ブランデー知識【入門編】

【入門編】ブランデーの作り方・製造方法・製造工程とは?

2015年7月8日

ここでは入門編としてブランデー全般における製造方法・製造工程の概要を紹介します。なぜ概要なのか?それはブランデーの種類、生産地(コニャック・アルマニャック等)やメーカーによって若干の製造方法の違いがあるからです。

今回はブランデーの中でも、主にブドウを原料としたコニャックとアルマニャックの製造過程を見ていきます。
ただし、コニャック、アルマニャックに限らず、どのブランデーでも大きな流れは同じですので、ブランデー製造の全体イメージとして捉えて頂ければと思います。各項目の細かな内容な、生産地別の製造方法の違い等は中級編でより詳しく紹介していきます。まずは製造方法入門編です。

ブランデーが作られるまでの大きな流れ

ブランデーが出来るまでの過程は意外と知らない方が多いのではないでしょうか。ブランデーが瓶に詰められ、お店に並んで私達の手元に来るまでの大きな流れは次の通りです。
全部で7ステップです。

  • 1. 収穫
  • 2. 発酵
  • 3. 蒸留
  • 4. 熟成
  • 5. 調合(ブレンド)
  • 6. 瓶詰め
  • 7. 出荷

ではそれぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 収穫:ブランデーの原料の収穫

ブランデー(コニャック・アルマニャック)はまず白ブドウの収穫から始まります。コチラの記事にも書いたように、ブランデーはワインと同じ白ブドウが原料となります。
ブドウの種類は「ユニブラン」(サンテミリオン)という白ブドウが原料として多く使用されます。このユニブランは酸味が多く糖度が低いためワインとしてはあまり高級な部類に入りませんが、ブランデーにとっては素晴らしい素材となります。理由としては主に以下2点です。

  • その1:酸が多いと果汁が酸性になり、雑菌の繁殖を抑制でき、香味成分の生成を促すことができる。
  • その2:発酵時のアルコール度数が高くなりにくいため、大量のワインから少量のブランデーしか蒸留されず、その分ブドウの香味成分が濃縮されやすくなる。

2. 発酵:白ワインを作る

収穫されたブドウは圧搾機にかけられ、果汁を絞りとられます。

ブランデーに使用するのはあくまでも果汁のみです。皮や種子はつぶすことなく取り除かれ、果汁のみを搾り取ります。これは白ワインの製造工程も同じです。ちなみに赤ワインは黒ブドウを皮ごと発酵させます。なので白ワインはほぼ無色で、赤ワインは赤い色となるのです。

搾り取った果汁を発酵させます。イースト菌を加えて発酵させるか、自然発酵させるかはメーカーにより異なります。自然発酵のほうが時間と手間がかかり、高級品となりやすいです。発酵にかける時間もメーカーによってそれぞれです。
先述したようにブランデーに使用される白ブドウは糖度が低いため、アルコール度数8%くらいの比較的度数の低い白ワインが出来上がります。この白ワインがブランデーの原料となります。

3. 蒸留:アルコール成分を抽出する

蒸留の原理・方法自体はウイスキーやその他のスピリッツと同じです。

ブランデーの場合は発酵された白ワインを蒸留器に入れ加熱します。蒸留器の中では加熱された蒸気が上部から出てきて、その蒸気を再び冷却することで、アルコール度数の高い液体に戻すことができるのです。アルコール(沸点78.3℃)と水(沸点100℃)の沸点は違うので、その差を利用してアルコールを抽出していきます。

この蒸留によりアルコール度数約70%という高い度数のブランデーのもとが作られるのです。なお、この時点ではブランデーはまだ無色透明です。
コニャックとアルマニャックで使用される蒸留器が違います。(各規格で使用する蒸留器が決められています)
コニャックは単式蒸留器で2回蒸留、アルマニャックは半連続式蒸留器で1回蒸留します。コニャックとアルマニャックでの蒸留方法の違いは中級編で別途詳しく説明します。

→【中級編】コニャックの単式蒸留法とは?

↓コニャックの単式蒸留器↓

↓アルマニャックの半連続蒸留器↓

↓半連続蒸留器による蒸留のイメージ↓

4. 熟成:ブランデーの風味を決める長期間の重要なステップ

蒸留されたアルコール度数70%のブランデーは樽に入れられ長期間熟成されます。コチラの熟成の仕組みの記事に詳しく書きましたが、熟成により得られる変化は次の3つです。

  • 琥珀色への変化
  • アルコール度数の変化
  • 香りの変化

この数年~数十年という長い樽熟成を経て、アルコール度数40%前後のまろやかなブランデーへと変化するのです。

【中級編】熟成とはどのような仕組みなのか?を参照

5. 調合(ブレンド)

熟成され、年数の立ったブランデーはいよいよ製品として完成間近のステップにすすみます。それが調合(ブレンド)です。

ビンテージブランデーを除き、ほとんどのブランデーは単一の樽からそのまま瓶詰めされることはありません。そのメーカーのイメージに合う風味や香りにマッチするように、必ず様々な熟成年数の樽からブランデーをブレンドして瓶詰めされます。この調合(ブレンド)はブランデーのランクを決める重要なステップで、調合されたブランデーの最も若い熟成年数の原液によってVSOPやナポレオン、XOといったブランデーのランクが決定します。

ブランデーのランクにつての詳細はコチラの記事にまとめたのでご参照ください。

【入門編】ブランデーのVSOPやXOの種類の違いは何?

6. 瓶詰め

調合されたブランデーは工場で機械または人の手によって瓶に詰められます。同じブランデーでも出荷先の国によってボトルデザインが違う場合があります。

例えばジャンフィユーのフロスティボトルは日本向けでデザインされたボトルなので海外には出回っていません。(参考:ジャンフィユーの特徴とラインナップ)

7. 出荷

瓶詰めされたブランデーは販売先や代理店に向けて出荷されます。

まとめ:ブランデーの製造工程・方法

ブランデーができるまでのステップは大きく以下の7ステップです。

  • 1. 収穫
  • 2. 発酵
  • 3. 蒸留
  • 4. 熟成
  • 5. 調合(ブレンド)
  • 6. 瓶詰め
  • 7. 出荷

それぞれの工程はブランデーの種類、生産地(コニャック・アルマニャックやカルヴァドス)、メーカーによって若干の製造方法の違いがあります。その違いはまた中級編で紹介します。

まずはブランデー製造方法入門編でした。これを知識として知っているだけでも一目置かれるかもしれませんよ^^
またブランデー選びの際にこの製造工程を想像しながら選んでみると、ブランデー選びの楽しさが増すことでしょう。

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