全てはこのための伏線だった、と言っても過言ではない・・・
というのは後付けですが、今回はのレビューは熟成年数約40年のコニャック「フランソワ ヴォワイエ エクストラ(François Voyer Extra)」です。
前回含め、グランドシャンパーニュのプロプリエテール「フランソワ ヴォワイエ(François Voyer)」シリーズをいくつか行って参りましたが今回はその第3弾です。
【参考記事】
→フランソワヴォワイエVSOPの感想・レビュー
→フランソワヴォワイエXO GOLDの感想・レビュー
フランソワ ヴォワイエ エクストラの基本情報
容量:700ml
アルコール度数:42%
グランドシャンパーニュ コニャック
葡萄品種:ユニブラン100%
熟成年数:40年程
加糖、カラメル添加なし
加水なし
小売価格(2019年6月時点):28,000円(税抜)くらい
前回のフランソワヴォワイエVSOPやXOゴールドから価格帯も熟成年数も一気にアップしました。この辺りからがフランソワ ヴォワイエの本命と言っても良いのかもしれない。
比較対象としては前回までの下記2本です。
フランソワヴォワイエVSOP(7~14年熟成)
フランソワヴォワイエXOゴールド(20~30年熟成)
フランソワ ヴォワイエ エクストラのポイント
これまでのフランソワ ヴォワイエVSOPとXOゴールドから感じられる最も顕著な特徴は「なかなか強烈な樽香」という印象があります。
前回も書きましたが、フランソワ ヴォワイエのコニャックは、蒸留後に全ての原酒がリムーザンの「新樽」で3年間熟成されます。。そして短い熟成でボトリングされるコニャックは若い樽に、長い熟成の後にボトリングされるコニャックはより古い樽に移して熟成させます。
従って、VSOPなど熟成年数が比較的短いコニャックにおいては、葡萄や果実の香味というよりも樽由来の味わいが強く印象に残る結果となりました。
今回のエクストラは熟成年数40年ということで、長熟コニャックの類に入ります。果たしてこの長熟コニャックにおいて、若いフランソワ ヴォワイエを踏襲することになるのか、それとも全く違う方向性になるのか、その辺がポイントとなります。
フランソワ ヴォワイエ エクストラの感想
それでは早速注いでまいりましょう。
フランソワ ヴォワイエ エクストラの香り立ち
このコニャックは注ぎたてと、数分間グラスを置いた後の香り立ちが大きく変わる面白いコニャックでした。
最初は甘めのチョコレートとアプリコットのような香りが目立ちましたが、グラスを10分、15分ほど置くとその香りは一気に変化します。
青リンゴなどの仁果果実系、白桃、そしてほのかにオレンジといった果実の香りがはじけだすようになります。この変化と果実感はフランソワ ヴォワイエVSOPやXOゴールドでは感じられなかった特徴です。青リンゴといえばどちかというと若いコニャックによく見られる香りのように思われますが、この熟成年数においてフレッシュで、かつアルコールのツンツン感のない青リンゴ感が感じられるというのは非常に新鮮です。
確実にしばらくグラスを置いて華開くのを待つべきコニャックです。
フランソワ ヴォワイエ エクストラの味わい
フランソワ ヴォワイエVSOPやXOゴールドでは真っ先に所謂「樽感」が感じられましたが、このエクストラにおいてはそれがありません。真っ先に感じるのは柑橘系の味わいとほどよい蜂蜜感。香り立ちで感じたフルーティーさが口の中でも開花します。
舌に残る感覚も程よく、余韻もGood。
「あれ?VSOPやXOで感じた樽香は・・・?」
これまでのフランソワ ヴォワイエVSOPやXOゴールドで感じた樽感とは対照的な第一印象となったエクストラですが、そのフランソワ ヴォワイエ特有の樽由来の香気成分は最後の鼻抜けと余韻の部分でしっかりと感じることができます。
VSOPやXOゴールドで感じたフランソワ ヴォワイエの系譜はここにありました。
