照(ちょっと古いですが)
→カミュ独特のコニャック「イル・ド・レ」シリーズ特集
→「コニャックの華 カミュの魅力」セミナーレポート
ボルドリー(Single Estate) シリーズ
今回記事にしているボルドリーがこれ。展開レンジとしては今回のカミュ ボルドリーVSOPともう一つ上ランクのカミュ ボルドリーXO。
表題にあるように、このボルドリー(Single Estate)シリーズは全てカミュがボルドリ地区に保有する180ヘクタールの自社畑で採れたブドウのみを使用して作られるコニャック。
※コニャックにおける生産域の違いの説明はコチラから
Single Estateとは原料となるブドウの栽培から発酵、蒸留、熟成、瓶詰までを自社で行ういわゆる「プロプリエテール」のこと(必ずしも単一生産域である必要はない)。この表現を最初に使い始めたのはABK6ブランドを展開するDOMAINES FRANCIS ABECASSIS(ドメーヌ・フランシス・アベカシス)だそう。昨今のコニャック生産者的にはプロプリエテールという表現よりもSingle Estateという表現の方が浸透している。
その他の展開
その他、古くは有名なカミュ ブックシリーズや先述したエレガンスシリーズ、ジョセフィーヌ、Jazz・・・など様々な種類がありますが、現行生産はされていないのでここでの紹介は割愛します。
カミュ ボルドリーVSOPの基本情報
カミュ ボルドリーVSOP
Camus Borderies VSOP
生産域:ボルドリ100%
原料:ユニブラン100%
熟成年数:3~10年のブレンド(詳細不明)
アルコール度数:40%
容量:700ml
輸入元:アサヒビール株式会社
購入価格:税込6,680円(2021年11月)
ちなみにご丁寧に1本1本ロットNoとボトリングNoが記載されています。
カミュ ボルドリーVSOPの香り立ち
まずは圧倒的レモンティー。
そしてハチミツ、アプリコット、キンカンなどの甘くフルーティーな香り立ち。
その後訪れるクローヴ、スターアニスといったほんのりスパイシーなアクセント。
アルコール感を感じてしまうギリギリのところまで近づけるとスミレ、ラベンダーといったフローラル系の香りも楽しむことができます。
このフローラルの線引きが難しい・・・ちょっとでも近づけすぎるとアルコールの刺激臭がやや気になってしまうが、その一線を越えなければボルドリの華やかな香り立ちを十分に楽しむことができます。線の前後でかなり差が激しい。
ボルドリコニャックとしては際立ってレモン系の香り立ちが印象に残るコニャックです。
カミュ ボルドリーVSOPの味わい
かなり軽い口当たり。ずっしりとした重厚感は無く、スッと口の中に入ってくる。
口に含んだ後はオレンジ、ハチミツ、最後にほんのり少しだけスパイス感。
余韻としてはやや短めですが、
全体的にスパシーさ、ウッディさは弱め。フルーティーさとフローラルさが際立つ仕上がり。
カミュ ボルドリーVSOPまとめ
ボルドリ原酒を得意とするカミュだけあって軽やかで負担にならない、かつホントに蜂蜜レモンティー系の香り立ちと味わいを十分に味わえる優良コニャック。
2020年から始まった新カテゴリであるIntensely Aromaticシリーズでは蒸留時にHeartの前の蒸留液であるHeadを多く使用しているため私としてはかなり鉄分を多く含んだようなエグみを感じてしまいましたが、このボルドリー(Single Estate)シリーズではそのようなことはせずに通常の蒸留方法で核となるHeartの部分を原酒として使用し熟成させているのでちゃんと柔らかな香りが保たれている印象。
お願いだからこのボルドリー(Single Estate)シリーズはIntensely Aromaticシリーズの蒸留手法を取らずにこのままの手法でこれからも進めてもらいたい。
どのボルドリコニャックを基準にするかにもよりますが、同一価格帯のボルドリ100%コニャックであるオルドノーエクストラやコニャック パーク ボルドリと比較するとウッディ具合の少なさが際立ち、紅茶感あふれる香り立ちにステータスを振ったコニャック。
この傾向はもうワンランク上のレンジであるカミュ ボルドリーXOと同様です。
香り立ち優先のスイスイ飲める軽やかなコニャックを探しているのであればカミュのボルドリコニャック。ボルドリコニャックに少し重厚感を求めるのであればオルドノーやコニャックパークボルドリといった選択肢が住み分けとして考えられます。
クオリティに対する価格もかなりリーズナブルで手に取りやすい価格帯。蜂蜜レモンティー系ボルドリコニャックの手始めとしてはもってこいのおすすめコニャックと言えるでしょう。