しかも、前半の果実感の後に感じることができるので、非常によい塩梅です。約40年熟成ということから、樽香・・・というかランシオ香というやつでしょうか、非常に心地よい余韻を残してくれます。フッと消えない。そこが良い。
フランソワ ヴォワイエが全ての原酒を最初の3年間新樽で寝かせるという熟成方法・・・この熟成年数40年を経た無加水のエクストラからその真価を発揮するといって も過言ではないかもしれません。大変バランスよく、心地よい風味となって広がってきます。
色味を見てみる
フランソワ ヴォワイエVSOPとXOゴールド、エクストラをそれぞれグラスに入れて色味を見てみると、不思議とそこまで大きな色味の差が出ていないことが分かります。むしろ同じくらいに見える。(左からVSOP、XOゴールド、エクストラ)
3本ともカラメルは無添加ですので、色味からも最も若いVSOPのタンニン量がいかに多いかというのが分かるような気がします。
フランソワ ヴォワイエVSOPとXOゴールドからの変化を十分に体感することができました。
他の40念熟成コニャック達と比較してみる
こうなると比較してみたくなるのは、同じくらいの年熟成数のグランドシャンパーニュコニャック達。
ちょっと飲み比べてみたのはこの3本。
フランソワ ヴォワイエ エクストラ
ラニョーサブラン フロリレージュ(45年)
ジャン・フィユー CF40(40年)
いずれもおよそ40年熟成程のグランドシャンパーニュコニャックですが、それぞれの特徴の違いが面白いくらい分かります。
やはりラニョーサブラン フロリレージュ、ジャン・フィユー CF40はどちらかというとフローラル系(お花系)の香り立ちや余韻が大きく印象に残ります。それに対してフランソワ ヴォワイエ エクストラはこうも違うのかと思うくらい果実系の余韻。全然違う。すごく面白い。
余韻の長さという点でいうとジャン・フィユー CF40が一番かもしれません。
フランソワ ヴォワイエ エクストラは700mlで小売価格26,000円~28,800円程なので、他の2本に比べるとやや割高感はありますが、まぁそれでも数千円の価格差は気にならない程度の高品位なコニャックだと感じます。
そうなるとやはり壁は小売価格24,000円台で手に入ってしまう熟成年数50年越えの価格破壊者ジャンフィユー・レゼルヴファミリアルか・・・・(笑)。
フランソワ ヴォワイエ エクストラまとめ
ということで、フランソワ ヴォワイエ エクストラは個人的にはかなり高評価なコニャックとなりました。
フランソワ ヴォワイエVSOPとXOゴールドの樽香強めな印象とは打って変わって、果実感たっぷりなコニャック。
鼻抜け、余韻ではVSOPとXOゴールドを踏襲した樽香・ランシオを感じることができる。
ラニョーサブラン フロリレージュ(45年)、ジャン・フィユー CF40(40年)といったフローラル系コニャックとは対照的なフルーティーさが目立つ。比較が面白い。
次なるフランソワ ヴォワイエは・・・
フランソワ ヴォワイエ エクストラは大変すばらしいコニャックですが、このエクストラはまだ最終形態ではありません。
こいつはまだあと2段階の変身を残している!!!ということを忘れてはならない。フランソワ ヴォワイエには
フランソワ ヴォワイエ オルダージュ
→40~60年熟成
フランソワ ヴォワイエ アンセストラル
→No.8は50~80年熟成
という究極形態が存在するのです。
なお、アンセストラルは常時あるわけではなく、数年に1度?数量限定でボトリングされます。2019年6月現在ではアンセストラルNo.8が流通していますが、こちらはもうすぐ無くなりそう。国内だと在庫数1・・・くらい!!!海外通販だとまだ結構流通してる。
この辺になると、どちらも1本10万円~13万円台という大変お買い得な価格である。(錯乱状態)
・・・なかなかボトル1本買うのに勇気がいる価格帯になってきますが、近いうちに是非試してみたいと考えております。その時はお楽しみに・・・。(いつだろう)
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